2017年度(2017年4月~2018年3月)が終わりました。日経平均株価の年度末終値は21,454円30銭となり、前年度末(2017年3月末)の18,909円26銭から約13.5%の上昇となりました。

世界的な株高や景気・企業業績の拡大を背景に、本年1/23(火)には26年2ヵ月ぶりの高値水準まで上昇しましたが、米インフレ高進や貿易戦争への懸念、「森友問題」等を背景に、年度末にかけては伸び悩む展開になりました。

新年度はどのような相場になるのでしょうか。どのようなテーマがリード役になるのでしょうか。そこで、「日本株投資戦略」では、新年度に活躍しそうな投資テーマについて考え、有望銘柄を探ってみることにしました。

新年度に有望な投資テーマを探る

日本株投資戦略,テーマ株
(画像=PIXTA)

株式市場では現在、どのような投資テーマが話題になっているのでしょうか。各種資料を参考に、代表的なものをご紹介すると、以下のようになるかもしれません。

(1)IoT、AI、EV、自動運転、半導体のスーパーサイクル
(2)人手不足、働き方改革、省力化投資
(3)フィンテック、仮想通貨
(4)値上げ力、脱デフレの動き
(5)環境、SDGs(持続可能な開発目標)
(6)ゲーム、VR(仮想現実)

表1は、2017年度(2017年4月~2018年3月)に大きく時価総額を増やした東証1部上場企業(時価総額1千億円超)をご紹介したものです。第1位から第3位までには、「美容やフィットネス」に関連した銘柄が並びました。第5位の日本ライフライン(7575)も「健康」というキーワードで括れそうです。システナ(2317)は「業務改善ソフト」が好調で業績が拡大。丸和運輸機関(9090)は「宅配クライシス」を逆にバネとして事業を拡大中です。また、ダイフク(6383)は省力化機器で有名です。

3/30(金)に厚生労働省から発表された有効求人倍率は1.58倍で前月比では低下しましたが、依然、1974年以来44年ぶりの高水準を推移しています。生産年齢人口の頭打ちや産業構造の変化等を背景とする人手不足は深刻であり、それを克服するためにも、働き方改革や省力化投資の必要性は拡大する方向にあります。

なお、こうした人手不足、働き方改革、省力化投資の動きと「美容やフィットネス」は一見、無関係に見えますが、女性の社会進出が促進される中で需要拡大が期待される分野であり、意外に関係は深いと考えることもできます。このように考えると、上記の(2)であげた「人手不足、働き方改革、省力化投資」は現在、もっとも市場で注目されている投資テーマになっているのかもしれません。

なお、(1)については「EV専業」の米テスラ社の事業拡大が順調さを欠いていることやアップル社の「iPhoneX」のつまずきなど、消化すべき問題が生じています。(3)については仮想通貨のセキュリティ面で課題が生じています。相対的にも、(2)は注目されやすい投資テーマになっていると考えられます。

2017年度に時価総額を増やした東証上場企業
(画像=SBI証券)

図1:北の達人コーポレーション(2930)・日足

北の達人コーポレーション(2930)・日足
※当社チャートツールをもとに、SBI証券が作成。表1のランキングでトップだった銘柄の値動きをご紹介するもので、
推奨する意図はありません。(画像=SBI証券)

業績拡大が期待される「働き方改革」関連銘柄は!?

前項でご紹介した「人手不足、働き方改革、省力化投資」に関連する銘柄について、ここでは便宜的に「働き方改革関連銘柄」と呼ぶことにします。

「働き方改革」に関連する銘柄について、「日本株投資戦略」では2017/4/21付のレポート(この時は「人手不足関連銘柄」という表現を使用)でご紹介しています。「人材派遣・請負関連銘柄」や、「求人情報・人材紹介関連銘柄」、小売分野の省力化に貢献する「ICタグ関連銘柄」、「その他人手不足関連銘柄」などがその内訳になっています。

なお、最近の株式市場では「RPA」という単語が話題になっています。「RPA」は「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略であり、「業務自動化」と訳すことができます。従来人間が行っていた単純なオフィス業務等をコンピュータに行わせ、人間の仕事はより付加価値の高いものに向けようという取り組みです。

今回の「日本株投資戦略」では、2017/4/21付のレポートでご紹介した銘柄と「RPA」関連銘柄を母集団とし、以下のような簡単なスクリーニングで銘柄を絞り込んでみました。以下の全条件を満たす銘柄について、(3)の予想営業利益増加率が大きい順にランキングしたものが表2になります。

(1)過去5年間で営業利益が2倍以上に増えていること
(2)2名以上のアナリストが業績予想を公表していること
(3)来期の営業利益が、前期に比べ10%以上増える予想(市場コンセンサス)であること
(4)時価総額が1兆円未満であること

なお、時価総額に上限を用いたのは、企業規模が大きすぎると、「働き方改革」以外で評価すべき分野の方が大きくなるためです。ICタグの関連銘柄であるソニー(6758)や凸版印刷(7911)が該当例となります。

「RPA関連銘柄」ではSHIFT(3697)やコムチュア(3844)が表に含まれました。前者は業績が急拡大する中で、株価もすでに大きく上昇し、予想PERも高くなっています。後者はここにきて株価が回復し、年初来高値に接近しています。

当面、業績拡大が期待される「働き方改革」関連銘柄
(画像=SBI証券)

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

【関連記事 SBI証券より】
日経平均が一時1000円超下落!リバウンド狙いなら新興市場に注目!?
権利付最終日が接近~好配当も期待できる「3月株主優待銘柄」
まだまだ乱高下に警戒?~物色の中心として期待の「連続増益銘柄」を探る
株価大幅続落で買いチャンス?「20万円で買える好配当銘柄」はコレ!?
20万円で買える「3月優待銘柄」~銘柄選別に「3つの視点」