一般個人が投資について学んでいただく場合に、投資の失敗をまったく経験せず投資家として成熟することはありえません。自転車に乗ることを覚えようとしたとき、一度も転ばず自転車やローラースケートに乗れるようになることが不可能であるようなものです。

「負け方」はなかなかレクチャーすることが難しいテーマですが、転び方を知らずに自転車もローラースケートもすべきでないように、投資の負け方を知らずに「なんとなく投資」するべきでもありません。

失敗は重要な財産である

株式投資,トウシル
(画像=トウシル)

確定拠出年金の資産運用テクニックについてある場所で対談していて、「20代の投資はどうあるべきか」というテーマになりました。セオリーとしては20代はこれから拠出される掛金ベースが大きく、投資期間も長く残されているのでリスク許容度が高くなります。つまり、積極的に投資をしてもよいと解されます。

しかし私がちょっと変化球を投げて「そうはいっても、資産残高がきわめて少ないことを考えると20代の運用利回りが年10%であっても残高を増やすインパクトは低いのではないか」とコメントしてみました(もちろん本意ではなく対談者に話題を振るねらいだったのですが)。

すると、対談者は「むしろ少額だからこそリスクを取って投資経験にすべきだ」と応じてきて、それは私も同感だったので、「投資の成功経験と失敗経験の双方が重要だ」と話題が盛り上がりました。

ここ数年の投資環境においては、本人の能力ではなく市場の上昇傾向に乗った形で得られた収益と成功経験しか得ていない人もいます。しかし、これはまだ投資の一面しか知らない初心者です。それこそ「なんとなく投資」をしていたらビギナーズラックで儲かっているようなものです。

投資の厳しい現実、「含み損」と「損失確定」を覚えなければまだまだ個人投資家としては半人前なのです。

失敗が致命的なものとならず、あなたの財産になるための4つの条件

投資の失敗といっても、好んで失敗したい人は誰もいませんし、失敗したことで投資を継続できなくなっては元も子もありません。そこで、投資の失敗を致命的なものとせず、かつ将来の財産とするためのヒントを4つあげてみます。

少額で投資し損失の実額を抑える

これが一番重要なキーワードですが「少額で経験を積む」ことが失敗があっても投資を続ける最高の方法です。ボーナスの全額も含め100万円を投資に突っ込む初心者と、10万円程度で始める初心者は同率の損失を出した場合、金額ベースで10倍ダメージが変わってきます。初心者レベルが同じで、同じマーケットで投資をするのですから、損失の割合も同程度になるはずです(少なくとも高額の投資をした初心者の損失が小さくなる合理的根拠はない)。

当然ながら10万円でスタートした人のほうが金額的ダメージが軽微で、乗り越えることも容易です。リーマンショックなみのインパクトがあって30%負けたとしても3万円ならやり直すことは十分可能でしょう。

しかし、初心者ほどあるだけのお金をつい全額入金したくなります。そこをガマンすることが「正しい負け方」の第一歩です。

少額でいろいろな投資対象を試す

ヒント1に続き「少額」ということがポイントですが、同じ投資経験を積むのなら、いろんな投資をしてみましょう。

投資に慣れてきたら、リスク管理をしながら個別株式の投資を楽しんでみたり、ETFで低コストのインデックス運用に集中するなど自分のスタイルが確立されます。

しかし投資経験が浅い人は自分の好みを知り、自分の好まない投資スタイルを見極めるためにも少額のうちに投資経験を積んでおくことです。

個別株式、インデックス投信、アクティブ投信、REIT、外債ファンド、FX(これはやらなくてもいいが少額なら経験して悪いことはない)など、少額入金で試してみるといいでしょう。

とにかく少額で試すことです。失敗したときの損失もわずかですみますし、撤退も簡単だからです。自分の投資スタイルが見えてきたら資金を増額するのはいつでもできます。絶対に少額でスタートしてください。

絶対に借金で投資しない

これも重要なキーワードですが「借金で投資」は初心者は絶対にNGです。ベテランでも借金で投資をするくらいなら投資は見送るべきですが初心者ならなおさらです。

借金の金利以上を稼いで埋め合わせればいい、と軽く考えている人ほど投資の失敗を軽くみています。うまく稼げたときはリスク資産の運用利回りは低利のローンに勝ることもあります。しかしそれが続くという保証はありません。

投資に負けたとき、ローンの利息は乗ってきて、かつ元本そのものは縮小していることになるので、金利以上にあなたは苦しむことになります。そもそも経験が浅いのですから、そのような過剰なリスクを取るべきではありません。

同じ理屈の延長線としてはレバレッジも控えるべきでしょう。特にFXについて、投資初心者は投資額を少なくしてレバレッジの影響を軽微にするべきです。FXは30%どころか全損のリスクも大いにありえます。

失敗した理由について考える

失敗することそのものは何も問題ありません。問題は失敗の原因探しを少しだけでもできるかです。それは個人投資家としての成長に影響してきます。

数日の株価上昇に焦って買ってみたが、短期的下落に焦って売ってしまった(ほったらかしにしておけばよかった)、マーケットのどうしようもない動きに振り回された(株価の上下動は自分の判断ミスではないが精神的余裕があればよかった)、など、自分なりに原因を考えてみてください。

答えは必ずひとつ見つかるものではありません。たいていの場合理由は多面的です。その中で、自分自身に起因する理由と、マーケットに起因する理由については分別して考えてみるとステップアップに役立つでしょう。

トレードの結果を顧みることで失敗からの成長も早くなります。失敗したときほど振り返りをしたくないでしょうが、ぜひ時間を取ってみてください。

20代の正しい「投資の負けかた」術

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(画像=トウシル)

30代以降資産形成がはかどったときに20代の失敗が生きる

投資初心者の「正しい負け方」について考えてみましたが、これは20歳代に限るものではなく、投資をスタートしたばかりのすべての人に当てはまります。

年金生活者が退職金を原資にスタートする場合でも、同様に「少額」から始めれば失敗の影響は軽微になります。

もちろん20歳代で同じ経験を積むことができれば、これは明らかに有利な財産です。30歳以降、これから数十年にわたってマーケットを活かした資産形成のノウハウを体得した人はきっと何年かに一度はやってくる上昇タイミングを活かし、下落時期にはあわてずホールドするような投資ができるようになるはずです。

山崎 俊輔(やまさき しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。企業年金連合会調査役として確定拠出年金の調査、制度改善要望等を担当。老後の年金や退職金制度も考慮したトータルな資産運用プランを提案。1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。

(提供=トウシル

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