このほど始まった中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)では、環境汚染対策が最大の政策目標の一つに打ち出される見通し。同国では既に「地条鋼」と呼ばれる粗悪鋼材の取り締まりを徹底しているほか、冬季の暖房規制も導入された。環境対応力の高い日本の製品や技術に活躍の場が広がりつつあり、投資テーマとしても有力。片倉コープアグリ(4031)、タクマ(6013)、エンバイオ・ホールディングス(6092・M)に注目したい。
片倉コープ―大気汚染防止で活躍、押し目買い魅力大
農業用肥料を主力とする片倉コープアグリは土壌診断にも定評があり、今年1月に中国で合弁会社を現地企業と立ち上げた。国内でも分析分野を強化しており、拡大する環境対策市場を取り込みつつある。
有機物と微生物を使った土づくりの技術を強みに、化学肥料の散布による汚染が深刻な中国の農地再生に貢献していく構え。また、藁(わら)を分解する微生物製品の商品化にも乗り出した。片倉コープの製品は煙を出さずに藁を処理できるため、大気に有害な「野焼き」を防ぐ流れをとらえる。
今3月期の連結営業利益は13億円(前期比2・1倍)への拡大を見込むが、株価は全体相場の調整でこのところ水準を切り下げている。PBR(株価純資産倍率)は0・5倍台と割安感が強く、押し目買いの好機とみる。
タクマ―ごみ輸入問題で注目、調整進み値ごろ感
中国の環境規制でクローズアップされる可能性のあるのが、輸入ごみの問題だ。世界の廃プラスチックの半分以上、電子廃棄物の7割が中国に輸出されているとみられることからも分かるように、中国はごみの輸入大国。日本はその主要な輸出元であり、本格的な輸入制限が発動された場合の影響は大きいだろう。
こうした中、日本のごみ焼却炉のニーズが拡大する可能性がある。そうなれば、大手のタクマの事業環境にはプラスに働く。老朽化したプラントも多く、更新需要にもつながりそうだ。今3月期の連結営業利益見通しは92億円(前期比16%減)と減益ながら、期初予想(90億円)からはやや引き上げられた。バイオマス発電プラントの伸びも見込まれ、来期の増益転換を先取りしたい。
株価は昨年11月の高値1710円から1200円割れの水準まで調整が進み、値ごろ感を強めている。
エンバイオH―土壌汚染対策の本命、1月高値奪回へ
エンバイオ・ホールディングスは、土壌汚染対策の本命銘柄として知られる。中国では土壌汚染対策の市場規模が来年にも9000億円を突破するとみられ、同国で積極展開する同社には商機が強まる。合弁事業のほか、今年2月に南京に100%子会社を設立し、日系企業を中心に顧客開拓を加速している。
中国では「土十条」と呼ばれる土壌汚染の対策計画が16年に発令されて以降、土壌調査の需要が拡大している。また、マレーシアやタイでバイオマス発電事業に参画するなど、東南アジア市場の深耕にも積極的だ。
今3月期の連結営業利益は第3四半期累計で6・4億円(前年同期比8・2倍)に拡大し、通期計画(6・7億円、前期比2・6倍)に迫っている。受注の売上計上時期の後ずれリスクや、新規事業絡みの経費拡大の可能性を背景に、会社側は慎重な見通しを維持しているものの、進ちょく率の高さから上積みが期待される。
株価は75日移動平均線を足場に上昇基調が続き、1月の高値2730円奪回が視野に入る。(3月9日株式新聞掲載記事)
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