アメリカのスタートアップの聖地といえばシリコンバレーを思い起こす人もいるのではないでしょうか。しかし、現在のシリコンバレーは物価が高騰し、高収入でないと生活するのが難しい状況になっているのです。そのため、シリコンバレーで働くエンジニアがさまざまな都市に移動する動きが増えています。その一つがニューヨークです。エンジニアにとってシリコンバレーにはないニューヨークの魅力を紹介します。

シリコンバレーに住むのはストレス?

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(提供=J.ScoreStyle)

Apple、Google、Facebook、Netflixをはじめ、多くのテック企業がシリコンバレーで創業し、拠点を置いています。もともと、世界のエンジニアたちは、自分の実力を給与面でも評価され、遺憾なく発揮できる仕事を獲得するためにシリコンバレーを目指していました。起業を目指すエンジニアたちも世界的に有名なテック企業と並んで「シリコンバレーに住所を置きたい」と、シリコンバレーで起業し、費用を抑えて入居できるコワーキングスペースなどを拠点としているところもありました。

しかし、テック業界がシリコンバレー一強という時代にも陰りが見えています。シリコンバレー以外の土地で働こうとするエンジニアが増えているのです。その理由の一つには、シリコンバレーの生活環境があります。世界中から巨額投資が舞い込むシリコンバレーでは、家賃などの生活費が異常なまでに高い水準で高騰しているのです。

例えば、1LDKの部屋の家賃は月20万~30万円が相場ともいわれており、給与の高いエンジニアですらその生活費の高さに頭を悩ませています。さらに、シリコンバレーは公共交通手段が充実しておらずマイカーが必須。そのため、交通渋滞が社会問題になり、生活環境面でのストレスが多くなっています。

アメリカでは勤務先よりも職種や実績が重視されます。「どうしてもこの企業で働きたい」という強い思いがなければ、自分の実力や可能性を思う存分に発揮できる場所へ移り、キャリア形成を行います。そのため、シリコンバレー一択の選択肢ではなく、あらゆる可能性を考えているのです。そのため、彼らはシリコンバレーから別の土地に新たなキャリアを求めて移動しています。その土地のひとつがニューヨークです。ニューヨークは地下鉄が張り巡らされているので、交通手段に困りませんし、シリコンバレーに比べると交通渋滞が緩和されます。

多様性に富むニューヨークのスタートアップエコシステム

米国一の人口を誇る都市ニューヨークには、シリコンバレーよりも生活に身近なメディア、ファッション、流通、エンターテインメント、そして金融事業といった産業が集積しています。ニューヨークでは新しいサービスの実証試験や、大企業との協業もしやすく、スタートアップにとって魅力的な街だといえます。これまでは考えにくかった企業同士の協業や、異なる分野同士が生み出すイノベーション、アートとビジネスの交流による快適なオフィス環境の創出など、さまざまな融合が見られます。

世界中に拠点があるWeWorkの本拠地はニューヨークにありますし、世界的に有名な金融機関の本拠地や拠点はニューヨークに集まっています。そのため、それらからの出資を受けて生活に身近な金融サービスを開発するフィンテックスタートアップが続々と誕生しています。2016年第一四半期には、ニューヨークにおけるフィンテックスタートアップへのベンチャー投資はシリコンバレーを抜いています。

WorldBankが2016年11月に発表した「NEW YORK CITY TRANSFORMING A CITY INTO A TECH INNOVATION LEADER」によると、ニューヨークには2015年までに1万4,500社のスタートアップが存在し、総額約60億ドルのベンチャー投資が実施され、その数字は伸び続けているとも報告されています。シリコンバレーにはない多様性に富むエコシステムが存在し、そこで生まれるスタートアップで働くことに魅力を感じるエンジニアらが引き寄せられるといってよいのかもしれません。

生活環境の充実さもニューヨークの魅力

人口密度が低いシリコンバレーとは異なり、ニューヨークの街にはレストランやショップが充実しており、世界中の人たちとも交流が出来るので、楽しい食事やショッピングには事欠きません。FacebookやGoogleなどシリコンバレー発のテック企業は、ニューヨークのオフィスをこれまで以上に拡大しています。人材獲得も視野に入れていますが、ニューヨークの生活環境を好む社員を引き留めるための福利厚生の一環でもあるのです。

世界中からたくさんの人が集まり、新しいファッション、芸術、音楽、食事など、さまざまな流行を生み出せるニューヨークの生活環境は働くエンジニアにとって魅力的である証拠といえるでしょう。

今後もニューヨークはエンジニアたちの注目の的になるかも

ニューヨークにはシリコンバレーを凌駕する勢いを持つスタートアップシーンが出現しています。エンジニアにとってニューヨークはアメリカで流行っている働き場所のひとつだといえます。ニューヨークという土地性を活かしたスタートアップエコシステムの今後の動向からも目が離せません。

これからアメリカでエンジニアとして頑張ってみたいと思うなら、シリコンバレーだけではなくニューヨークも候補にしてみませんか。自分のキャリアを広げるだけではなく、さまざまな分野の人たちとの人脈が拡大したり、文化交流ができるので、一生の財産になる可能性を秘めています。(提供:J.Score Style


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