昨日の海外時間には、イタリアの財政への懸念がやや弱まったことと、バルニエEU主席交渉官が「11月初めまでに合意可能と考えている」と述べたことから、欧州通貨が買われた一方、リスク回避の後退で円売りが強まりました。
今後の見通し
現在、欧州を巡る大きな懸念は、イタリア政府がEUの財政赤字の基準を満たせないのではないかということと、イギリスとEUの間で合意ができずに無秩序なBrexitとなってしまうのではないか、というものです。昨日の海外時間には、週末にイタリアのトリア財務相が「債務圧縮と構造的な財政収支改善は可能」と財政赤字抑制の必要性を強調したことが好感されたことと、バルニエEU主席交渉官が「双方が現実的になれば、第1段階の交渉について向こう6-8週間以内に合意が得られると考えている」「11月初めまでの合意は可能だと考えている」と述べたことからリスク回避が後退し、欧州通貨買い、円売りとなりました。
ただ、特にBrexitに関しては、、バルニエEU主席交渉官はこのところ楽観的な発言が目立っていますが、英国に対してどのような条件でどの程度単一市場に対するアクセスを許すのか、という店についての具体的な報道がないことかから、過度な楽観が巻き戻される可能性があって、一方的に円売りが続くことは難しいのではないでしょうか。
111.40円でドル売り円買い
ドル円の戻り売りを検討していました。仲値がらみの買いで111円台半ばまで上昇してきましたので、111.40円でドル売り円買いのポジションを作りました。5日の高値声の111.80円に損切りラインを置きます。
海外時間からの流れ
欧州時間、週末にイタリアのトリア財務相が「債務圧縮と構造的な財政収支改善は可能」と財政赤字抑制の必要性を強調したことが好感され、イタリア国債利回りが低下する中、ドイツ国債利回りが上昇して(スプレッド縮小)ユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.1580台まで、ユーロ円は128.70円台まで上昇しました。この間リスク回避の後退で円売りも強まってドル円は111.10円台まで小幅に上昇しました。
NY時間にはいって、バルニエEU主席交渉官が「双方が現実的になれば、第1段階の交渉について向こう6-8週間以内に合意が得られると考えている」「11月初めまでの合意は可能だと考えている」などと述べたことからポンドが急騰する中ユーロも買われ、ユーロドルは1.1610台まで、ユーロ円は129.00円台まで上昇しました。この間ドル円は111.10円台を中心とした非常に狭いレンジ内での取引となりました。
ポンドやユーロの買いが一巡すると、NY時間午後にはユーロがやや売り戻され、ユーロドルは1.1590台まで、ユーロ円は128.70円台まで小緩みました。
東京時間にはいってからは、仲値がらみの円売りもあってドル円は上昇しています。
今日の予定
今日の海外時間には、英・8月雇用統計、独・9月ZEW景況感調査、ユーロ圏・9月ZEW景況指数、米・7月JOLT労働調査の発表と、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp