微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が、日本で高まっている。既に韓国ではスモッグが深刻化し、2015年以来の高水準に達している。発生源とみられる中国では、大気汚染対策を本格化する。日本の環境関連企業にも商機が広がりそうだ。

PM2.5
(画像=PIXTA)

PM2.5は、2.5マイクロメートル(マイクロは百万分の一)以下の粒子を指し、発がん性が認められている。日本では偏西風の強まる春先に飛来する傾向があり、28日には都心で注意が必要なレベル(1日平均で70マイクログラム/立方メートル、環境庁が定める暫定的な指針値)に達した。

PM2.5は、ボイラーなどの焼却炉から出る煙やコークス炉から発生する。中国政府は、鉄鋼の減産や生産設備の廃棄といった環境規制を定め、暖房用の燃料についても、煙の多い石炭から天然ガスへの転換を進めてきた。しかし、天然ガス不足などを背景に、ここへきて北京市など北部を中心に再び大気汚染が広がっている。

3月の全人代(国会)では、地方政府ごとに汚染の改善度のランク付けする方針を明らかにするなど、規制の徹底に本腰を入れる姿勢を強めた。大気汚染の原因の一つである自動車に関しても、EV(電気自動車)への転換を図る。

こうした中、優れた環境技術を持つ日本企業は活躍の場が広がる。自動車の排ガス対策では、浄化用セラミックスの日本ガイシ(5333)が高シェアを誇る。中国での規制強化を見据えて昨年には現地の工場での増産体制に着手した。汚染原因物質の窒素酸化物(NOx)のセンサーも需要増加が期待される。

東亜ディーケーケー(=東亜DKK、6848)は、大気汚染の観測装置を手掛ける。中国では既にPM2.5測定の認証を取得し、攻勢に出る。また、同国では工場排水規制に対応した水質計も伸びるなど、追い風を着実にとらえつつある。株価は上昇一服から再び上値を試す態勢だ。

産業用ボイラーの三浦工業(6005)は、中国でボイラーが従来の石炭たき式から、同社が得意とするガスたき式に置き換わる期待が高い。湿度センサー世界トップの神栄(3004)も、浮遊粒子計測器で市場に食い込む。

このほか、日本国内でのPM2.5濃度上昇に絡んでは、興研(7963・JQ)や重松製作所(7980・JQ)といったマスク関連株や、インバウンド(訪日外国人観光客)に人気の気管支炎改善薬「ダスモック」で知られる小林製薬(4967)に注目したい。

穴株としては、機械商社の西華産業(8061)を狙いたい。同社は火力発電所向けに有害ガス除去装置や排煙脱硫装置を展開。中国にもビジネスチャンスが広がる中、リチウムイオン電池の関連設備に注力する。株価は今後2600円を挟んだボックス相場を上抜け、3000円乗せを指向する動きが予想される。(3月30日株式新聞掲載記事)

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