「スーツにリュック」を合わせるビジネスパーソンが増えているという。その利便性の高さから広く支持されているわけだが、一方で「スーツにはリュックは合わない」という否定的な意見もある。そのネガティブな意見から解放される方法はあるのか。また40代はどんなものを選ぶべきなのだろうか。

もはやリュックはビジネスバッグとして市民権を得ている

カバン選び,ビジネスコーデ
(画像=Ollyy/Shutterstock.com)

雑誌『DIME』(小学館)の2016年6月16号によれば、丸の内の交差点で1時間の定点観測を行った結果、バッグ:リュックの比率は6:4だったという。筆者も先日、丸の内を訪れた際に少し数えてみたが、同じような割合だった。

オフィスのドレスコードに厳しい、おカタい企業が多い丸の内でさえ、リュックが受け入れられている。全国ともなればなおさらだろう。

「スーツにリュックはカッコ悪いと思う」と答えた男性の割合は、全国で20代19.5%、30代28.3%、40代29.7%、50代44.1%、60代43.7%となっている(ウェブメディア・しらべぇの2016年の調査より)。

若い世代がスーツにリュックでも違和感を覚えていないのは想定内だが、60代の男性でも過半数がスーツにリュックを受け入れているという点は驚きだ。

デキるビジネパーソンほどリュックを好む?

大企業のトップもビジネスシーンでリュックを愛用している。筆者が担当した雑誌の企画で経営者が愛用している靴と鞄を取材した際、経営者が2人ともビジネスで使っていた鞄はリュック。その理由は、身軽に動き回れるからというシンプルなものだった。

トップだからこそドレスコードを気にせず自分のスタイルを貫けるという面はあるかもしれないが、合理性をバッグにまで徹底できる人物だからこそ経営者として優秀ともいえるのではないだろうか。「デキる人はビジネスリュックを使っている」と主張する経営コンサルタントもいるくらいだ。

上品なリュックを選ぶ

リュックには荷物を持っても両手が空き、重さが分散されるという大きなメリットがある。だが「スーツにリュック」否定派は、「スーツの品位が損なわれる」と主張する。たしかに40代ともなれば、ビジネスシーンでの「品位」は意識したい。

品格を取るか利便性を取るか、見た目か機能かというトレードオフの関係が存在する。このトレードオフの状態を解決できる方法はあるのだろうか。

たとえば3WAYバッグ。リュック、ブリーフケース、ショルダーバッグという3種類のバッグの良いとこ取りをして持ち方が選べるバッグのことだ。

近年、多くのブランドで一番売れているビジネスバッグだ。通勤時はリュック、商談時はブリーフケースと、シーンに合わせてアレンジできる。

ただし3WAYもデメリットもある。ブリーフケースやショルダーバッグとして使用する際は横向き、リュックとして使う際は縦向きになるので、中に入れた荷物が散らばりやすい。

ブリーフケースとして持った時にリュック用のストラップがもたついたり、リュックとして背負った時にブリーフケース仕様のハンドルが垂れて不格好に見えたりする。機能的なバッグだからこそカジュアルな見た目になりがちなのだ。

「スーツにリュック」をスマートに演出したいなら、上品なリュックを選ぶのがいい。シンプルなデザイン、ブラックなどの落ち着いたカラー、レザーをはじめとする上質な素材のリュックは、上品な面持ちでスーツにもなじみやすい。

仕事の内容に合わせて複数のバッグを使用するのが最善手

前述のトレードオフの状態を解消する方法は、“バッグの使い分け”しかない。通勤や長時間の移動用として利便性の高いリュックや3WAYバッグを用い、品格が求められる商談などのシーンではもっとも上品な革のブリーフケースを使うのだ。何もビジネス用のバッグを1つに限定する必要はない。

社外の人と会う機会がないならリュックや3WAYバッグだけでも問題はない。取引先との商談がある職種の人は、そのためのブリーフケースをオフィスに常備しておけばいい。

バッグは一度選ぶと長く使い続けるものだろう。ビジネスにおける必需品でもあるので、自分の職種やスタイルに合ったタイプを検討し、合理的に使い分けるのがスマートだ。

文・平 格彦(ファッションエディター/「着こなし工学」提唱者)/MONEY TIMES

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