家族のライフプランが大きく変わるタイミングに、「子どもの誕生」があります。子どもが生まれたら、だれしもわが子の将来を考え、子どもに合った教育を受けさせたいと考えることでしょう。とはいえ、習い事をはじめ、受験にかかる学習塾代、中学・高校・大学の教育費など、それには多くのお金が必要になります。
最もお金のかかる時期は、大学受験から進学時の初年度です。日本政策金融公庫が発表した「教育費負担の実態調査結果(平成28年度)」によると、大学の初年度費用は国公立で181万円、私立文系で約246万円、私立理系で310万円というデータが出ています。つまり、子どもの大学入学前に、計画的に費用を準備する必要があるのです。この費用を作る方法として、2018年1月から始まる「つみたてNISA」が注目を集めています。
いよいよ始まる「つみたてNISA」の特徴とは?
2018年1月から始まる「つみたてNISA」は、新しい少額投資非課税制度です。“NISA”というと現行の「NISA」や「ジュニアNISA」も知られていますが、それらと「つみたてNISA」は利用方法などいくつか異なる点はあるものの、いずれにしても投資した運用益、配当金・分配金にかかる税金が非課税になるというメリットがあります。なかでも、「つみたてNISA」の最大の特長は、積み立てに限られているということと、非課税期間が20年間という点です。その特長を現行NISAと比較してみましょう。
つみたてNISAと現行のNISAの違い
つみたてNISA | NISA | |
対象者 | 満20歳以上 | 満20歳以上 |
非課税投資枠 | 年間40万円 | 年間120万円 |
非課税期間 | 投資した年から最長20年 | 投資した年から最長5年 |
期限 | 2037年12月末 | 2023年12月末 |
投資総額 | 40万円×20年=800万円 | 120万円×5年=600万円 |
対象商品 | 安定的な資産形成を目指す、長期・積立・分散投資に適した商品(注1) | 上場株式、ETF、投資信託などの原則全銘柄 |
投資方法 | 積立投信のみ | 制限なし |
注1:つみたてNISAの対象となる投資信託は、 安定的な資産形成を目指す、長期・積立・ 分散投資に適した商品となるよう、販売手数料が0円(ノーロード)で、信託報酬も低い商品、頻繁に分配金が支払われない商品などの法令上の条件が設けられている。
金融庁「つみたてNISAの概要」「つみたてNISA早わかりガイドブック」「NISAの概要」を参考に 株式会社ZUU作成
つみたてNISAは時間を味方にできる投資
現行のNISAは1年間の非課税枠が120万円ですが、つみたてNISAは40万円です。金額だけを比べるとつみたてNISAの非課税枠は少ないと感じますが、20年という長期間がポイントといえるでしょう。なぜなら投資において、時間の長さは大切な要素だからです。
投資と聞くと「ギャンブルのような怖さがある」「損する」というイメージを持つ人もいますが、少ないお金を長期間にわたって積み立てながら投資することでそれらは軽減できるほか、まとまった大きな利益も期待できます。
たとえば、年利率3%のファンドに、毎月5,000円を20年間投資したとしましょう。投資総額は5,000円×12ヵ月×20年間=120万円になります。仮に年3%の利益が出たとすると、総額で約164万円になり、40万円以上の利益が期待できるのです。
さらに、つみたてNISAを利用すると、運用益(先の例だと44万円)に対して約20%の税金88,000円が非課税になるため、そのまま利益として受け取ることができます。
子育て世代の強いサポーター
この制度は、子育て世代にとてもマッチした仕組みといえるでしょう。生まれてすぐにつみたてNISAを利用して投資を始めれば、大学進学の入学金や教育費の準備も可能です。積み立て期間を17年間で計算すると、投資総額は5,000円×12ヵ月×17年=102万円となります。年利率3%としたとき、積み立て総額は約133万円となり、約30万円の運用益が期待できるのです。
投資は買うタイミングが大切になりますが、その判断は投資経験者でも難しいものです。その点、つみたてNISAで行う投資は毎月、同じ日に積み立てをするので投資のタイミングを悩む必要がありません。育児や仕事で忙しい子育て世代には心強いシステムといえるでしょう。毎月の積み立ては、時間の分散ができるだけでなく、リスクの軽減にもなります。さらに、配当金も再投資することで、複利効果も期待できます。
投資を理解していくにつれ、少しずつ投資金額を増やすこともできます。安全性の高い預金をする一方で、無理のない金額からつみたてNISAを始めてみてもいいでしょう。低金利の時代でも賢く資産形成をし、子どもが好きな道に進めるよう準備してあげたいものです。
(提供:フィデリティ投信)