本記事は、横山 信弘氏の著書『正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル
(画像=78art/stock.adobe.com)

「仕組み作り」が失敗する3つの理由
~手段の目的化を防げ~

仕組みは、作り方を誤ると成果を生まない負担になります。「説明のため」「手段の目的化」「複雑化」という、仕組み作りが失敗する典型的な3つの理由を整理します。

仕組みは目標達成の強力な武器になりますが、作り方を間違えると、逆に足を引っ張る「お荷物」になってしまいます。
高度情報化が進む現代において、多くの組織や個人が陥っている「典型的な3つの失敗パターン」を紹介しましょう。

① 「誰かに説明するため」に作っている

最も多いのがこのケースです。

  • 上司に報告しやすいように
  • 会議で見栄えのする資料を出したい

このような動機で作られた仕組みや管理資料は、たいてい誰の役にも立ちません。
業績が伸び悩んでいる組織ほど、資料が美しく、グラフや文字で埋め尽くされています。しかし、それは「成果を出すため」ではなく、「やってます感を出すため」です。
会議のたびに資料作成に追われ、本来の活動時間が奪われていく。
「仕組み」を入れたことで、単なる「負担」を増やす結果になるのです。

② 手段が目的化している

次に多いのが、「手段の目的化」です。
本来、仕組みは進捗管理を助けるための「道具」にすぎません。ハサミとか、消しゴムといった文房具と同じと考えましょう。ハサミは切るため、消しゴムは消すためにあります。
しかし、いつの間にか「仕組みを作ること」自体が目的になってしまう人がいます。

  • 最新の営業支援システムを導入しよう
  • すべてのデータを一元管理できるダッシュボードを作ろう

言葉は魅力的です。しかし、導入することに満足してしまい、“そのシステムを使ってどう目標を達成するか”という本来の目的が置き去りにされます。
結果、現場には入力項目が膨大なシステムだけが残り、誰も使いこなせずに放置されるのです。

③ 複雑にしすぎる

3つ目は、仕組みを複雑にしすぎてしまうことです。
真面目な人ほど、「情報を網羅したい」「漏れなく管理したい」と考え、管理項目を増やしてしまいます。
ある企業の経営企画室では、月次報告のために30ページもの資料を毎月作成していました。その作成に数日を費やし、分析する頃には数字が古くなっている…… これでは本末転倒です。
目標達成に必要なのは、すべての情報を集める「網羅思考」ではなく、成果につながるポイントだけを見る「仮説思考」です。
「この数字さえ見ておけば、打ち手がわかる」
そう言える項目だけに絞り込む勇気がない仕組みは、どれだけ情報を集めても成果にはつながりません。

「仕組み作り」が失敗する「3つの理由」

正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル
(画像=正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル)

仕組みは増やすものではなく、削ぎ落として磨くもの── その視点を持てたとき、はじめて成果を生む道具になります。

Point
☒ 「仕組み作り」が失敗するときには、3つの理由がある
☒ ① 誰かに「説明するため」に作られている(見栄え重視)
☒ ② システム導入自体が「ゴール」になっている(手段の目的化)
☒ ③ 情報が多すぎて「複雑」である(網羅思考の罠)

効果を生む“続けられる仕組み”とは?

成果を生む仕組みの条件は、立派さではなく「続けられるかどうか」です。今日から使えて運用が回る、成功する仕組みに共通する3つのポイントを整理します。

では、目標達成に必要な「仕組み」とは、どのようなものでしょうか? それは、開発や導入に時間がかからない、今日からすぐに使えるシンプルなものです。
成功する仕組みには、次の3つの共通点があります。

① 目標達成のために作られている

仕組みは「見栄えのよい資料」を作るためのものではありません。「目標を達成させる」ための道具です。
高度なシステムや最新アプリである必要はありません。自分やチームがストレスなく使えることを最優先にして考えましょう。

ある主婦は、ダイエットのために冷蔵庫に方眼紙を貼り、毎日手書きで体重とウエストを記録していました。「アプリよりも、毎日目に入る手書きのほうが続けやすかった」と言います。
私自身も、読書量や運動回数、記事のアクセス数などをすべて方眼ノートで管理しています。
見返しやすく、書くことで意識も整理できる。流行にとらわれず、自分にとって相性のいいものを選びましょう。

実際のメモの写真

正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル
(画像=正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル)

② シンプルである

次に大切なのは、シンプルであること。
仕組みは「見た瞬間に状況がわかる」ことが理想です。複雑すぎる仕組みは、運用が難しく、すぐに形骸化します。

  • 仕組みの数を必要最小限にする
  • 仕組みで“見える化”する項目を必要最小限にする

ある経営者は、毎朝10種類のグラフを部下に見せるよう指示していました。しかし、実際に自分が見ていたのは2種類だけ。そこで思い切って2種類に絞ったところ、部下の意識が高まり、目標達成率が一気に向上したのです。
「たくさん見る」より、「すぐわかる」。これが、継続する仕組みの条件です。

③ 運用の負担が小さい

3つ目は、運用の負担が小さいこと。
データ入力や確認に手間がかかる仕組みは、どんなに便利でも続きません。

ある食品メーカーの営業部門では、SFA(営業支援システム)、Excel管理表、社内システムと3つの仕組みを併用していました。入力の手間が多く、現場は疲弊していました。しかも、

「どのデータを見れば現状がわかるのか、さっぱりわからない」

という状態。結局すべての仕組みが運用停止に。そこで課長は、A3用紙に手書きで棒グラフを貼り出す方式に切り替えました。
これが大成功。毎日誰の目にも入るので、チーム全体の緊張感が自然と生まれたのです。

成功する仕組みの3つのポイント

正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル
(画像=正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル)

仕組みとは「正しく作ること」よりも、「無理なく使い続けられること」で成果が決まる……。その視点を持てたとき、仕組みははじめて目標達成の力になります。

Point
☒ システムより手書きのほうが見返しやすく、書くことで意識も整理できる
☒ 「たくさん見る」より、「すぐわかる」が継続するコツ
☒ 毎日使われ続けるものを使う

正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル
横山 信弘(よこやま・のぶひろ)
株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役会長。企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。15年間で3,000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラム、昨今はYouTubeチャンネル『予材管理大学』を通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。『日経ビジネス』『東洋経済』『PRESIDENT』など、各種ビジネス誌への寄稿、多数のメディアでの取材経験がある。メルマガ「草創花伝」は3.8万人超の企業経営者、管理者が購読する。著書は『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズを含む26冊。累計50万部超。多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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