「仕事消滅」が一気に進む「Xデー」はいつか?

当面、人類をあっと言わせるような新しい人工知能はここから発表される可能性が高い。一方で、その他の科学者による人工知能研究はしばらくの間、ゆっくりと進むだろう。

人工知能の研究が一気に進むようになるのは、全世界の人工知能研究者が人間の脳レベルの計算力を持ったコンピュータを数十万円の予算で購入できるようになったときだ。

現在、一番普及していて一番高性能な部類に入るコンピュータが、ゲーム機のPS4である。PS4のGPUの計算速度は1秒間に1.8×10の13乗だ。PS4の発売は2013年だが、この性能は1998年頃の世界最高速のスーパーコンピュータの計算性能とほぼ同等である。

その間の年月は約15年間。そこから類推すれば、「京」が登場した2011年から数えて15年後の2026年頃には、世界の人工知能研究者一人に対して1台の「人間の脳と同じ能力を持ったハードウェア」が普及する状況になっているだろう。そしてそこから数年で、弁護士や医者などさまざまな分野の専門家の仕事が一斉に人工知能に置き換わるだろう。

鈴木貴博(すずき・たかひろ)経営戦略コンサルタント
東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。過去20年にわたり大手人材企業のコンサルティングプロジェクトに従事。人工知能がもたらす「仕事消滅」の問題と関わるようになる。著書に『仕事消滅』(講談社)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)他があり、後者は累計20万部超のベストセラー。経済評論家としてメディアなど多方面で活動している。(『The 21 online』2018年3月号より)

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