本記事は、横山 信弘氏の著書『正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
「仕組み作り」が失敗する3つの理由
~手段の目的化を防げ~
仕組みは、作り方を誤ると成果を生まない負担になります。「説明のため」「手段の目的化」「複雑化」という、仕組み作りが失敗する典型的な3つの理由を整理します。
仕組みは目標達成の強力な武器になりますが、作り方を間違えると、逆に足を引っ張る「お荷物」になってしまいます。
高度情報化が進む現代において、多くの組織や個人が陥っている「典型的な3つの失敗パターン」を紹介しましょう。
① 「誰かに説明するため」に作っている
最も多いのがこのケースです。
- 上司に報告しやすいように
- 会議で見栄えのする資料を出したい
このような動機で作られた仕組みや管理資料は、たいてい誰の役にも立ちません。
業績が伸び悩んでいる組織ほど、資料が美しく、グラフや文字で埋め尽くされています。しかし、それは「成果を出すため」ではなく、「やってます感を出すため」です。
会議のたびに資料作成に追われ、本来の活動時間が奪われていく。
「仕組み」を入れたことで、単なる「負担」を増やす結果になるのです。
② 手段が目的化している
次に多いのが、「手段の目的化」です。
本来、仕組みは進捗管理を助けるための「道具」にすぎません。ハサミとか、消しゴムといった文房具と同じと考えましょう。ハサミは切るため、消しゴムは消すためにあります。
しかし、いつの間にか「仕組みを作ること」自体が目的になってしまう人がいます。
- 最新の営業支援システムを導入しよう
- すべてのデータを一元管理できるダッシュボードを作ろう
言葉は魅力的です。しかし、導入することに満足してしまい、“そのシステムを使ってどう目標を達成するか”という本来の目的が置き去りにされます。
結果、現場には入力項目が膨大なシステムだけが残り、誰も使いこなせずに放置されるのです。
③ 複雑にしすぎる
3つ目は、仕組みを複雑にしすぎてしまうことです。
真面目な人ほど、「情報を網羅したい」「漏れなく管理したい」と考え、管理項目を増やしてしまいます。
ある企業の経営企画室では、月次報告のために30ページもの資料を毎月作成していました。その作成に数日を費やし、分析する頃には数字が古くなっている…… これでは本末転倒です。
目標達成に必要なのは、すべての情報を集める「網羅思考」ではなく、成果につながるポイントだけを見る「仮説思考」です。
「この数字さえ見ておけば、打ち手がわかる」
そう言える項目だけに絞り込む勇気がない仕組みは、どれだけ情報を集めても成果にはつながりません。
「仕組み作り」が失敗する「3つの理由」
仕組みは増やすものではなく、削ぎ落として磨くもの── その視点を持てたとき、はじめて成果を生む道具になります。
Point
☒ 「仕組み作り」が失敗するときには、3つの理由がある
☒ ① 誰かに「説明するため」に作られている(見栄え重視)
☒ ② システム導入自体が「ゴール」になっている(手段の目的化)
☒ ③ 情報が多すぎて「複雑」である(網羅思考の罠)
効果を生む“続けられる仕組み”とは?
成果を生む仕組みの条件は、立派さではなく「続けられるかどうか」です。今日から使えて運用が回る、成功する仕組みに共通する3つのポイントを整理します。
では、目標達成に必要な「仕組み」とは、どのようなものでしょうか? それは、開発や導入に時間がかからない、今日からすぐに使えるシンプルなものです。
成功する仕組みには、次の3つの共通点があります。
① 目標達成のために作られている
仕組みは「見栄えのよい資料」を作るためのものではありません。「目標を達成させる」ための道具です。
高度なシステムや最新アプリである必要はありません。自分やチームがストレスなく使えることを最優先にして考えましょう。
ある主婦は、ダイエットのために冷蔵庫に方眼紙を貼り、毎日手書きで体重とウエストを記録していました。「アプリよりも、毎日目に入る手書きのほうが続けやすかった」と言います。
私自身も、読書量や運動回数、記事のアクセス数などをすべて方眼ノートで管理しています。
見返しやすく、書くことで意識も整理できる。流行にとらわれず、自分にとって相性のいいものを選びましょう。
実際のメモの写真
② シンプルである
次に大切なのは、シンプルであること。
仕組みは「見た瞬間に状況がわかる」ことが理想です。複雑すぎる仕組みは、運用が難しく、すぐに形骸化します。
- 仕組みの数を必要最小限にする
- 仕組みで“見える化”する項目を必要最小限にする
ある経営者は、毎朝10種類のグラフを部下に見せるよう指示していました。しかし、実際に自分が見ていたのは2種類だけ。そこで思い切って2種類に絞ったところ、部下の意識が高まり、目標達成率が一気に向上したのです。
「たくさん見る」より、「すぐわかる」。これが、継続する仕組みの条件です。
③ 運用の負担が小さい
3つ目は、運用の負担が小さいこと。
データ入力や確認に手間がかかる仕組みは、どんなに便利でも続きません。
ある食品メーカーの営業部門では、SFA(営業支援システム)、Excel管理表、社内システムと3つの仕組みを併用していました。入力の手間が多く、現場は疲弊していました。しかも、
「どのデータを見れば現状がわかるのか、さっぱりわからない」
という状態。結局すべての仕組みが運用停止に。そこで課長は、A3用紙に手書きで棒グラフを貼り出す方式に切り替えました。
これが大成功。毎日誰の目にも入るので、チーム全体の緊張感が自然と生まれたのです。
成功する仕組みの3つのポイント
仕組みとは「正しく作ること」よりも、「無理なく使い続けられること」で成果が決まる……。その視点を持てたとき、仕組みははじめて目標達成の力になります。
Point
☒ システムより手書きのほうが見返しやすく、書くことで意識も整理できる
☒ 「たくさん見る」より、「すぐわかる」が継続するコツ
☒ 毎日使われ続けるものを使う
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