昨日の海外時間には、全般的にドル買いが強まる中ドル円も上昇する場面もありましたが、米長期金利が低下した局面では円買いが優勢となりました。本日の東京時間午前に、日銀の国債買い入れオペで超長期債の買い入れ額が減額されたことから円買いが急速に強まりました。
昨日の海外市場動向
欧州時間序盤、東京時間からユーロ売りが優勢になった流れを引き継いで、ユーロドルは1.1980台まで、ユーロ円は135.70円台まで下落しました。この間ドル円は113.30円台まで上昇したあと113.20円台まで反落しています。一旦下げ止まったユーロは、発表されたユーロ圏経済指標が予想よりも良い結果だったことから買い戻しが強まって、ユーロドルは1.2000台まで、ユーロ円は135.80円付近まで反発しました。
NY時間にかけて、米長期金利が低下し、各国株価が下落する中円買いが優勢となって、ドル円は112.80円台まで、ユーロ円は135.10円台まで、ユーロドルも1.1950台まで下落しました。
その後米長期金利が反発すると各国株価も上昇に転じたことから円売りが強まって、ドル円は113.10円台まで、ユーロ円は135.40円台まで、ユーロドルも1.1980台まで反発しました。
東京時間にはいって、日銀の国債買い入れオペで10-25年債の買い入れが2016年12月以来の減額となったことから、長期債を中心に円債の利回りが上昇して円買いが強まってドル円は112.50円台まで下落しました。
FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは63%へ低下しています。
今日の予定
今日の海外時間には、独・11月鉱工業生産、独・11月経常収支/貿易収支、ユーロ圏・11月失業率、米・11月JOLT労働調査の発表と、カシュカリ・米ミネアポリス連銀総裁の講演が予定されています。
今後の見通し
今日午前に行われた日銀による国債買い入れオペでは、残存期間10年超の超長期債の買い入れ額を合計200億円減額しました。その為超長期債を中心に国債の価格が下落し、利回りが上昇して、円買いが急速に強まっています。また麻生財務相が「株価は早いペースで上がっている」と述べたことも株売り、円買いの材料となっています。ただ、この動きは積極的な円買いというよりも、年初からの円売りポジションの巻き戻しと考えられます。日銀のオペで超長期債の買入れが減額されたことで、いわゆるテーパリングの思惑を呼んでいる模様ですが、日銀と意図として金利の上昇を望んでいるということは考えにくいことから、そうした思惑が強まったり、結果的に長期債の利回りが上昇を始めたりした場合は、何らかのコメントなどで対処すると予想できます。ただ、年初から堅調に推移していたクロス円が総じて下落したことから、新規ポジションを取りにくくなりました。
ユーロ円ロング仕切り直し
3日に135.10円で構築したユーロ買い円売りのポジションですが、昨日のユーロ圏経済指標発表後の戻りが鈍かったことから135.60円で手仕舞いました。昨日からのユーロ円の下落は調整安と考え、日足一目均衡表の基準線134.30円付近でユーロ買いポジションを構築したいと思います。損切りラインは133.80円割れです。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。