本記事は、和田 博信氏の著書『いつも機嫌のいい人が考えていること』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
笑顔で断るコツ
人間関係のストレスは、「断れないこと」から生まれます。
あとになって「なぜ引き受けてしまったのだろう」と後悔するのに、その場で断れない人は多いのではないでしょうか。
断れない理由は、とてもシンプルです。
「感じが悪い人だと思われたくない」からです。
しかし、ここには大きな誤解があります。
断ることと、感じの悪さは別のものです。人間関係を壊す原因は、イヤなのに引き受けてしまう点にあります。
イヤなのに引き受けると、表面上では「大丈夫」だと言っていても、心のどこかに「なぜ私がやらなければならないのか」という感情があります。その感情は必ず態度に出ます。
なんだか言葉遣いが乱暴だな、冷たいな、仕事が雑だなといった少しの変化を、頼んだ側は察知します。すると「この人に頼むと気分が悪い」と感じるようになります。
こうして関係は、ぎくしゃくしていきます。
断れない人は関係を守っているつもりでも、実際には関係を壊す「感情」をもってしまっているのです。
人間関係は、思っている以上に正直です。
言葉よりも、空気や態度のほうが強く伝わります。
一方で、断ることができる人はどうでしょうか。
断る人は、関係が安定しています。
理由は単純です。引き受けたことは、きちんとやるからです。できないことをムリに抱え込まないため、仕事の精度も高くなります。期限も守ります。結果として、周囲からの信頼が積み上がっていきます。
皮肉に聞こえるかもしれませんが、断れる人のほうが信頼されるのです。
では、なぜ断るときに空気が悪くなるのでしょうか。
それは断り方に問題があるからです。断るときに相手の提案を否定していることが原因になります。
「それはできません」
「ムリです」
「いまは忙しいので」
断り文句として普通に見えますが、心理的には相手の提案を否定しています。
相手側から見ると、「自分の依頼が否定された」と感じやすく、相手は言葉にしなくとも「そんなに忙しくないでしょ」「みんな大変なのに仕事しない人だな」「まったく協力してくれないな」という感情をもってしまいます。
断ったことでうまくいかない人を見たり、自分自身が経験したりすることで、「断ると嫌われる」といった固定観念が出来上がっているのです。
それでは、断っても嫌われない人はどのような「断り方」をしているのでしょうか。
最初に、お願いされた仕事に対しての自分の感想を伝えます。
「それ面白そうですね。だけど……」
ポイントは、相手の発想や依頼を尊重している点です。
ほかにも、
「それ大変そうですね! だけど、自分も……」
相手の立場を考えて、共感をします。
相手にだって感情があります。
相手も好きでその仕事をしていない可能性の場合は、その状況や立場を思いやる言葉をつけ加えればいいのです。
そのあとに、自分の立場を守るために「断り」を入れます。
「それ大変そうですね! だけど、今回はすみません」
伝えなければいけないことは、「今回はダメだけども、次回ならもしかすると……」という期待を添えることです。そのあとにはじめて、お断りの謝罪を伝えます。
そのときに忘れてはいけないのは、ノンバーバルの技術です。表情や仕草で相手の話を聞いている姿勢を見せます。相手のほうに体を向けて、相手の顔を見て、言葉を伝えるのです。
現代人はあまりにも忙しく、職場のコミュニケーションを蔑ろにしやすい傾向があります。特に忙しい人は、パソコンを操作しながら相談を受けることも多いです。しかし、この態度は思っている以上に悪印象を与えることになります。
それは、「あなたの話は、いま優先度が高くありません」といった印象を植えつけてしまうからです。キーボードを打ちながら「話は聞いていますよ」と言っても、相手の目にはそうは映りません。画面を見たまま返事をされると、相手は「片手間に扱われている」のではないかと感じます。すると、どれほど丁寧な言葉で伝えても、相手には届きません。
特に断る場面では、この差が決定的です。パソコンを見ながら「今回は難しいです」と言えば、相手には「話をちゃんと聞いてもらえず、適当に断られた」と思われます。
人は断られたことよりも、「どう扱われたか」を強く記憶するのです。ビジネスの現場では能力の差よりも、こうした小さな差が大きな結果を生みます。丁寧に扱われた記憶は、信頼として蓄積されていきます。断る場面こそ、相手を思いやりましょう。
断る技術とは、態度の技術でもあります。
ただし、相手を思いやることは、相手の顔色を伺うことではありません。相手に合わせようと空気を読みすぎると、かえって人間関係に疲弊します。やさしい人は、空気を読みすぎて、しんどい人間関係に苦しむことになってしまうのです。
日本サムスン、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、EY税理士法人を経て、2006年にフルライン株式会社に参画、2016年sooupコンサルティング創業。
現在は管理部門支援を行い、東レやロイヤルホテルなどの大企業からベンチャー企業まで、累計660社以上のコンサルティングに携わる。
これまでに累計1,000億円超の収益改善を実現し、3,600件以上のクライアントの社内外で課題解決したノウハウを「落としどころの本質」として企業・団体研修も実施。
高知県をこよなく愛しており、高知県に6年連続企業版ふるさと納税を行う。
先天性心疾患を抱え、36歳ときに多臓器不全で臨死体験を味わったことをきっかけに、人生をいかに効率的に生きるかを常に考えている。
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