自動車を運転するためには運転免許が必要です。しかし、自動車の運転免許をとることが難しい持病もあります。自動車運転免許をとることが難しい持病と、自動車保険の加入に影響はあるのかについて説明します。
車を運転してはいけない持病とは?
自動車を運転してはいけない持病があるということをご存知でしょうか。例えば、道路交通法施行令では、一定の持病がある人について、万一運転中に症状がでたときのことを考え、運転を禁止しています。
一例をあげれば、幻覚の症状を伴う精神病(例:統合失調症)、発作により意識障害や運動障害をもたらす病気(例:てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症)、自動車などの安全な運転に支障をおよぼすおそれがある病気(例:そううつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害)などです。
しかし、どの病気にも病気の深刻度によって例外があるため、該当する病気であっても運転免許を取得することができるケースもあります。また、これら以外にも運転免許の取り消しや効力の停止の対象になるものがあります。
一方、介護保険法第5条の2に規定する認知症やアルコール・麻薬・大麻・あへん・覚せい剤の中毒者は持病には当たらないため、車を運転してはいけないとは定められていません。しかし、道路交通法や道路交通法施行令では、運転免許試験の合格者に免許を与えないことや免許の保留、免許を受けた者の免許を取り消すことや免許の効力を停止することができると規定されています。
てんかんなどの症状で交通事故が起きた場合、保険金は出るの?
自動車を使用する場合、自賠責保険に加入することが義務づけられています。これは、万一のとき、被害者や遺族に対して最低限の賠償金を確保するためです。
しかし、重大な事故の場合、自賠責保険だけでは補償が不足したり、物損事故などに対応したりできないため、民間の任意の自動車保険にも加入することが一般的です。この保険料率には事故率・損害率などの危険度が勘案され、補償にもさまざまな条件が考慮されます。この条件の考え方は保険会社によって異なります。
日本てんかん学会法的問題検討委員会が2006年に自動車任意保険を取り扱う損害保険会社を対象に実施した「てんかんをもつ人の自動車任意保険の現況一加入資格と支払い条件に関する調査」の一部を紹介します。
保険加入の制限については、回答した会社のうち全社が「てんかんなど病気に関する条項はなく、特定の病名による加入制限もない」「病気があっても合法的な運転資格があれば、加入は無条件で認める」と答え、一部の会社が「ただし過去の事故多発歴や事故状況から個別に加入を拒否する場合がある」と答えました。
なかには、「てんかん発作による事故ではより慎重に審査を求めるケースや拒否するケースがある」「支払い審査は主治医所見(服薬や治療状況を含む)をもとに社内審査で個別に判断する」「外来性が否定される事例に ついては保険金を支払えない場合がある」と答えた会社もあるようです。
また、実際に事故が起きたときの保険金支払いについて、大半の会社が「自損事故保険・搭乗者傷害保険・人身傷害補償保険において、保険金の支払対象となる事故によって傷害を被った際に、すでに存在していた身体の障害もしくは疾病や、傷害を被った後にその事故と関係なく発生した傷害もしくは疾病の影響によってもとの傷害が重大となった場合には、それらの影響がなかった場合に相当する金額を決定して支払う」と答えています。
この結果から、病名で区別はされないことと合法的な運転資格を前提とすること、個別のケースで審査されることがあることが明らかになりました。
まとめ
民間の任意の自動車保険の加入条件には、病気に関する条項はなく、特定の病気による加入制限はありません。そのため、持病があっても運転免許が取得できる状態で、過去に頻繁に事故を起こしていなければ、民間の自動車保険に加入する影響はないようです。(提供:保険見直しonline)
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