「筋肉」に投資する!

5秒筋トレ
(画像=THE21オンライン)

仕事が忙しく働き盛りの40代は、つい運動不足になりがち。運動の大切さはわかっていても、なかなかその時間が取れないビジネスマンは多いだろう。このままでは、太って見た目が悪くなるだけでなく、筋肉量の減少からさまざまな健康リスクを引き起こすことになる。そこで、パーソナルトレーナーとして活躍する松井薫氏に、いつでもどこでも簡単に実践できる「5秒筋トレ」を教えていただいた。

筋肉の衰えにより高まる病気のリスク

急に体重が減りにくくなり、お腹がぽっこりとしてきた──。いわゆる「中年太り」と呼ばれるこの現象は、筋力の衰えによる基礎代謝量の低下が原因と考えられています。

基礎代謝とは、心臓を動かす、体温を維持するといった、生きるうえで最低限必要な活動のこと。そこで消費するエネルギーは筋肉があるほど多いのです。ところが、とくに運動をしなければ20代以降およそ一年に0.5~1%のペースで筋肉量は減っていき、40代以降はその落ち込みが大きくなります。

消費するエネルギーが年齢とともに低下するにもかかわらず、若い頃と同じように飲み食いをすれば、摂取したエネルギーは消費を上回る。その結果、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されてしまうのです。

肥満が高血圧や高脂血症、糖尿病、脳梗塞、腎臓病、心筋梗塞などの病気を招きやすいことは、皆さんもよくご存じのはず。加えて近年では、肥満によるコレステロール値の上昇が、認知症のリスクを高めることも指摘されています。

筋肉量の低下による悪影響は肥満だけではありません。たとえば、背骨を支える筋肉の衰えによる腰痛。悪化すれば、骨と骨のクッションである椎間板が衰えて、圧迫骨折を起こしやすくなります。さらに、膀ぼう胱こうや腸などを支えている骨こつ盤底筋が衰えれば、尿意を催したときに我慢できなくなる。これらは、高齢者の病気というイメージがありますが、最近では40代にも多く見られます。

呼吸と姿勢を変えるだけで筋肉は鍛えられる!

筋肉の衰えを防ぐには、日々の運動が一番。とはいえ、忙しくて時間がとれない方も多いでしょう。そこで、お勧めしたいのが「5秒筋トレ」。その名のとおり、1回5秒を基本とした筋トレです。本来は、スキマ時間に1回5秒を3セットやるのが理想なのですが、面倒くさい方は1日1回5秒やるだけでも構いません。それだけでも、毎日少しずつ続けることで、効果が現われてきます。

5秒筋トレのメニューは、ここでは紹介しきれないほどたくさんありますが、まず取り組んで欲しいのは「逆腹式呼吸」です。腹式呼吸は、息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときに凹ませます。一方、逆腹式呼吸は、息を吸うときにお腹を凹ませ、吐くときに膨らませます。

逆腹式呼吸によってお腹を硬く凹ませると、腹ふく腔くう内の圧力が高まり、最深層部にある腹ふく横おう筋きんという筋肉が鍛えられます。腹横筋はお腹を腹巻き状に覆っている筋肉で、これを鍛えると背筋が伸びて姿勢が良くなります。すると、姿勢を保つために必要な他の筋肉も自ずと鍛えられるのです。

筋肉がつけば基礎代謝量が増えて太りにくくなる。すべては呼吸と姿勢を整えることから始まります。呼吸と姿勢が崩れたまま身体を鍛えてもケガをするだけなので、まずはこの逆腹式呼吸をマスターしましょう。

呼吸と姿勢を整えたうえで、余裕があるのなら、次は脚の筋肉を鍛えてください。人間の身体は、足腰の筋肉が衰えやすい傾向があるからです。とくに、骨が弱くなる中高年以降は、転倒すると怪我が治りにくいので注意が必要です。

松井 薫(まつい・かおる)パーソナルトレーナー
療系国家資格)、国士舘大学特別研究員。任天堂「Wii Fit 」のTR監修も務める。ボディメイクから、腰痛改善などの治療分野まで目的に合わせたパーソナルトレーニングを実施。最新刊は『5秒トレで燃えよ!内臓脂肪』(宝島社)《取材構成:長谷川敦》(『THE21オンライン』2018年6月号より)

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