連動商品で日常生活をエンターテインメント化する

BXD,手塚晃司
(画像=THE21オンライン)

――HTML5でゲームを作るのは、技術的に難しいことなのですか?

手塚 技術開発に2年半~3年かかりました。

HTML5は、5~6年前に1度、ブームがあったんです。多くの企業が参入したのですが、当時は端末の性能が十分でなかったこともあり、定着しませんでした。それが、端末の性能の向上もあり、表示の方法をうまくコントロールすることによって、ネイティブアプリと遜色のない表現を実現できるようになったのです。

――御社は、ブラウザゲームだけでなく、それを配信する「enza」というプラットフォームの開発や運営もしています。

手塚 ブラウザゲームに参入するうえで大きな課題となるのは、課金やお客様のデータ管理の仕組みをどうするかということです。ゲームごとに作るのはかなり大変なので、共通のプラットフォームを作って、他社にも開放することにしました。

――実際、他のゲーム会社は興味を持っている?

手塚 そうですね。多くの会社様から引き合いをいただいていて、協議もしています。

業界内の反応は本当に大きくて、「実は自分たちもHTML5が来ると思っていました」とか「技術研究をすでに始めています」という声を多く聞きました。それがビジネスになるのかどうかを見極めていた会社が多かったようです。だからこそ、我々がきちんと成果を出して、HTML5のゲームの市場があることを示すことが大事だと思っていますし、実際、徐々に各社の動きが加速しています。

――現時点でリリースされているのは2タイトルですが、ユーザーの反応はいかがですか?

手塚 お客様は、HTML5のゲームだと意識されずに遊んでいるのかな、と思います。スマホで継続的にお楽しみいただいている点で、手応えを感じています。

リリースされている2タイトルは、アイドルマスターとドラゴンボールという、バンダイナムコが取り扱う中でも非常に人気のIP(キャラクターや作品などの知的財産)を使ったものですから、事前登録もネイティブアプリのタイトルと同じくらいあって、良いスタートが切れました。

我々が一番やりたいと思っているのは、リアル商品との連動です。例えば、雑誌やコンビニに置いてあるドリンクやお菓子などにシリアルコードをつけて、それを入力するとゲーム内でアイテムがもらえる、というようなことです。連動商品が世の中に出てくると、また新しい体験をしていただけると思います。

――実際に、連動商品に興味を持っているメーカーはあるのでしょうか?

手塚 そうですね。色々とお引き合いをいただいています。

商品のメーカーだけでなく、ウェブを使ったビジネスをされている会社様にも興味を持っていただいています。何かをするとゲーム内でアイテムをもらえるというような、キャンペーンでの連動などですね。

――連動商品が出てくると、それ自体に宣伝効果もあるでしょうね。

手塚 お菓子からゲームに入っていただくなど、お客様に認知していただけるポイントが増えますからね。

連動商品が増えると、生活そのものがエンターテインメント化していくと思います。ゲームのキャラクターや世界観が好きな人は、日常生活すべてがそれに染まっていると楽しいでしょう。どこに行っても、その世界に触れていられる。しかも、連動商品によって、ゲーム内のキャラクターを成長させたりできる。すると、よりハッピーになる。それが、我々が目指しているビジョンです。

また、他のユーザーと繋がりやすいということも重視して、他のユーザーの存在を感じながら、皆で遊べるゲームにしています。

――他のユーザーと繋がりやすいというのは、アプリと何か違うのでしょうか?

手塚 機能としてはネイティブアプリでもできることはできるのですが、例えば友達と食事をしていて、「このゲーム面白いから、一緒にやろうよ」という話になったとき、ストアに行って、検索して、ダウンロードして、ということが必要なネイティブアプリだと、なかなか実際に一緒に遊ぶに至るのは難しい。でも、ブラウザゲームなら、先ほどもお話ししたように、すぐに一緒に遊べるわけです。

プラットフォーム名の「enza」には、老若男女が円座になって、皆でワイワイしながらゲームを楽しんでほしいという想いを込めています。

BXD,手塚晃司
(画像=THE21オンライン)

――アプリをダウンロードする時間はストレスでもありますが、そのストレスもないわけですね。

手塚 連動商品から入っていただく方には、それほど興味はないけれども、ちょっとやってみようか、という軽い気持ちでアクセスする方も多いでしょう。そういった方がストレスを感じない入り口を作ることは大事だと思います。