結果の概要:住宅着工、許可件数ともに前月、市場予想を下回る
10月17日、米国センサス局は9月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は120.1万件(前月改定値:126.8万件)と、128.2万件から下方修正された前月値を下回ったほか、市場予想の121.0万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は124.1万件(前月改定値:124.9万件)と、こちらは122.9万件から上方修正された前月値、および市場予想の127.5万件を下回った(図表2、図表5)。
結果の評価:住宅市場の回復遅れから、7-9月期の住宅投資は3期連続マイナスへ
住宅着工件数の伸びは、前月比▲5.3%(前月:+7.1%)となった(図表3)。戸建てが▲0.9%(前月:+2.1%)と小幅なマイナスに留まった一方、集合住宅が▲15.2%(前月:+20.4%)と大幅な増加となった前月の反動もあって、2桁のマイナスとなった。
一方、前年同月比は+3.7%(前月:+8.2%)と、こちらは2ヵ月連続でプラスを維持した。集合住宅が+0.9%(前月:+32.3%)と小幅ながらプラスを維持したほか、戸建てが+4.8%(前月:+0.1%)と前月からプラス幅が拡大した。
地域別寄与度(前月比)は、西部が+1.7%ポイント(前月:+4.5%ポイント)と2ヵ月連続でプラスを維持したほか、北東部が+2.1%ポイント(前月:▲0.8%ポイント)と前月からプラスに転じた(図表4)。一方、中西部▲2.1%ポイント(前月比:+0.7%ポイント)、南部▲7.1%ポイント(前月:+2.8ポイント)が減少に転じた(図表4)。とくに南部の大幅な減少はハリケーンの影響とみられる。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲0.6%(前月:▲4.1%)と2ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。戸建てが+2.9%(前月:▲5.3%)と前月からプラスに転じたものの、集合住宅が▲7.6%(前期:▲1.9%)と6ヵ月連続のマイナスとなり、足を引っ張った(図表6)。
前年同月比も▲1.0%(前月:▲3.9%)とこちらも2ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが+2.4%(前月:+3.0%)と14年5月以降のプラスを維持した一方、集合住宅が▲7.8%(前月:▲15.1%)と4ヵ月連続のマイナスとなった。
これらの結果、住宅着工、許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比はそれぞれ▲13.0%、▲15.6%と2桁のマイナスとなった(図表7)。
GDPにおける住宅投資は、4-6月期が前期比年率▲1.3%(前期:▲3.4%)と米経済全般が好調を維持する中で、2期連続のマイナス成長となっていた。住宅着工、許可件数の大幅な減少にみられるように住宅市場の回復は遅れていることから、来週26日に発表される7-9月期GDPにおける住宅投資は3期連続のマイナスとなる可能性が高いだろう。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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