2017年も残すところ一カ月を切った。今年の株式市場は日経平均がバブル崩壊後の戻り高値を更新するなど好調さが目立つ相場となった。それでは今年のIPOはどうだっただろうか。

ここ数年の東証への上場件数を振り替えると、2009年に23社だった新規上場数(東証1部、2部、マザーズ)も26社、50社、66社と増加。2017年は93社になる見込みだ。リーマンショック前、04年が153社、06年が114社だったことを考えると少ないが、それでも一時よりは増えているし、17年も注目の銘柄がいくつも誕生した。

まずは2017年の上半期(1月~6月)に上場した企業を紹介する。やはり上半期では3月の上場が多いようだ。ロコンド、ジャパンエレベーターサービスホールディングス、マクロミル、スシローグローバルホールディングス、力の源ホールディングスなど広く知られた企業も多く上場している (現在の株価は全て12月4日執筆時点の終値)。

【後編】2017年 7月以降の上場企業はこちら

1月 初値は公募価格の4倍超 シャノン

IPO,2017年回顧,
(画像=Thinkstock/GettyImages)

2017年IPO第1号 シャノン

1月27日に2017年IPO第1号として東京マザーズに上場したのがシャノン <3976> だ。1500円の公募価格に対して、初値が6310円と4.21倍の値を付けた。同社は企業の営業活動に必要な情報などを管理運用するクラウドサービスを事業の柱としている。現在の株価は2172円と初値に比べ大きく下落している。

2月 広告宣伝の老舗・日宣 など

名証・JASDAQの同時上場 安江工務店

2月10日にJASDAQスタンダードと名証2部への同時上場を果たしたのが安江工務店 <1439> だ。同社は愛知県で住宅リフォームを柱に新築や仲介、買取再販なども手掛ける。経営地盤が愛知県ということもあり、名証2部への同時上場や主幹事証券が東海東京証券といった地元への配慮も感じられた。1250円の公募価格に対し初値は1.04倍の1300円であった。現在の株価は1240円だ。

広告宣伝の老舗 日宣

2月16日にJASDAQスタンダードに上場を果たしたのが日宣 <6543> だ。同社は企業から直接受注する広告宣伝事業が柱だ。国内最大のケーブルテレビ情報誌「チャンネルガイド」も発行している。公募価格1600円に対し初値は1.88倍の3000円を付けた。現在の株価は2210円だ。

再生可能エネルギーが柱 レノバ

2月23日に東証マザーズに上場したのがレノバ <9519> だ。同社は再生可能エネルギー事業を手掛けており、発電事業・開発運営事業が主な事業の柱だ。今後も太陽光やバイオマス、風力発電など多様な再生可能エネルギーに力を注いでいく方針だ。公募価格750円に対し、初値は1.5倍の1125円を付けた。現在の株価は1209円だ。

ダイレクトマーケティングに強み フュージョン

2月23日に札幌アンビシャスに上場を果たしたのがフュージョン <3977> だ。同社はダイレクトマーケティングの専門会社として戦略策定から効果測定までのダイレクトマーケティングに関わる業務全てを一貫して請け負えることが強みだ。公募価格1140円に対し、初値は2.52倍の2872円を付けた。現在の株価は1549円だ。

店舗内調理にこだわり ユナイテッド&コレクティブ

2月23日に東証マザーズに上場したのがユナイテッド&コレクティブ <3557> だ。同社は鶏料理居酒屋「てけてけ」を主力にハンバーガーチェーン「the 3rd Burger」なども運営している。セントラルキッチン方式ではなく、各店舗内での調理を行なう点が特徴だ。公募価格1620円に対し、初値では2.78倍となる4500円を付けた。現在の株価は7610円だ。

3月 ロコンド、ほぼ日、一風堂(力の源HD)、スシロー など

返品無料の通販サイト・ロコンド

3月7日に東証マザーズに上場したのがロコンド <3558> だ。同社は靴を中心に取り扱う通販サイト「LOCONDO.jp」の運営を手掛けている。通販サイトではサイズの変更や返品を無料にするなど特色あるサービスを展開している。公募価格1850円に対し、初値では1.42倍の2625円を付けた。現在の株価は2560円だ。

プリント基板を手軽に発注 ピーバンドットコム

3月9日に東証マザーズに上場したのがピーバンドットコム <3559> だ。同社はプリント基板の設計から製造、実装、組立までを手掛ける。Webサイト「P板.com」で注文を受け付け、低価格、少量、短納期で対応できる強みを持つ。公募価格1650円に対し、初値は2.14倍の3530円を付けた。現在の株価は1980円だ。

物流センター業務の一括請負で成長 ファイズ

3月15日に東証マザーズに上場したのがファイズ <9325> だ。同社はECサイトの物流センター業務を受入から検品、梱包、配送まで一括で請け負うのが特徴だ。公募価格1250円に対し、初値が3.21倍の4010円を付けた。現在の株価は2435円(株式分割あり)だ。

在宅ワーク求人サイトも運営 うるる

3月16日に東証マザーズに上場したのがうるる <3979> だ。同社の主力はクラウドソーシングを利用した入札情報速報サービスやデータ入力などのBPO事業だ。他にも在宅ワーク求人サイト「シュフティ」の運営も手掛ける。公募価格3000円に対し、初値は1.11倍の3330円を付けた。現在の株価は3115円だ。

ほぼ日手帳が人気 ほぼ日

3月16日にJASDAQスタンダードへ上場を果たしたのがほぼ日 <3560> だ。同社はコピーライターである創業者の糸井重里氏が立ち上げたWEBサイトほぼ日刊イトイ新聞の運営を手掛ける。同サイトで開発した「ほぼ日手帳」などのグッズを同じく同サイトで集客したユーザーに販売するビジネスモデルだ。特に主力のほぼ日手帳は売り上げ全体の7割を占める程の人気ぶりだ。公募価格2350円に対し、初値は2.28倍の5360円となった。現在の株価は6150円だ。

スマホ向け電子コミックを配信 ビーグリー

3月17日に東証マザーズに上場したのがビーグリー <3981> だ。同社はスマートフォン向けに電子コミックの配信サービス「マンガ王国」を運営している。同サービスでは無料試読みや絶版作品も多く取りそろえているのが特徴だ。公募価格1880円に対し、初値は1倍の1881円であった。現在の株価は1777円だ。

エレベーターの保守・保全 ジャパンエレベーターサービスホールディングス

3月17日に東証マザーズに上場したのがジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> だ。同社はエレベーターの保守・保全やリニューアルも手掛ける。メーカー系を除く独立系でのシェアは首位級を誇る。公募価格550円に対し、初値は1.62倍の890円であった。現在の株価は1899円(株式分割あり)だ。

短時間リハビリ型デイサービス インターネットインフィニティー

3月21日に東証マザーズに上場したのがインターネットインフィニティー <6545> だ。同社は短時間リハビリ型デイサービス「レコードブック」を関西や関東を中心に直営・FCの形態で展開している。公募価格1320円に対して、初値は3.82倍の5040円であった。現在の株価は2777円(株式分割あり)だ。

ラーメン「一風堂」が上場 力の源ホールディングス

3月21日に東証マザーズに上場を果たしたのが力の源ホールディングス <3561> だ。同社は有名ラーメンチェーン「一風堂」を運営しており、上場前から話題となっていた。同社は通常のラーメン店舗以外にもフードコートやサービスエリアでの展開にも積極的だ。その他にも日本酒などのアルコールとラーメンが立ち呑みで楽しめるコンセプトの店舗も展開する。

海外への店舗展開にも意欲的だ。2017年11月に発表された同社の第2四半期決算短信によると、現在国内の店舗数が133に対し海外が65店舗となっている。同社の今後の計画では20年に海外の店舗数200を目指している。

国内での今後の成長性、海外での可能性など様々な思惑が交錯した同社のIPOは公募価格600円に対し、初値が3.72倍の2230円と大幅に上昇する形でのスタートとなった。現在の株価は1859円(株式分割あり)だ。

自動ドア開閉装置が主力 フルテック

3月22日に東証2部に上場を果たしたのがフルテック <6546> だ。同社の主力は自動ドア開閉装置の販売・設計・施行・保守などだ。その他にも駐輪システムなどの販売も手掛けている。公募価格600円に対し、初値は2.05倍の1230円を付けた。現在の株価は1035円だ。

2017年最初の東証1部へ上場 マクロミル

3月22日に東証1部に上場を果たしたのがマクロミル <3978> だ。東証1部への上場は2017年では同社が最初だ。同社はオンラインを中心にマーケティングリーサーチなどを手掛けるインターネット調査の老舗企業だ。上場廃止後の再上場という事もあり、公募価格1950円に対し、初値は0.96倍の1867円とやや値下がりからのスタートとなった。現在の株価は2944円だ。

ホテル「コンフォート」を運営 グリーンズ

3月23日に東証2部・名証2部に上場を果たしたのがグリーンズ <6547> だ。同社は宿泊特化型ホテルの「コンフォート」を運営している。その他にも集宴会場などを備えたホテルなども数多く展開し、底堅いインバウンド需要もあり注目が集まる。公募価格1400円に対し、初値は1.09倍の1521円であった。現在の株価は1517円だ。

自社でERPソフト開発 オロ

3月24日に東証マザーズに上場したのがオロ <3983> だ。同社は自社開発のERPソフトの提供や保守、WEBを活用したマーケティング支援も行う。国内だけでなく中国、マレーシア、ベトナムなどにも現地法人を立ち上げている。公募価格2070円に対し、初値は2.29倍の4750円を付けた。現在の株価は1835円(株式分割あり)だ。

創薬ベンチャー ソレイジア・ファーマ

3月24日に東証マザーズに上場したのがソレイジア・ファーマ <4597> だ。同社は創薬ベンチャーとして主に創薬候補物質の国内および海外での開発・販売を手掛ける。がん領域の治療薬や副作用抑制薬が主だ。公募価格185円に対し初値は1.26倍の234円を付けた。現在の株価は446円だ。

都内で貸会議室を提供 ティーケーピー

3月27日に東証マザーズに上場したのがティーケーピー <3479> だ。同社は東京都を中心に貸会議室の運営を手掛ける。貸会議室以外にも宴会場やホテル、ケータリング、コールセンター事業なども展開中だ。公募価格6060円に対し、初値は1.74倍の10560円を付けた。現在の株価は2319円(株式分割あり)だ。

OA機器販売・保守 No.1

3月28日にJASDAQスタンダードに上場したのがNo.1 <3562> だ。同社はOA機器や情報セキュリティ関連機器の販売・保守を手掛ける。情報セキュリティ関連では自社開発商品も展開中だ。公募価格1570円に対し、初値は2.20倍の3460円を付けた。現在の株価は2560円だ。

音楽用電子機器が海外で好調 ズーム

3月28日にJASDAQスタンダードに上場したのがズーム <6694> だ。同社は。ハンディレコーダーを主力に音楽用電子機器の製造・販売を行なっている音響機器メーカーだ。海外での売上比率が8割以上と高いのが特徴だ。公募価格1520円に対し、初値は1.5倍の2278円を付けた。現在の株価は3235円だ。

中古車やスマホのオークションを展開 オークネット

3月29日に東証1部に上場したのがオークネット <3964> だ。同社は中古車や中古スマートフォンのオークション事業を中心に展開している。現在は海外への中古スマートフォン流通にも積極的だ。公募価格1100円に対して、初値は1.18倍の1300円を付けた。現在の価格は1372円だ。

回転寿司業界首位 スシローグローバルホールディングス

3月30日に東証1部に上場したのがスシローグローバルホールディングス <3563> だ。同社は業界首位の回転すしチェーン「あきんどスシロー」を展開している大阪に本社を構える企業だ。2008年に日系投資ファンドであるユニゾン・キャピタルと資本提携し、翌09年にはユニゾンが主導する形で上場廃止となったが、今回再上場を果たしている。公募価格3600円に対し、初値は0.95倍の3430円を付け、公募割れという結果であった。再上場という点や、回転ずし業界の競争激化などの理由で需要が今一つ伸びなかった。

ビッグデータの解析やAIに強み ユーザーローカル

3月30日に東証マザーズに上場したのがユーザーローカル <3984> だ。同社はビッグデータの解析や人口知能(AI)による情報提供サービスを展開する。ビッグデータやAIを手掛けるテーマ株という事で株式市場の需要も旺盛であり、公募価格2940円に対し初値は4.25倍の12500円を付けた。現在の株価は5930円だ。

アフィリエイト特化の広告代理 ネットマーケティング

3月31日にJASDAQスタンダードに上場したのがネットマーケティング <6175> だ。同社はアフィリエイトに特化した広告代理を主に事業展開している。広告事業以外にもメディア事業の恋愛マッチングサービス「Omiai」も提供している。公募価格1140円に対し、初値は1.36倍の1552円を付けた。現在の株価は1700円だ。

4月 LIXILビバ、旅工房 など

定期販売に特化型通販システムに強み テモナ

4月6日に東証マザーズに上場したのがテモナ <3985> だ。同社は定期販売に特化した通販システム「たまごリピート」が柱だ。ウェブ接客ツールとして「ヒキアゲール」もEC事業者支援サービスとして提供している。公募価格2550円に対し、初値は3.16倍の8050円を付けた。現在の株価は5730円だ。

壁紙・防虫網で首位 ウェーブロックホールディングス

4月10日に東証2部に上場したのがウェーブロックホールディングス <7940> だ。同社は壁紙や自動車内装用の加飾フィルムなどを手掛け、壁紙・防虫網で首位だが、2009年に業績悪化により上場廃止となり今回再上場となった。公募価格750円に対し、初値は0.96倍の721円と再上場ということもあり、やや公募価格を割ってのスタートとなった。

プロ用建材ラインナップに自信のホームセンター LIXILビバ

4月12日に東証1部に上場したのがLIXILビバ <3564> だ。同社は関東甲信を中心にホームセンターを展開しており、DIY商品だけでなく、建築業界向けのプロ用建材の品ぞろえにも強みを持つ。公募価格2050円に対し、初値は0.95倍の1947円とやや公募価格を割ってのスタートとなった。現在の株価は1805円だ。

ネット専業の旅行会社 旅工房

4月18日に東証マザーズに上場を果たしたのが旅工房 <6548> だ。同社はインターネット専業の旅行会社として自社サイト「旅工房」を運営している。地域専門担当者を配置しオンライン旅行社では提案が難しい現地の観光スポットやグルメスポットを提案することで支持を集めている。公募価格1370円に対し、初値は2.74倍の3750円を付けた。現在の株価は902円(株式分割あり)だ。

仮想デスクトップ事業に強み アセンテック

4月25日に東証マザーズに上場したのがアセンテック <3565> だ。同社は仮想デスクトップ事業が柱だ。サーバ側でデスクトップ環境を管理し端末ではデータを保存しない為、セキュリティの向上や運用効率に効果がある。公募価格2000円に対し、初値は2.98倍の5950円を付けた。現在の株価は3950円(株式分割あり)だ。

6月 Fringe81、ツナグ・ソリューションズ など

クラウド技術を活用したERPの開発・販売 ビーブレイクシステムズ

6月15日に東証マザーズに上場したのが、ビーブレイクシステムズ <3986> だ。同社はクラウド技術を活用したEPRの開発・販売を主力に事業展開を行なっている。低コスト、セミオーダー型に特徴があり、サービス業を中心に顧客を獲得している。公募価格1670円に対し、初値は4.61倍の7700円と大きく値上がりした価格を付けた。現在の株価は3975円だ。

DM発送代行大手 ディーエムソリューションズ

6月20日にJASDAQスタンダードに上場したのがディーエムソリューションズ <6549> だ。同社はダイレクトメールを企画・デザイン・印刷・配送まで一貫して代行する体制に強みを持つ。その他にインターネット広告やSEO、コンテンツマーケティングなども手掛ける。公募価格2500円に対し、初値は2.84倍の7100円を付けた。現在の株価は2370円(株式分割あり)だ。

建設情報化支援「現場ロイド」が主力 エコモット

6月21日に札幌アンビシャスに上場したのが、エコモット <3987> だ。同社は建設情報化支援「現場ロイド」を主力に、IoTプラットフォーム「FASTIO」なども展開する。公募価格2730円に対し、初値は1.54倍の4195円を付けた。現在の株価は3165円(株式分割あり)だ。

インターネット広告代理に強み Fringe81

6月27日に東京マザーズに上場したのがFringe81 <6550> だ。同社はインターネット広告代理事業を中心に手掛ける。人気ニュースアプリ「スマートニュース」内の広告サービス支援も同社が手掛ける。公募価格2600円に対し、初値は2.33倍の6060円を付けた。現在の株価は3610円だ。

スマホゲームの攻略情報サイトを運営  GameWith

6月30日に東証マザーズに上場したのがGameWith <6552> だ。同社はスマートフォン向けゲームの攻略情報などを掲載した情報メディアサイト「GameWith」を運営する。クラウドソーシング事業としてゲームの攻略記事などを募集する「Gameworks」も手掛ける。公募価格1920円に対し、初値は2.34倍の4490円を付けた。現在の株価は3135円だ。

パート・アルバイトの採用活動支援が主力 ツナグ・ソリューションズ

6月30日に東証マザーズに上場したのがツナグ・ソリューションズ <6551> だ。同社はパート・アルバイトに特化した採用活動代行サービスが主力だ。応募受付では365日対応のコールセンターを設置するなどの強みを持つ。公募価格2130円に対し、初値は2.12倍の4515円を付けた。現在の株価は4435円だ。

システム開発とソリューション提供が主軸 SYSホールディングス

6月30日にJASDAQスタンダードに上場したのがSYSホールディングス <3988> だ。同社は自動車や工作機械用のソフト開発や金融向けなどのシステム開発を主に手掛ける。グローバル製造業と社会情報インフラの分野の割合が多いが、モバイルの分野でも事業を展開している。公募価格2560円に対し、初値は2.16倍の5530円を付けた。現在の株価は3500円だ。

2017年1月から6月までに39社がIPOを果たした。39社中35社が初値で公募価格を上回り、約89.7%もの企業が値上がりした。1月から6月までは良い市場環境であったといえよう。(右田創一朗、元証券マンのフリーライター)