東京株式市場が一時に比べ、落ち着きを取り戻しています。日経平均株価は3/26(月)の取引時間中に20,347円49銭まで下落しましたが、足元では2万1千円台半ばまで値を回復しています。米中貿易摩擦への警戒感が残っているものの、市場は両国の間に妥協が成立することを期待し始めているようです。ただ、4/6(金)には米トランプ大統領が対中制裁で10兆円追加を検討していることが伝わるなど、事態は依然として流動的であると見受けられます。

こうした中、東京株式市場では4月下旬以降、3月決算企業の「本決算」が発表本格化となります。通常であれば、好業績銘柄が買われやすい局面ですが、株式市場に不透明感が残るため、それらの銘柄も上値を抑え付けられる可能性があります。そこで、好業績銘柄に買い場が到来するケースも出てきそうです。

今回の「日本株投資戦略」では、「本決算」の発表を控え、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できるような「好業績銘柄」を探るべくスクリーニングを行ってみました。不安定さの残る株式市場ですが、「好業績銘柄」で「中央突破」を狙いたいものです。

上方修正も期待できる「好業績銘柄」を探る

日本株投資戦略,好業績銘柄
(画像=PIXTA)

さっそく、「本決算」の発表を控え、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できる「好業績銘柄」を探るべくスクリーニングを行ってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部に上場する3月決算銘柄であること
(2)時価総額が1千億円以上(2018年3月末現在)あること
(3)広義の金融を除くセクターに属していること
(4)業績予想を公表(Bloomberg)しているアナリストが3名以上いること
(5)第3四半期(累計)の営業増益率が2018年3月期(通期)の会社予想営業増益率を10%の幅以上で上回っていること
(6)2018年3月期(通期)の営業利益について、市場予想が会社予想を上回っていること
(7)直近4週間で市場予想EPS(一株利益)が1%超上昇していること
(8)2019年3月期の市場予想営業増益率が10%超となっていること
(9)2018年3月以降、業期予想修正の発表や、業績観測報道がなかったこと

表1は上記のすべての条件を満たす銘柄について、(6)の数字{表1の(B)-(A)に相当}が大きい順に10銘柄を並べたものです。「日本株投資戦略」では、これらの銘柄は業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できる「好業績銘柄」であると考えます。

日立建機 <6305> は1/31(水)に年初来高値を付けて以降、株価は約2割下落しています。米中貿易戦争もあり、中国ビジネスの先行きが懸念されそうです。ただ、同国向けの売上構成比は11.5%(第3四半期累計)に過ぎず、むしろ世界景気の拡大が続くか否かがポイントになりそうです。

任天堂 <7974> は1/24(水)に付けた年初来高値近辺が強い上値抵抗ラインとなっており、そこから跳ね返される展開が続いています。外貨建て資産が多いため、円高の影響が心配されることが影響しています。ただ、前期の為替相場はユーロでみると、円安・ユーロ高であり、円高・ドル安と相殺されるとみられます。「Nintendo Switch」の売上高見通しは予想以上に好調で業績の拡大が続きそうです。営業利益は2017年3月期の293億円に対し、2018年3月の市場予想は1,700億円に迫る勢いです。2019年3月期は3,000億円を超えてくると予想(市場予想)されています。

北陸電力 <9505> の業績見通しについて、会社予想と市場予想のかい離が大きくなっています。2018年3月期の会社予想営業利益は90億円(前期比14.6%減)ですが、市場予想では121億円(23.5%増)となっています。金利負担が重く、経常利益の金額が小さくなりやすい点に要注意です。足元の株価は比較的堅調です。

太陽誘電 <6976> は「アップル関連」のイメージもあり、株価は一進一退です。ただ、中国スマートフォンへの依存度が低下し、車載や産業機械向けで利益をあげる力が付いているとの指摘も出ています。

好業績銘柄
(画像=SBI証券)

スクリーニングの注意点は?

今回のスクリーニングでポイントとなるのが(5)と(6)です。(5)を日立建機(6305)を例にご説明すると、同社は第3四半期累計(2017年4~12月期)の営業利益が前年同期比740.1%増となっており、2018年3月期(通期)の会社予想営業増益率である226.0%を514.1%(ここでは740.4%-226.0%と計算)上回っている(スクリーニングではこの数字を最低10%としている)ので、このスクリーニング条件を満たしていることになります。

(5)の条件を満たしていることで、その会社は「通期の会社予想営業利益」を上回る勢いで第3四半期を通過したとみなすことができます。したがって、ビジネスが順調に進んでいれば、業績予想が上方修正される可能性が出てくると考えられます。さらに(6)を満たしていることで、アナリストも同様に、その会社の業績を強めに予想していることが理解されます。

また、(7)の条件を追加することで、その企業に対するアナリストの業績見通しが約1ヵ月の期間内に引き上げられていること、(8)の条件を追加することで、その企業の業績拡大が2019年3月期まで続くと予想することが可能になります。

なお、「好業績銘柄」を探るためのスクリーニングではあるものの、2018年3月期の業績予想について、増益になるか否かは条件にしませんでした。この期の業績については、相当織り込みが進んでいると考えられるためです。ただ、増益予想となっていた銘柄が「一転減益」となったり、減益予想の銘柄が「一転増益」となった場合、株価に大きく影響が出る可能性があります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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