本記事は、横山 信弘氏の著書『正しく立てて成果につなげる 目標達成の全スキル』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
目標を可視化するSMARTの法則
~「絶対達成」のための5つの視点~
SMARTの法則を使えば、目標は「願望」から「達成可能なゴール」へ変わります。5つの視点で目標を可視化し、確実に行動へ落とす考え方を解説します。
達成を導く「SMARTの5原則」
目標設定の世界的スタンダードである「SMARTの法則」について解説します。これは、目標を「願望」で終わらせず、確実に達成へ近づけるために有用です。
この法則を正しく理解し、意識するだけで、目標は抽象的な「願望」から、イメージしやすいゴールへと劇的に変わります。
まずは、基本の5つの要素を確認しましょう。あなたの目標は、これらをすべて満たしているでしょうか?
S(Specific):具体的であること
誰が聞いても同じ情景をイメージできる言葉になっていますか?
×「コミュニケーション力を上げる」
○「傾聴と質問のスキルを身につける」
M(Measurable):測定可能であること
達成できたかどうかを、数字で判定できますか?
×「お客様満足度を上げる」
○「お客様アンケートで平均4.5点以上を取る」
A(Achievable):達成可能であること
希望的観測ではなく、現実的に達成できる見込みがありますか?
×「気合いで売上を倍にする」
○「過去最高益の1.2倍を目指す」
R(Relevant):目的に関連していること
その目標は、上位の目的(ビジョンや理念)とつながっていますか?
×「(売上アップが目的なのに)SNSのフォロワー数を増やす」
○「(売上アップのために)見込み客リストを増やす」
T(Time-bound):期限が明確であること
「いつまでに」やるかが決まっていますか?
×「なるべく早くやる」
○「3月31日までに完了させる」
SMARTの5原則
プロはここを見る! 「T」と「A」の徹底
この5つはどれも大切ですが、私がコンサルティングの現場で特に厳しくチェックするのが、「T(期限)」と「A(達成可能)」です。
なぜなら、目標達成に失敗する人の9割は、この2つの詰めが甘いからです。
① T(期限)がない目標は、ただの「願望」
「会計の知識を身につけたい」
「いずれAIについても勉強できたら」
「時間ができたら、毎月2冊は本を読みたい」
このようなことを口にする人が多いですが、期限が設定されていないので、これらは目標とは呼べません。ただの「願望」です。
期限のない目標は、いつまでも実行されないもの。大阪から東京に行くときも、「いつか着けばいい」と考えていたら、新幹線に乗るべきか、歩いて行くべきか、手段さえ選べなくなります。
たとえば、「5月25日までに」と決めるからこそ、そこから逆算して「今月は何をすべきか」「今日どこまで進むべきか」が決まるのです。
期限は、あなたの心にある“行動のスイッチ”を押す、最強のトリガーになるのです。
② A(達成可能)を甘く見ない
もう一つ、私が重要だと思っているのが「達成可能性」です。
これは、「低い目標にして楽をしろ」という意味ではありません。
「今の自分のリソース(時間・お金・体力)で、現実的に可能なのか?」を冷静に見極めよう、という意味です。
たとえば、働きながら「1か月で300時間勉強する」という目標を立てたとします。
1日あたり10時間です。仕事をして、通勤して、食事をして…… となると、睡眠時間を削らなければ物理的に不可能です。
「気合いでなんとかする」と言って立てた無理な目標は、必ず破綻します。そして破綻したとき、「自分はダメだ」と自信を失ってしまうのです。
無理な高みを目指すのがプロではありません。
「今のリソース配分で、絶対に達成できると言い切れるか?」
ここを厳しくシミュレーションし、計画に落とし込むのが、プロの目標設定なのです。
SMARTは「チェックリスト」で終わらせるな
SMARTは強力なフレームワークですが、形だけ当てはめても意味がありません。
- いちおう、数字は入れた
- いちおう、期限も決めた
- いちおう、達成可能と言える
この「いちおうSMART」が、実は最も危険です。
本当に機能するSMARTとは、「これなら絶対にやるしかない」と自分を追い込めるレベルまで具体化されている状態です。
たとえば、「3月末までに売上120%」と書いても、行動が変わらなければ意味がありません。
- 誰が
- 何を
- どのくらい
- いつまでに
ここまで落とし込んで初めて、SMARTは“戦略”になります。
SMARTは、目標を飾るための理論ではありません。行動を変えるための設計図です。
目標を立てたあとの「落とし穴」とは?
ここまで、正しい目標の立て方についてお話ししてきました。
「目的・目標・指標」を分け、SMARTの法則で具体化する。これでスタートラインには立てました。
しかし、ここで安心しないでください。実は、多くの人が目標を立てた直後、ある「間違い」をおかして失敗します。それは、「いきなり計画を立ててしまうこと」です。
「えっ? 目標が決まったら、計画を立てるのは当たり前じゃないの?」
そう思った方こそ、要注意です。目標と計画の間には、実はもうワンステップ、挟まなければならない工程があります。これを飛ばすと、どれだけ立派な計画を立てても「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
Point
☒ 行動が変わるレベルまで具体化する
☒ SMARTはチェック項目ではなく、実行設計である
☒ 形だけの「いちおうSMART」に注意する
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