ビットコインだけではない!「ブロックチェーン」のすごさ

ブロックチェーン,村上和徳
(画像=The 21 online)

今、話題の「ビットコイン」。その基礎技術として知られるのが「ブロックチェーン」だ。名前は聞いたことがある人も増えていると思われるが、その仕組みを知る人はもちろん、その何がすごいのかを理解している人はさらに少ないだろう。経営コンサルタントとして活躍するかたわら、ブロックチェーンの企業を立ち上げた村上和徳氏にお話をうかがった。

ブロックチェーンの何が「革命的」なのか?

これまでコンサルティングや人材育成を手がけてきた私がブロックチェーン関連の会社を設立したのは、これがまさに「革命」であり、私が理想とする世の中を実現する大きな武器になると考えたからです。

ブロックチェーンの何が革命的なのか。よく言われるのが「価値の移動を実現した」ことです。より正確には「『価値のコピペ』ではなく『価値の移動』を実現した」となると思います。

これまで、人類の文明はすべてコピペ(コピー&ペースト)から生まれてきました。洞窟に描かれた壁画は風景や動物のコピペであり、玄奘三蔵や空海が必死になって持ち帰ったのはお経の「コピペ」でした。グーテンベルクは印刷機で大量のコピペをばらまき、知識革命を起こした。現代におけるコピー機、そしてインターネット上の情報もまた「コピペ」の延長線上にあります。

コピペの唯一の弱点は「移動」でした。コピペでは価値は増えるだけですし、コピペが容易だということは、不正も容易だということ。そのため、今の仕組み上で価値の移動、たとえばお金のやり取りをしようとすると、膨大なコストと手間暇をかけてセキュリティを強化せねばならず、それでも日々、情報漏洩事件が起きているのは周知の事実です。

「ナカモトサトシ」氏の提唱した革新的なアイデア

その状況に答えを出したのが「ナカモトサトシ」という謎の人物が提唱した「ブロックチェーン」なのです。

ブロックチェーンとは何かを教科書的に表現すれば「取引データの塊を一定期間で生成して、時系列で鎖のようにつなげることによってデータを保管する技術」となります。

そしてその取引を「世界中の人が監視」しているため不正が起こり得ず、「世界中にデータが分散されて置いてある」ため、1カ所がハッカーによって破られても情報が漏洩することがない。だから安全で確実。実際にはより複雑ですが、簡単に言えばそういうことになります。

その仕組みを仮想通貨に応用したのが「ビットコイン」であり、その他、さまざまなネットサービスへの活用が進んでいます。たとえばエストニアではブロックチェーンを活用して国の業務を自動化し、大幅な効率化を実現しています。

「噂話」がホモ・サピエンスを頂点に押し上げた?

これだけだと単に「便利なセキュリティシステム」にすぎないと思われそうですが、私が革命的だと感じているのは、それが社会に与えるインパクトです。世の中のヒエラルキーが崩壊し、「正直者が勝つ社会」が生まれると考えているのです。

ベストセラー『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ著、河出書房新社)によれば、現在の人類の祖先であるホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人を始めとした他の人類より力も体格も劣っていたそうです。

そんな我々だけが生き残った理由は「噂話」。人の噂話ができるということは、そこにないものを「空想」できるということ。そしてそれを信じられるということです。

だからこそホモ・サピエンスは神様を作り、国家を作り、それを信じることで団結し、強力な力を発揮してきたというのです。今でも人間が噂話好きなのは、週刊誌の人気が証明しているとおりです。