リクルーティングの分野では、インターネットの飛躍的な成長により、1990年代後半からサービス市場が拡大した。現在は、金融とテクノロジーが融合したFin Tech(フィンテック)、教育とテクノロジーが融合したEd Tech(エドテック)などがあり、それと並んで、人材活用や採用の領域におけるHR(Human Resources)テクノロジーの活用が注目を集めている。

最先端のIT技術を駆使して、人事関連業務をスムーズにするためのHRテクノロジーにはどのようなものがあるのだろうか。

注目を集めるHRテクノロジーの実例

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(画像=Bildagentur Zoonar GmbH/Shutterstock.com)

まずは、HRテクノロジーを実用化している例として、IBM社の人事の取り組みを挙げよう。世界でも最大級の情報通信企業であるIBMでは、人事プログラムにHRテクノロジーを活用したシステムがおよそ30種類も導入されている。

人事関連の問い合わせにはIBM Watsonという人工知能が窓口となり、チャット・ボットとして自動で応答してくれる。IBMの人事管理ソリューションであるIBM Kenexa(ケネクサ)は、産業組織心理学とグローバルに蓄積されたデータをもとに、採用管理や適切な人材配置、企業と人材のマッチングなどをサポートする。

また、ビックデータを利用して全世界の人事データを集積することで、他国と比較しながら離職率などの分析が可能となった。

充実したキャリアのアドバイス・コーチング

HRテクノロジーを利用した個人向けのキャリアサポートはさまざまあるが、その中にキャリアのアドバイスやコーチングを行うというものがある。紙媒体における求人広告が減少して、就職支援のためのキャリアサイトやジョブボードが増え、そのサービス内容もHRテクノロジーの活用で充実度を増している。

また、多くの人々が利用しやすいよう、SNSや動画を活用し、就職に関する情報やアドバイスの提供を行っている。基本的に求職者向けのサービスであるが、企業向けに従業員の育成やキャリア構築など離職率の減少を助けるサービスも展開されている。働き方が多種多様になった現代では、フリーランスやリモートワークに関する情報提供なども行われている。

求職者をサポートする求人応募の一括管理システム

求職者の多くは就職や転職を行う際、多くの企業や就職に関する情報を抱え、複数の企業にエントリーするために手続きを何度も行わなければいけないことに面倒臭さを覚える。こういった求職活動における管理をサポートしてくれるのが、ジョブサーチオーガナイザー(Job Search Organizer)のようなサービスだ。

求人情報のリストアップや整理、エントリーに関する進捗状況を記録しタスクとして利用者に報告するなど、求職活動を全面的にサポートする。こういったサービスを利用したビジネスモデルとして、企業やリクルーターは料金を支払って求職者のデータベースを閲覧したり、システム自体を購入して求職者に提供したりするものがある。

求職者が絶えることはないためニーズは非常に高いと言えるが、採用が決まれば利用されなくなる。市場の変化に応じてアップデートをし続けなければいけないなど、参入にはリスクもあるだろう。

面接の効率化を図るビデオ面接

近年互いの顔を見ながら通話をするビデオチャットを利用する人は多いが、これを面接に応用したのがビデオ面接である。ビデオ面接には、録画とライブの2種類が存在する。

・録画面接
応募者は企業が用意した専用のサイトにアクセスし、事前に登録されている質問に答えていく面接形式。回答する様子をウェブカメラや携帯電話などに録画する。その様子を見て人事や採用担当者は応募者の評価をする。

・ライブ面接
録画面接とは違い、画面を通してリアルタイムで行う面接形式。通常の面接同様、その場で企業の担当者が応募者に対して質問を投げかけ、それに対して応募者が回答する。

上記の面接形式ではどちらも面接にかかる時間や交通費などの経費を削減することができる。Skypeなどの無料で利用できる通話サービスで行うことも可能だ。しかし、他サービスと互換性があったり、スケジュール管理や評価管理を一括して行えたりするなど、ビデオ面接に特化したプラットフォームを利用することで得られるメリットも多い。

オンライン上の求人情報を大量に集約する検索エンジン

インターネット上に掲載されているたくさんの求人情報を自動的に集約する検索エンジンが、ジョブボード・アグリゲーターだ。企業の求人募集ページや求人サイトだけでなく、SNSなどからも一手に情報を収集する。

企業が利用する場合も基本的には無料だが、検索結果の上位に求人情報を表示させるためには有料サービスの購入が必要だ。企業は無料で求人情報を掲載することができるが、同時に別の手法も利用するのが良いだろう。(提供:百計ONLINE


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