結果の概要:住宅着工は予想を上回るも、許可件数は予想を大幅に下回る
9月19日、米国センサス局は8月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は128.2万件(前月改定値:117.4万件)と、116.8万件から上方修正された前月値を上回ったほか、市場予想の123.8万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。
一方、住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は122.9万件(前月改定値:130.3万件)と、こちらは、131.1万件から下方修正された前月、および市場予想の131.0万件を大幅に下回った(図表2、図表5)。
結果の評価:許可件数は戸建てが減少に転じるなど、住宅市場の回復遅れを示唆
住宅着工件数の伸びは、前月比+9.2%(前月:▲0.3%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表3)。戸建てが+1.9%(前月:+1.1%)と2ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅が+29.3%(前月:▲2.5%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表4)。
一方、前年同月比は+9.4%(前月:▲0.9%)と、こちらも3ヵ月ぶりのプラスとなった。戸建てが▲0.2%(前月:+2.5%)と前月からマイナスに転じたものの、集合住宅が+38.1%(前月:▲9.2%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じ全体を押上げた。
地域別寄与度(前月比)は、北東部が横這い(前月:▲0.4%ポイント)、西部が+4.3%ポイント(前月:▲6.6%ポイント)と前月から増加に転じたほか、中西部が+1.4%ポイント(前月:+0.9%ポイント)、南部も+3.5%ポイント(前月:+5.9%)と2ヵ月連続のプラスとなるなど、すべての地域でプラス寄与となった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲5.7%(前月:+0.9%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが▲6.1%(前月:+2.3%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、集合住宅が▲4.9%(前期:▲2.1%)と5ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。 前年同月比も▲5.5%(前月:+3.6%)と前月からマイナスに転じた。戸建てが+2.1%(前月:+6.9%)と14年5月以降プラスを維持した一方、集合住宅が▲17.7%(前月:▲2.5%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、減少幅が拡大した。
8月は、着工件数では集合住宅中心に予想以上の回復がみられたものの、許可件数では戸建てが減少に転じるなど弱さが目だっており、住宅市場の回復が遅れていることを示唆する結果と言える。
一方、建設業者による新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は直近9月が67(前月:67)と、前月から横這いとなった。同指数は依然として高い水準を維持しているものの、17年12月につけた74をピークに低下基調となっている(図表7)。
同指数の項目別内訳をみると、住宅販売の現況が74(前月:73)、今後6ヵ月見通しが74(前月:72)と前月から回復した一方、客足は49(前月:49)と横這いとなった。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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