フリマアプリのメルカリやネットオークションなどで不用品を販売し、収入を得ている人も多いだろう。稼いだ収入の額が大きくなるほど、確定申告が必要かどうか気になるところだ。結論から言うとちょっとした不用品を販売して得た収入は、基本的には確定申告の必要がない。だが住民税の申告は必要になるため注意が必要だ。

会社員であっても確定申告が必要なケースは?

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(画像=William Potter/Shutterstock.com)

会社員など収入が給与所得のみである場合は、原則的としては確定申告が不要となる。なぜなら源泉徴収という形で税金を徴収され、年度末にその年の所得税が確定・調整(年末調整)されるからだ。

会社員であっても確定申告をしなければならないのは、給与所得や退職所得以外の所得が年間で20万円以上ある場合だ。ここで注意したいのは、確定申告が必要か否かの判定基準となるのは、売上ではなく所得が20万円以上ということだ。所得とは「売上-経費」のこと。つまり、売上額から送料や梱包資材費用などの経費を引いた利益の合計が20万円以上の場合、確定申告が必要になる。例えば30万円の売り上げがあったとしても、経費が20万円であれば所得は10万円となり、確定申告は不要ということになる。

確定申告が不要な例と必要な例

メルカリなどで所有物を売ったことによる収入は、所得のうちでも譲渡所得にあたる。この譲渡所得のうち「生活用動産の譲渡による所得」には課税されない。生活用動産とは、家具、衣料など生活に通常必要な動産のことである。通常生活する中で使用する商品の販売収入については課税されないため、確定申告が不要となる。

ただし貴金属や宝石、書画、骨董などで1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税される。譲渡所得には50万円の特別控除があるため、1個当たり30万円を超える商品を販売しても、年間の譲渡所得が50万円以下であれば申告不要となる。

給与所得者の生活用動産の販売であっても、客観的にみて営利目的と判断されれば事業所得とみなされ、課税対象になる可能性がある。

「営利目的の販売」には、明確な定めがあるわけではない。毎月定期的に取引が行われている、月に何十件もの取引を行っている場合などは営利目的と判断される可能性がある。確定申告が不要な例と必要な例をまとめると以下のようになる。

確定申告が不要な例

・生活用動産の販売(古着、子供服、ベビー用品、靴、本、ゲーム、DVD、など通常生活する中で使用するもの)

確定申告が必要な例

・貴金属や宝石、書画、骨董などで1個または1組の価額が30万円を超えるもの(譲渡所得)
・生活用動産の販売であっても営利目的で得た利益(事業所得)

場合によっては確定申告が必要な例

・貴金属等ではないが30万円を超えるブランド品、オーディオなどの家電、ゴルフ用品などの高級品
・時計、本、ゲーム、DVDなど趣味で収集したものでもプレミアがつくなど価値が高く、30万円以上のもの

税務署によって判断が分かれることも多いため、不安がある場合は事前に税務署や税理士に相談したほうがよいだろう。

確定申告が不要でも住民税の申告は必要になる

注意したいのが、所得税の確定申告と住民税の申告は別だということだ。

確定申告や年末調整をすると、税務署が所得や控除などの内容を住民票のある地方自治体に通知し、それを基に地方自治体が住民税を計算する。自ら住民税の申告をする必要はない。

給与所得や退職所得以外の所得が20万円以上ない場合は、国税である所得税の確定申告をする必要はないが、地方税である住民税は自ら申告をしなければならない。つまりメルカリなどで所得があった場合、その額に関わらず住民税を申告する必要があるのだ。

住民税申告書の提出期間は、確定申告と同様に原則2月16日(2019年は土日祝日の関係で2月18日から)から3月15日までだ。提出場所は自治体によって違うので居住地の自治体のホームページなどで確認してほしい。

確定申告の分岐点は「販売金額―購入金額」が合計70万円以上

使わなくなった時計や本、DVD、ゴルフ用品など、不要になったものを捨てるのではなくお金に換えられるフリマアプリはとても便利だ。

だが確定申告や住民税申告について正しい理解がないと、知らないうちに税金の申告漏れとなり、ペナルティーを課せられる恐れがある。

確定申告が必要になる目安は、買った金額以上の金額で売れ、その差額の合計が70万円(特別控除50万円と譲渡所得20万円の合計)超である場合。それ以外の場合には住民税申告が必要と覚えておけばいいだろう。

文・佐藤美奈子(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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