代表的な住宅ローン「フラット35」には、「フラット35S」や「フラット35子育て支援型」など様々なバリエーションが存在する。これらはフラット35をお得に利用できる制度である。家を建てたい人や買いたい人は、フラット35の様々なバリエーションを確認しておきたい。

「フラット35」--最長35年の全期間固定金利ローン

住宅ローン,借り替え,フラット35,固定金利,変動金利
(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構の提携による最長35年のローンである。

フラット35の特徴は全期間固定金利であり、ローンを組んだ時点で返済終了までの金利と返済額が確定する。また保証料0円で保証人も不要、繰上げ返済や返済方法変更の際の手数料も0円である。さらに万一の場合のサポートとして、新機構団信や新3大疾病付機構団信を用意している。

「フラット35S」――質が高い住宅に対し借入金利が一定期間低くなる

フラット35Sは、省エネや耐震性などの質が高い住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間下げる制度である。

フラット35Sでは、住宅ローン返済の初期5年間や10年間、フラット35の借入金利から0.25%などが優遇される。よって、フラット35を利用する予定で、購入する住宅がフラット35Sの対象であればぜひ利用したい。

なお、後述するフラット20やフラット50などもフラット35Sの対象となる。フラット35関連ローンを利用する場合には、フラット35Sの対象かどうかを必ず確認しておこう。

「フラット20」――借入期間が15年以上20年以下のフラット35

フラット20は、フラット35で借入期間が15年以上20年以下のものをいう。

フラット20は借入期間が短いため、借入金利がフラット35よりも低くなり、返済総額が大幅に下がる。毎月の返済に余裕がある場合にはフラット20を選ぶことで、将来の資金をより多く残すことができる。

「フラット50」――長期優良住宅の取得で利用できる最長50年の全期間固定金利ローン

フラット50は、長期優良住宅を取得する場合に利用できる最長50年のローンである。長期優良住宅とは、長期に渡り安心で快適に暮らせる家であり、「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアしたものだ。

フラット35と同様に金利は全期間固定で、ローンを組んだ時点で返済終了までの借入金利と返済額が確定する。フラット50でローン返済中に物件を売却する場合には、フラット50の債務を付けて売ることができる。

「ダブルフラット」――フラット35やフラット20を組み合わせて利用できる

ダブルフラットとは、将来の返済負担額を軽減することを主な目的とし、フラット35を2つ組み合わせることだ。例えば定年や子供の大学進学など、ある時期から毎月の返済額を減らしたい場合などに利用できる。

ダブルフラットは次の組み合わせが可能である。
(1) フラット20 + フラット35
(2) フラット35 + フラット35
(3) フラット20 + フラット20

「フラット35(子育て支援型・地域活性化型)」――子育てや地域活性のため

フラット35(子育て支援型・地域活性化型)は、子育て支援や地域活性化を行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、補助金交付などとセットでフラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度だ。ローン返済の初期5年間の借入金利が0.25%下がるなどのメリットがある。対象の地方公共団体が、この制度の対象となっているか確認しておきたい。

「フラット35(保証型)」――融資条件が厳しく借入金利が低い

フラット35(保証型)は、金融機関の住宅ローンに住宅金融支援機構が保険を付け、住宅ローン利用者が返済できなくなった場合に、住宅金融支援機構が金融機関へ保険金を払う仕組みである。

フラット35(保証型)は、通常のフラット35に比べて金利が低いというメリットがある。フラット35(保証型)は、融資条件を厳しくしており返済の確実性が高いので、金利が低く設定されている。もし融資条件をクリアできるならば、フラット35(保証型)を検討する価値があるだろう。

ここまでフラット35の様々なバリエーションを紹介してきた。これ以外にも、「家賃返済特約付きフラット35」や、中古住宅購入を対象とした「フラット35(リフォーム一体型)」、「フラット35(リノベ)」などもある。それぞれの違いを把握して、自分に適した住宅ローンを選択したい。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

【関連記事】
医療保険の「掛け捨て」と「積立」、40代はどっちを選ぶべき?
40代で「がん保険」は必要か?
40歳から効率的にお金を貯めるための6つのステップ
共働きの妻が産休・育休中でも夫の「配偶者控除」を受けられる 意外と知らない節税法
住宅ローンの金利上昇!変動から固定にすべき?契約・借り換えのタイミングは