結果の概要:住宅着工は予想を上回る増加も許可件数は予想を下回る

米国,住宅着工、許可件数
(画像=PIXTA)

6月19日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は135.0万件(前月改定値:128.6万件)と、128.7万件から小幅に下方修正された前月値から増加、市場予想の131.1万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。

一方、住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は130.1万件(前月改定値:136.4万件)と、こちらは135.2万件から上方修正された前月、および市場予想の135.0万件を下回った(図表2、図表5)。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

結果の評価:着工件数は好調も、許可件数は回復モメンタムの低下を示唆

住宅着工件数の伸びは、前月比+5.0%(前月:▲3.1%)と前月からプラスに転じた(図表3)。戸建てが+3.9%(前月:+2.2%)と2ヵ月連続でプラスとなったほか、集合住宅も+7.5%(前月:▲13.5%)と前月からプラスに転じた(図表4)。戸建て、集合住宅ともに増加するのは18年1月以来である。

一方、前年同月比は+20.3%(前月:+10.4%)と、前月から伸びが加速し3ヵ月連続で2桁の増加となった。こちらは、戸建てが+18.3%(前月:+8.0%)、集合住宅が+25.1%(前月:+16.3%)と、ともに前月から伸びが加速した。

地域別寄与度(前月比)は、中西部こそ+7.9%ポイント(前月:▲1.4%ポイント)と前月からプラスに転じたものの、北東部が▲1.4%ポイント(前月:横這い)、南部が▲0.5%ポイント(前月:+2.2%ポイント)、西部が▲1.1%ポイント(前月:▲3.9%ポイント)となり、中西部以外のすべての地域でマイナスとなった。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲4.6%(前月:▲0.9%)と2ヵ月連続でマイナスとなった(図表5)。集合住宅が▲8.8%(前期:▲4.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、戸建ても▲2.2%(前月:+1.4%)とマイナスに転じた(図表6)。

また、前年同月比では、+8.0%(前月:+8.7%)と8ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+7.7%(前月:+8.4%)と14年5月以降プラスを維持しているほか、集合住宅も+8.6%(前月:+9.2%)と4ヵ月連続でプラスとなった。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、建設業者による新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、直近6月が68(前月:70)と依然として高い水準を維持しているものの、前月からは小幅に低下した(図表7)。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

内訳も住宅販売の現況が75(前月:76)、今後6ヵ月の販売見込みが76(前月:77)、客足状況も50(前月:51)と、回復モメンタムの低下を示した。

このため、住宅市場は回復持続も、許可件数や住宅販売見込みなどは、回復モメンタムの低下を示唆していると言えよう。

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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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