(本記事は、ホームライフ取材班の著書『日本人の9割がやっている間違いな選択』=青春出版、2018年9月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
マヨネーズ カロリーの少ない「ハーフ」がお気に入り
ダイエットブームのなか、食品売場には「カロリーオフ」を売り物にした商品がひしめきあっている。「カロリーハーフ」タイプのマヨネーズもそのひとつだ。しかし、「ハーフ」タイプはマヨネーズではない。一見、マヨネーズ風だが、「サラダクリーミードレッシング」という別のカテゴリーの商品なのだ。
マヨネーズに分類されるのは、油脂の割合が65%以上で、調味料と香辛料抽出物質以外の食品添加物を使っていないもの。
一方、「サラダクリーミードレッシング」は、油脂の割合が10%以上50%未満でOK。当然、食感や味わい、コクがマヨネーズとは異なるので、乳化剤や酸味料、増粘剤といった多くの食品添加物で味を調整している。見た目はそっくりでも、相当違うことを理解し、次に何を買うか決めたい。
正解 「ハーフ」は添加物だらけで、「マヨネーズ」とは別物
卵 コレステロールが多いから、「1日1個」まで
卵は1日いくつ食べていいのだろうか? コレステロールのとり過ぎになるので、もちろん、1日1個まで。この選択肢のほかはないのでは……こう思っている人は、大きなショックを受けるに違いない。1日1個というのは、かつての間違っていた健康常識。いまでは、卵の摂取量に制限はなくなっているのだ。
動脈硬化の原因として、悪者扱いされてきたコレステロール。以前は、多く含む食品を取ると、血中コレステロールに影響を与えるとされていた。卵はそういった〝危険な〞食品の代表。1個に200㎎以上ものコレステロールを含むので、食べる量が制限されていた。
しかし、そもそも、卵が体に悪いというのは、いまから100年以上前の1913年、ロシアで行われた研究による。ウサギにコレステロールの多い卵を与えると、血中コレステロールが増加し、動脈硬化を起こしたという実験がその根拠だ。けれども、ウサギは草食動物で、本来は卵など食べるわけがない。この実験結果をそのまま人間に当てはめるのは、かなり無理があるだろう。
じつは人間の場合、血中コレステロールの7~8割は肝臓で作られることがわかっている。しかも、食事で多くとれば作る量は少なくなり、摂取が少なければ、その分たくさん合成される。つまり、体内で血中コレステロールをうまく調節しており、食べものに含まれるコレステロールの影響は少ないのだ。
こうした事実が明らかになってきたため、厚生労働省は2015年の「食事摂取基準」で、コレステロールの摂取量の基準を撤廃。何と、1日いくつ食べてもかまわないことになったのだ。
卵は食物繊維とビタミンC以外の栄養素を豊富に含む「完全栄養食品」だ。値段は格別安く、料理も簡単。これからはコレステロールを気にせず、「1日1個」の誤った一択から解き放たれよう。
正解 量の制限が撤廃され、いくつ食べてもOK
缶コーヒー 糖分を控えるため、「低糖」よりも「微糖」
缶コーヒーは糖分控えめなのが好き。「低糖」だとまだ甘いので、「微糖」を買っている。いつもこんな選択の仕方をしている人は、その裏に隠された秘密を知ったらビックリするだろう。なんて無駄なことをしていたのかと……。
じつは、食品表示法によると、「低糖」「微糖」タイプに含まれる糖分は同じ。ドリンク類の場合、100㎖当たり「2・5g以下」、食品なら100g当たり「5g以下」の糖分が含まれる場合、「低糖」または「微糖」と表示していいことになっている。
糖分量がこの範囲内に収まっていれば、メーカーは「低糖」「微糖」のどちらの表現を使ってもOK。ということは、A社の「低糖」よりも、B社の「微糖」のほうが甘い場合もあり得る。「低糖」「微糖」の表現にこだわる意味はない。
正解 どちらの糖分も、100㎖中2・5g以下
醤油 塩分を控えたいので、「淡口醤油」を使う
日本料理が好きだけど、気になるのが料理の塩辛さ。特に、醤油の塩分が気になるので、減塩のために「淡口醤油」を使っている……。こんな人が身近にいたら、その選択は大間違いだと教えてあげよう。
全国的に最も使われている醤油は、生産量の8割以上を占める「濃口醤油」。香りや色、味わいのバランスが良く、煮物、焼き物などの調理用としてはもちろん、豆腐などにちょっとかける卓上醤油としても最適だ。
一方、淡口醤油は濃口醤油よりも色が薄いのが特徴。江戸時代に兵庫県で誕生した醤油で、いまでは全国生産量の13%程度を占める。
醤油は発酵、熟成を長く続けるうちに風味が豊かになる。同時に色が濃くなり、独特の醤油色になっていく。淡口醤油は高濃度の食塩で仕込むことにより、この発酵、熟成を抑えたものだ。加えて、濃口醤油よりも短期間で醸造することで、より淡い色の醤油ができる。
「淡口醤油」はうま味や香りが控えめだが、煮物や吸い物などに使うと、素材の色合いを活かすことができる。特に、上品に仕上げたい京料理には欠かせない醤油だ。
両者の塩分を比較すると、濃口醤油が約16%なのに対して、「淡口醤油」は18~19%。名前や見た目とは裏腹に、淡口醤油のほうが塩辛いので、減塩のために使うというのは大きなカン違いだ。
醤油のなかには、淡口醤油よりもさらに色が薄く、ビールのような琥珀色をした「白醤油」という種類もある。主に三河地方で作られる醤油で、生産量は全体の1%程度と少ないから、見たことのない人も多いだろう。
この白醤油は、淡口醤油以上に発酵を抑えて造られる。見た目からは、とても淡泊な味わいを想像してしまうが、実際には塩分濃度が約18%。これも濃口醤油よりも塩分が多いので、使う際には注意が必要だ。
正解 減塩のためなら、塩分濃度の低い「濃口醤油」を
ビール系飲料 痛風予防に、「プリン体ゼロ」をチョイス
毎年のように、新しい商品が登場するビールや発泡酒、第三のビール。かつては味や製法で差別化を図ろうとしていたが、最近は「糖質ゼロ」に代表されるように、ヘルシーなイメージの新商品が増えてきた。
そうしたなか、個性がひと際強いのが、「プリン体ゼロ」をキャッチフレーズにするアイテム。健康に気をつかいつつ、それでもアルコール類を飲みたい人に対して、なかなか強い訴求力があるようだ。
プリン体とは、長年とり過ぎると、生活習慣病の「痛風」を引き起こしてしまう物質。アルコール類のなかでは、ビール類に含まれることがよく知られていることから、「プリン体ゼロ」の商品が世に出たわけだ。
では、普段飲むビールや発泡酒を「プリン体ゼロ」のタイプに変えると、痛風予防の効果があるのだろうか。「ビールにはプリン体が多い」というイメージがあることから、かなり効果があるような気がするかもしれない。しかし、これだけで痛風を防げはしない。
確かに、ビール系飲料にはプリン体が含まれているが、それほどたいした量ではなく、350㎖入りの缶ビール1本に12~24㎎程度。これに対して、普段から口にするごく普通の食材のほうが、ずっとプリン体を含んでいる。
100gのレバー類には220~320㎎、カツオには312㎎、鶏もも肉には123㎎といった具合に、ビール系飲料よりもひと桁多いのだ。痛風予防のためには、こうした食品を食べ過ぎないほうが、ずっと効果的だろう。
しかも、じつはプリン体はうま味成分。「プリン体ゼロ」のビール系飲料は、当然ながら味が落ちているので、香料や酸味料などの食品添加物を多く使って、味を補っている。痛風予防の面でも、味わいからいっても、オーソドックスなビールや発泡酒がおすすめだ。
正解 意味はないので、チョイスの必要なし
ホームライフ取材班
暮らしをもっと楽しく! もっと便利に!」をモットーに、日々取材を重ねているエキスパート集団。取材の対象は、料理、そうじ、片づけ、防犯など多岐にわたる。その取材力、情報網の広さには定評があり、インターネットではわからない、独自に集めたテクニックや話題を発信し続けている。
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