本記事は、和田 博信氏の著書『いつも機嫌のいい人が考えていること』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
気難しい人こそ、戦略できる理由
苦手な人を思い浮かべてください。
それはどのような人でしょうか。
いつも機嫌が悪そうで、話しかけづらい……。
言い方が厳しく、怖い……。
プライドが高くて、注意しづらい……。
話している途中で、すぐ否定してくる……。
自分のやり方が絶対に正しいと思っている人……。
少しのミスでも、必要以上に指摘してくる……。
忙しいオーラを出していて、声をかけるだけで緊張する……。
会話をしていても、どこか見下されているように感じる……。
冗談が通じず、場の空気を固くする人……。
こちらが気をつかっても、まったく歩み寄ってこない……。
感謝やねぎらいの言葉をほとんど口にしない人……。
「それ、前にも言ったよね」と冷たく言ってくる……。
挙げれば、キリがないと思います。
こうした苦手な人とは、できる限り接したくないため、距離をとろうとします。できるだけ関わらないようにすることが唯一の「自分の守り方」だと考えるためです。
人間ですから、それは当然の反応でしょう。
けれど、ここで少しだけ視点を変えてみてください。
コンサルとして、依頼されて企業に行く際に、当たり前ですが苦手な人はいます。
しかし、「苦手だから」といった理由で、その人を避けていては仕事になりません。
ですので、ここでも分析をします。
なぜ、あの人は「気難しい」のか。
なぜ、あの人はみんなに「嫌われている」のか。
なぜ、私はあの人と「距離をとりたがっている」のか。
物事の本質を考えてみるのです。
周りから距離をとられていたり、嫌われていたりする人には「譲れない基準がある」人が多いです。
「融通がきかない」「扱いにくい」と感じられる人は、仕事でも人間関係でも、「これだけは守る」という自分の基準をもっています。多くの人は、場の空気や関係性を保つためにある程度、目をつぶります。しかし、「間違いは指摘すべきであり、意見は発言することに意味がある」と考えている人であれば、黙ってやり過ごすという選択はとりません。
周囲が流してしまうことでも、あえて言葉にするでしょうし、その場の空気が少し悪くなったとしても、気づいたことを指摘するはずです。その姿勢は、場を穏やかに保ちたい人からすると「気難しい人」に見えるかもしれません。ときには「わざわざ言わなくてもいいのに」と思ってしまうこともあるでしょう。
さらに、自分の世界を強くもっている人も同じように見られます。価値観や美意識がはっきりしているため、簡単には人に合わせられません。会話でも、興味のない話題には乗らない。納得できないことにはうなずかない。こうした姿勢が、「気難しい」という印象を生みます。
気難しい人は、感情で動いているわけではありません。
自分のなかにある基準に従って動いているだけです。
もちろん、これらは短所として語られることも多いでしょう。しかし別の角度から見れば、一つの軸をもっているブレない人ともいえます。
周りから距離をとられているように見える人のなかには、「その人なりの基準」を守り続けている人が少なくないのです。だからこそ、表面の印象だけで判断するのではなく、その人がなにを基準にして生きているのかを考えてみると、接し方が変わってきます。
感情ではなく、基準で動いている人は、質を満たせば納得します。
言葉を守る人は、正確に説明すれば納得します。
段取りを守る人は、構造がわかりやすければ納得します。
価値観がはっきりしている人は、尊重されていると気づけば納得します。
相手の基準となる構造を読み解ければ、揉めることもなくなります。どちらかといえば、その人の地雷を踏まないように話したり、行動したりするだけで、嫌われるどころか好かれます。気をつけるだけで、相手の懐に入れます。
人間関係は、性格を合わせるゲームではありません。
相手の基準を読み解く、構造の理解なのです。
あなたが、「苦手な人」として避けている相手こそ、実はもっとも分析しやすい相手になります。いっけん、感情的に怒鳴っている人でも、怒らせた「点」を探し出すと、相手の大切にしている基準がわかります。
人は、なにもないところでは怒りません。
怒るという感情が生まれるときは、必ず「考えの基準」があります。
たとえば、時間に厳しい人がいます。会議に数分遅れただけで、不機嫌になる人です。周囲からすると、「そこまで怒ること?」と思うかもしれません。
しかし、その人の基準はとても単純です。
「時間を守ること= 相手への敬意」という考え方です。
この基準を知っていれば、対応は難しくありません。
約束の時間より早く行くだけで、その人の信頼は高まります。
ほかにも誤字、資料のズレ、数字の根拠。ほんの小さな部分でも、指摘してくる人もいます。このタイプの基準も明確です。
「仕事は完成度で語られる」という価値観です。その人にとっては、「だいたい合っている」は合格ではありません。「正確である」ことが最低ラインなのです。それを踏まえて、再確認を入念にしてから資料を提出すれば、関係はスムーズになります。
逆のケースもあります。丁寧に資料を作成していたら、「そんなことよりも、早く確認させなさい」と怒る人もいます。このタイプの基準は、「仕事は確認作業の連続」だという考え方です。そのため、何度も相談し合って、仕事を磨いていくことが求められます。
相手の基準さえわかれば、対応策が生まれます。
基準で動く人ほど、予測可能です。反応も読めます。地雷も見えます。逆に、喜ぶポイントも見えてきます。人間関係は、「いい人」になる努力ではありません。人は、自分の基準を守ってくれる人を信頼しているのです。
日本サムスン、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、EY税理士法人を経て、2006年にフルライン株式会社に参画、2016年sooupコンサルティング創業。
現在は管理部門支援を行い、東レやロイヤルホテルなどの大企業からベンチャー企業まで、累計660社以上のコンサルティングに携わる。
これまでに累計1,000億円超の収益改善を実現し、3,600件以上のクライアントの社内外で課題解決したノウハウを「落としどころの本質」として企業・団体研修も実施。
高知県をこよなく愛しており、高知県に6年連続企業版ふるさと納税を行う。
先天性心疾患を抱え、36歳ときに多臓器不全で臨死体験を味わったことをきっかけに、人生をいかに効率的に生きるかを常に考えている。
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