会社員は投資で「ラク」をするべきである

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(画像=トウシル)

先日、ほったらかし投資のヒントについて新聞の取材を受けました。テクニック的なことはいろんな方がコメントされると思いますので、私は「そもそもなぜ、ほったらかし投資が必要か」という話をしました。

というのも、会社員がほったらかし投資でラクをするべきなのには理由があるからです。その理由を自覚することは、なんとなくトレードをして、なんとなくパフォーマンスに一喜一憂するという投資スタイルから卒業し、「働きながら投資をする人にとってちょうどいいマーケットとの距離感」を構築していくためにも役立つ話かもしれません。

今回は、なぜ会社員は投資でラクをするべきなのか、という話をしてみたいと思います。

投資が「仕事」と「プライベート」に支障を与えるのは本末転倒

仕事に支障を及ぼす投資はNG

企業型確定拠出年金の加入者である会社員は実は650万人もいます。これは会社員の5~6人に1人に相当します。

企業型確定拠出年金では投資教育の重要性が指摘されますが、同時に悩みとなるのは「投資に夢中になって仕事がおろそかになっては困る」というものもあります。 (実際は、投資に無関心な人のほうが多くて困ることになるのですが)

確かに投資デビューした直後は、株価の動向が気になりスマホやパソコンの画面をずっとにらめっこしていることがあります。これでは仕事になりません。デイトレやスイングトレードのスタイルで個別株投資をやろうとすれば、平日の9時から午後3時までは取引をしたくなりがちです。

設定しておいたアラートメールが鳴ればスマホを持ってトイレに駆け込み売買注文をして、何食わぬ顔をして仕事に戻ります。パソコンの画面にはひっそりYahoo!ファイナンスを開いておきます。

しかしこれはうまくいかないやり方で、たいてい「あぶはち取らず」になります。トレードの収益も仕事の成績も中途半端になりかねないということです。

投資に気を取られるあまり仕事でミスをしたり、中途半端な業務姿勢が上司にバレて昇格昇給のチャンスを逃したりすれば、これは人生を通じて数千万円のロスになるかもしれません(あなたがバレないと思っていても、上司にはほぼ確実にバレてます)。

だとすれば、業務時間内の投資で数万円から数十万円を稼ぐより、大事なことがあるはずです。仕事です。投資がもし仕事に支障を与えるとしたら、これは回避するべきです。

プライベートをむしばむ投資もNG

また投資が「プライベート」に支障を与えるとしたらこれも本末転倒です。

仕事が終わったあとの時間はリラックスをして英気を養うべきです。あるいは家族や友人、恋人と共にする時間を大切にすることで幸せを得たりします。

ところが、FXに夢中になった人などはアメリカの経済統計が出る前後、つまり夜にスマホかパソコンに張り付くことになります。家族や恋人との時間は削られ、ストレスはたまります。これで人生を変えるだけの収益になればいいのですが、むしろマイナスになっていてはこれも本末転倒です。お金を溶かしては家族に当たり散らし、結果として別れることになったり家庭内不和を生じさせている人もいたりします。

投資は仕事やプライベートをダメにするためにあるわけではないはずです。

もちろん、「ラク」がパフォーマンスを下げたりリスクを高めるのでは意味がない

投資のスタイルは人それぞれですが、負担や苦労に見合うパフォーマンスとなるかは意識をしておくべきだと思います。たくさんの情報を収集し、また投資の知識や理論を増強し、そのための時間を費やすことで、大きくパフォーマンスが改善するのであればやればよいかと思いますが、正直結果は約束されません。

一方で、ラクをすることがパフォーマンスをただ引き下げてかつリスクを高めるのではこれもおかしな話です。つまり、投資に注ぐリソースについてバランスよく設定する必要があります。

ラクをするならラクをするなりに、「有意義なラク」にしなければなりません。賢く上手にやる必要があります。ラクをすることでまず「期待リターン」についてはある程度下げることになります。といっても年3~4%程度、インフレを数%確実に上回る程度の利回りを目指すと考えることで、投資の負担は大きく軽減されます。

また、「投資のゴール」をできるだけ明確にし、可能であれば遠くにすることは短期的な値下がりを乗り越えることを可能にします。回復が期待できる市場、あるいは商品であれば、短期的な元本割れでの売買を見過ごしてもよくなりますし、むしろ新規購入を可能とします。これまた負担軽減になります。

そして期待リターンを抑えて投資方針を再設定することは「リスク」を抑えることにもつながります。大幅な値下がりが生じることそのものを抑えられれば、投資を続けることもまたラクになるわけです。といっても、国際分散投資をした場合でも年15%くらいの値下がりを許容する必要はあります(年金運用がリーマンショックの年度に生じた損失割合がこの程度です)。

4000万人の現役世代が投資をする時代が来るからこそ、インデックス×積み立て×長期のほったらかしが会社員に「向いている」

普通に働き、普通に暮らす人々が、ラクをしつつ、かつ効率的な投資を行うことをまじめに考えた場合、結論として「インデックス運用×積み立て投資×長期投資」を選択することになります。

ほったらかし投資は、パフォーマンスを極大化させる方法でも元本割れを一度もしない方法でもありません。しかし、自動的に投資を継続させ、中期的にはほとんど何もせずに経済成長のリターンを手に入れる方法のひとつです。

先ほど会社員の確定拠出年金口座が650万あるといいましたが、iDeCo口座も100万口座、NISA口座は1000万口座以上あります。

最終的には現役世代の多くが仕事や家事育児をしながら、お金の一部を投資する時代になります。そのとき口座数は延べ4000万口座を超えることになるでしょう。

そのうち数百万人くらいはスイングトレードや個別株投資をすることになるかもしれませんが、4000万人の日本人が毎日デイトレをすることはまずありえません。

そのとき、ほったらかし投資のスタイルは日本人の投資のスタンダードになるでしょう。その頃にはたくさんの日本人が、ほとんど労力をかけずに投資を行い、かつリターンを得る時代がやってくるはずです。

あなたも、ラクをしつつ、資産の一部を投資に振り向けその成長を早めるスタイルに向き合ってみてはいかがでしょうか。

山崎 俊輔(やまさき しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。企業年金連合会調査役として確定拠出年金の調査、制度改善要望等を担当。老後の年金や退職金制度も考慮したトータルな資産運用プランを提案。1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。

(提供=トウシル

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