個人投資家に向けたサービスを充実させているネット証券会社も充実してきており、どの証券会社を選べばいいのか迷うこともあるだろう。ネット証券会社の中から「むさし証券」のサービスや特徴を確認していこう。

むさし証券とは

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(画像=むさし証券Webサイトより)

むさし証券と聞くと、新しい証券会社というイメージを持つ人もいるかもしれないが、歴史をたどると1919(大正8)年創業、2019年には創業100年を迎える老舗証券会社だ。1919年に創業した山文商会(1944年に山文証券に商号変更)が千代田証券と合併し、そしあす証券となった。そのそしあす証券が2010年に武蔵証券と合併して誕生したのがむさし証券だ。その後も2011年にのぞみ証券と、2015年に三栄証券と合併し、現在のむさし証券となっている。

むさし証券の本社があるのは埼玉県さいたま市、2017年3月期の営業収益は55億2800万円となっている。本社がさいたま市にあることから、実店舗は埼玉中心だ。埼玉県以外には東京都、神奈川県、千葉県、大阪府にも支店がある。

歴史ある老舗証券会社であるむさし証券だが、知名度はそう高くないようだ。価格ドットコムの証券会社人気ランキング(2018年7月1日〜7月31日)でも18位と、SBI証券やカブドットコム証券といった大手ネット証券会社には及ばない。

しかし個人投資家に向けたサービスを充実させており、使い勝手の良い証券会社となっている。むさし証券の魅力について解説していこう。

取引手数料がネット証券の中でも安い

むさし証券の魅力としてまず挙げたいのが、売買手数料の安さだ。むさし証券は2016年11月に手数料を大幅に引き下げている。特に50万円以下の少額手数料は最大で65%も引き下げており、少額取引が多い個人投資家をターゲットにしたサービス拡充に努めている。

むさし証券では、インターネット取引「トレジャーボックス」を提供している。手数料のプランは、1約定ごとの「トレジャースタンダート」と1日定額制の「トレジャーボックス」の2種類あり、どちらもネット証券業界内でもトップクラスの安さだ。

まず1約定ごとの「トレジャースタンダート」をみていこう。1約定ごとに手数料がかかり、手数料の額は注文の約定金額によって変わる。SBI証券では「スタンダートプラン」と呼ばれる料金プランだ。むさし証券は、SBI証券、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券よりも手数料が安い。約定金額が300万円の場合、マネックス証券では3240円もかかる税込み手数料(300万円の0.1%+税)が、むさし証券では475円と7分の1ほど。この手数料の安さは、個人投資家にとって大きな魅力ではないだろうか。特に、約定金額が多くなればなるほど手数料の安さが際立ってくるため、投資額が大きい投資家はぜひチェックしておきたい。

現物取引の場合の手数料比較表(税込み。むさし証券はトレジャーネット)

約定金額……むさし証券/SBI/カブドットコム/楽天/マネックス
20万円……102円/113円/194円/113円/194円
100万円……345円/525円/1069円/657円/1,080円
300万円……475円/994円/3,013円/994円/3,240円

トレジャースタンダード 手数料表
1回の注文での約定金額……手数料(税抜き)
10万円まで……75円
10万円超〜20万円まで……95円
20万円超〜50万円まで……175円
50万円超〜100万円まで……320円
100万円超〜150万円まで……380円
150万円超〜300万円まで……440円
300万円超〜600万円まで……750円
600万円超〜900万円まで……1,320円
900万円超〜1200万円まで……1,760円
1200万円超〜1500万円まで……2,200円
1500万円超〜1800万円まで……2,640円
1800万円超〜2100万円まで……3,080円
2100万円超〜3億円まで……3,520円

次に、1日の合計約定金額に応じて手数料が変わるトレジャーボックスの手数料をみていこう。SBI証券では「アクティブプラン」に当たる料金プランだ。ア約定金額合計が300万円までは、1律1200円の手数料となっている。

SBI証券では、10万円までは手数料無料であり、10万円〜20万円までは191円(以下、いずれも税込み)、20万円〜30万円までは286円、30万円〜50万円までは429円、50万円〜100万円まで762円になり、以降100万円増加ごとに400円ずつ増加する。SBI証券と比較すると、500万円まではSBI証券の方が手数料は安い。

しかし、500万円以上600万円未満の場合、SBI証券が2477円に対してむさし証券は2400円と安くなる。手数料体系がざっくりしているので、計算がしやすいのは手間がかからない。毎日ある程度の金額を動かす場合は、むさし証券は選択肢にいれてもよいだろう。

トレジャースタンダードとトレジャーボックスの料金プランは、16時までに申し込めば翌営業日からプラン変更が可能。次の営業日の取引内容によって、変更を入れられるのもうれしい。

トレジャーボックス 手数料表

1日の約定金額合計 手数料(税抜き)
300万円まで……1,200円 300万円超〜600万円まで……2,400円 600万円超〜900万円まで……3,600円 900万円超〜1200万円まで……4,800円 1200万円超〜1500万円まで……6,000円 1500万円超〜1800万円まで……7,200円 1800万円超〜2100万円まで……8,400円 2100万円超〜2400万円まで……9,600円 2400万円超〜2700万円まで……1万800円 2700万超……1万2,000円