2月26日~3月2日の東京株式市場は、週後半にかけて下値波乱となった。この週はパウエル米FRB議長の議会証言を受けた米長期金利の上昇、トランプ米大統領の関税強化発言が警戒されて、弱気ムードが急速に広がった。週末の日経平均株価の終値は前週末比711円14銭安の2万1181円64銭だった。
2月の世界同時株安からひと段落もつかの間、日米の株式市場は下値不安が再燃している。市場が落ち着きを取り戻すには、しばらく時間がかかりそうな雲行きだ。
ジャスダック「2月の値上がり率」ランキング
それでは、今回はジャスダック市場の「2月の値上がり率」ランキングをみていこう。
(1)ワンダーコーポレーション <3344> 1760円 +89.45%
(2)ニチダイ <6467> 2669円 +85.73%
(3)平山ホールディングス <7781> 3330円 +84.59%
(4)IGポート <3791> 4135円 +75.58%
(5)シーズメン <3083> 874円 +64.91%
(6)共同ピーアール <2436> 2684円 +54.25%
(7)サカイホールディングス <9446> 1079円 +52.83%
(8)テリロジー <3356> 559円 +47.11%
(9)グリムス <3150> 2641円 +46.40%
(10)セルシード <7776> 733円 +43.73%
※銘柄、証券コード、2月28日終値、上昇率の順。
上記ランキングを業種別でみると小売業、卸売業、情報通信業、精密機器が各2銘柄、機械、サービス業が各1銘柄となっている。2月は世界同時株安に見舞われたが、それでも新興株式市場では材料のある銘柄にはまとまった買いが入り、高い上昇率を示しているものも多い。
IGポート、ネットフリックスとの業務提携を好感
今回は上記ランキングからIGポート、ワンダーコーポレーション、ニチダイの3銘柄を取りあげる。
IGポートは東京都武蔵野市に本社を置き、複数のアニメ制作会社等を傘下に置く持ち株会社。同社の傘下にはプロダクション・アイジーやジーベック、ウィットスタジオ、シグナル・エムディなどがある。
1月31日、IGポートはネットフリックス(米国カリフォルニア州)との「包括的業務提携」を発表した。このニュースを手掛かりにIGポート株は2月入りとともに連日のストップ高を演じ、11年9カ月ぶりに4000円台を回復した。
ネットフリックスは米国の大手動画配信サービス「Netflix」を運営する企業。「包括的業務提携」ではIGポート傘下のプロダクション・アイジー、ウィットスタジオがそれぞれネットフリックスとアニメを共同制作し、世界190カ国での配信が予定されている。
プロダクション・アイジーは『攻殻機動隊 ARISE』など、ウィットスタジオは『恋は雨上がりのように』『進撃の巨人』等多数のアニメ作品の制作及び制作協力に携わってきた実績がある。それだけに、株式市場では今回のネットフリックスとの「包括的業務提携」への期待が高まったようだ。
ワンダーコーポレーション、RIZAPグループが連結子会社化
ワンダーコーポレーションは茨城県つくば市に本社を置き、書籍やゲームソフト、CD・DVD等の販売及び買い取りを行う専門店を運営する企業。WonderGOO、新星堂、リユースのWonderREXなど直営店だけで300店近くを運営する。
ワンダーコーポレーションの株価は2月20日に急伸した。前日の19日に、RIZAPグループと資本業務提携を結び、同社を引受先とする新株発行とTOB(株式公開買い付け)により連結子会社になるとの発表が材料となった。
TOBの買い付け価格は980円。市場ではRIZAP傘下に入ることで相乗効果が生まれ、業績向上が期待できるとの観測が広がった。TOB価格を上回る水準でも買いが止まらず、23日には一時2400円まで上昇。ただ、翌24日に配当落ちとなってからは、利益確定売りに押されている。
ニチダイ、好決算で人気化する
ニチダイは京都府京田辺市に本社を置き、精密鍛造や金型、焼結金網を製造する独立系メーカー。自動車エンジンなどの部品を手掛けている。
2月1日、ニチダイは2017年4~12月期の連結決算を発表した。売上高は10.4%増の112億円2400万円、営業利益は89.5%増の6億5500万円、純利益は約2.3倍の4億4300万円と増収増益となった。主要顧客である日系自動車メーカーは北米や中国での販売が好調で、国内でも軽自動車の販売を伸ばしている。これにより、金型や精密鍛造品を扱う「ネットシェイプ事業」や、精密部品の組み立てを行う「アッセンブリ事業」の業績が上向いた。なお、同社は通期について、従来見通し(売上高147億円、営業利益7億4000万円など)を据え置いている。
ニチダイ株は1月下旬から上記好決算を見越した買いに人気化していたが、2月1日の決算発表後はさらに商いが膨らみ一段高となった。(ZUU online 編集部)