「集客」が仕事の中心になっていませんか?

見込み客
(画像=THE21オンライン)

営業マンにとって「見込み客」は何より大事なものです。

多くの営業マンは、テルアポや飛び込み、紹介の依頼などといった「集客活動」、あるいは広告やITを活用した「マーケティング」によって、この見込み客を増やそうと日々努力しています。これらはまさに、営業マンの代表的な仕事と言っていいでしょう。

ただ、多くの営業マンと話してわかってきたことは、集客やマーケティングといった「見込み客づくり」に多くの時間をかけている営業マンほど目標を達成できない、ということです。

感覚的には、仕事の時間の8~9割を集客やマーケティングに割いている営業マンが多いようですが、はっきり言ってそれでは多すぎます。

営業活動と言えるのは「商談時間」のみ

そもそも、集客やマーケティングの時間は実は「営業活動」ではありません。そこを多くの人が勘違いしているのです。

では、「営業活動」とは何か。

営業マンの仕事は「モノやサービスを売る仕事」ですから、目の前のお客様に対して、自分が販売すべきモノやサービスについての商談をしている時間こそが「営業活動」です。もし、自分のスケジュールを見直して、商談の時間が全活動時間の1~2割しかないようなら、あなたは「営業活動」をほとんどしていない、ということになるのです。

もちろん、売れる営業マンも見込み客づくりやマーケティングをしていないわけではありません。ただ、その時間を極力少なくしようと常に努力をしているのです。

打率を上げれば見込み客はいらない

こう言うと多くの人は、「見込み客がいなくては売れないではないか」と思うでしょう。

でも、本当にそうでしょうか。

営業成果というのは、

「見込み客の数」×「打率」×「モノ、サービスの単価」

という算式で表わすことができます。

確かに見込み客の数は大事ですが、もし「打率」が10割なら、それほどやっきになって見込み客を集める必要はありませんし、「単価」を倍にできれば、見込み客は従来の半分で済むことになります。

つまり、見込み客を多く持たないといけないのは、営業の打率が低いからなのです。そして、打率が低い営業マンは単価も低くなる傾向がありますから、いくら見込み客を増やしても全然儲からないという悪いスパイラルに入ってしまうのです。

確かに見込客を作るのも営業マンの仕事かもしれませんが、目標達成している営業マンは見込客作りやマーケティングに割く時間を極力少なくして、効率よく見込客を見つけ、目の前にお客様を座らせる機会を多く持ち、販売する機会を多く持つような動きをしています。

有営業の「打率」を上げるには?

もちろん、まだ営業を始めて間もないフェーズの営業マンは「足」と「汗」で見込客の数を増やさないと営業成果は上がりません。

ただ、ある程度経験を積んだなら、いかに「打率」を上げるかに注力してください。

そのためには話し方や身だしなみといったスキルから、何を聞かれても答えられる知識や経験など、さまざまなものが必要となります。

また、終わった商談を振り返るという習慣も重要です。何ができて、何ができなかったかを知り、次回に活かす。その方法でしか、打率を上げる手段はありません。

そしてもっと上げるのを難しいのは「単価」。

これを上げるには「特別な経験」と「特別なスキル」、そして「特別な知識」が必要です。

「特別な」というのは、他の同業の営業マンが持ち得ない、お客様の役に立つ「キラーコンテンツ」みたいなものです。

これを磨けば磨くほど単価は上がっていくもので、こうなると、見込み客は探さなくても自然と集まってくるようになります。

ただ、注意してもらいたいのは、営業マンの成長はこの順番通りに進んでいくということ。新人営業マンがいきなり単価を上げようとしたりしてもムダになる可能性が高いのです。まずは打席に立つ機会を増やさないことには、打率を上げることもできません。

一戸 敏(いちのへ・さとし)
保険代理店(株)エージェント代表取締役兼CEO
北海道札幌市出身。明治大学商学部中退。会計事務所勤務を経て28歳で保険業界に転身。営業マンとして数々のタイトルを獲得すると同時に、自身が経営する株式会社エージェントを大型化し、グループ全体で300名ほどの組織を形成し、グループ全体で取扱高100億以上の企業にまで成長させる。住宅・不動産会社(株)FIND会長兼ファウンダー。米国保険ブローカーAgent America co.,ltd Director。保険業界の称号であるMDRT終身会員(18年連続登録)、MDRT COT11回登録、MDRT TOT2回登録。(『THE21オンライン』2018年08月13日 公開)

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