最近、CMなどで話題になっている「就業不能保険」。病気やケガで働けなくなった場合の備えだが、具体的にどのようなものか把握している人は少ないのではないだろうか?今回は「就業不能保険」が気になっている人向けに、その特徴と選ぶ際の3つのポイントを紹介する。
就業不能保険とは?その特徴と役割は
世帯加入率は12%程度(2018年9月現在)とさほど高くはないものの、CMやネットで話題になっていることもあり注目が集まっている「就業不能保険」。簡単に言うと、病気やケガで働けなくなった場合に保険金が給付される保険のこと。
働けない状態が長く続くと、収入減により家計に大きな影響が出る。子供の学費やローンの支払いが難しくなってしまうなど、深刻な事態に陥る可能性もあるだろう。「就業不能保険」は、こういった事態に備えるためのものだ。
収入保障保険との違い
「就業不能保険」と混同されやすいものに、「収入保障保険」がある。名称は似ているが、「収入保障保険」は被保険者が死亡した場合に、毎月定額で遺族の家計を支えるために保険金が給付される。これに対して「就業不能保険」は被保険者が就業不能状態になった場合に、保険金が給付されるもので、被保険者が死亡した場合は契約が終了する。
「就業不能保険」=生きている間に被保険者が受け取れる保険
「収入保障保険は」=被保険者が亡くなった場合に遺族が受け取れる保険
と理解しておこう。
就業不能保険はどんな人に必要か
会社員の場合、病気やケガで仕事を休むことになった時には、傷病手当金が支給される。これは公的保障のひとつで、休業4日目以後、給与の約2/3に相当する給付金が支払われるというもの。このような公的保障があれば、十分なのではないかと考える人もいるだろう。
だが傷病手当金は、最長でも1年6ヶ月しか支給されない。給付期間を越えて就業不能状態が続けば、生活コストをカバーできない可能性がある。また、主に自営業者などが加入する国民健康保険にはこうした制度がないため、傷病手当金を受け取ることはできない。
「就業不能保険」には、公的な健康保険ではカバーしきれない、長期・自宅療養中の収入を補填する役割があるのだ。
・自分が生活費の大部分を負担しており、長期的な就業不能状態に陥ると生活費が足りなくなってしまう危険がある
・子供の学費や家のローンを払っている
・傷病手当金の受給資格がない(自営業者など)
など、休業に際して経済的リスクや不安が大きい人は「就業不能保険」への加入を検討してみるといいだろう。
選ぶ際の3つのチェックポイント
「就業不能保険」は、仕事ができなくなったら必ず支払われる、というものではない。加入を検討しているならば、以下の点については必ずチェックしておきたい。
「就業不能状態」の定義
何をもって「就業不能状態」とするのか、その定義は保険会社によって異なる。
例えばライフネット生命の就業不能保険は、病気やケガの治療のために入院・在宅療養をしている場合に保険金が支払われる。一方でチューリッヒ生命の就業不能保険では、対象となるストレス性疾患もしくは5疾病により就業不能状態に陥った場合にのみ、保険金が支払われる。
加入の前に、どのような場合に「就業不能状態」と判断されるのかをしっかり確認しておく必要がある。
対象となる疾病や期間などの「支払条件」
支払条件も、保険会社によって異なる。上で挙げたライフネット生命の就業不能保険の場合、支払い対象が広いようにも思えるが、うつ病などの精神疾患は対象外となる。
また保険金の支払期間も保険会社によって様々だ。保険期間中であれば「休業状態が続く限り」保険金が支払われる商品もあれば、約定の年金支払期間中は復職した(=休業状態から脱した)場合でも保険金が支払われる商品もある。
対象外となる疾病や保険金が支払われる期間についても、忘れずに目を通しておこう。
「支払対象外期間」はどのくらいか
就業不能保険には「支払対象外期間」が設けられていて、就業不能状態になってから一定期間経過後に給付が開始されるものがほとんどだ。60日のところが多いが、中には60日と180日のいずれかを選択できる商品もある。「支払対象外期間」が長くなると、その分だけ保険料が安くなるため、この点については予算に合わせて検討するといいだろう。
健康面の不安も出てくる40代にとって、「就業不能保険」は頼れる存在であることは確かだ。加入する際は現在の状況はもちろんだが、いざ働けなくなった時に金銭的にどのような打ち手を講じられるか、どのくらいの所得を維持しなければならないか、ということを考えて決めたい。
文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES
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