「ストレージ」と「ネットワーク」の両方を自前で運用
クラウドを使ったデータ共有サービス『Dropbox』を利用している人は、読者の中にも多いだろう。個人だけでなく、様々な業種・規模の企業での利用も増えており、業務効率の向上に役立っている。
中には、大切なデータを預けているだけに、Dropboxがどういう仕組みになっているのか、気になっている人もいるかもしれない。そこで、Dropbox Japan〔株〕が8月30日(木)にプレス向けに行なった、テクノロジーについてのブリーフィングの内容を紹介しよう。
Dropboxは世界180以上の国で利用されており、登録ユーザー数は5億人以上。保管しているファイル数は4,000億以上で、データ量は1エクサバイト(10億ギガバイト)を超えた。そして、さらに増え続けている状態だ。
この膨大な量のデータを保管するため、Dropboxは「Magic Pocket」という自前のデータセンターを運用している。世界の複数カ所にあり、場所は秘密。サービス開始当初はアマゾン ウェブ サービス(AWS)にデータを保管していたが、2014~15年に移行した。Dropbox専用にチューニングされたストレージを使うことによって、コストが下がっただけでなく、パフォーマンスが速くなるとともに、最新のテクノロジーをオンタイムで取り入れることも可能になった。
例えば、今年からは、2年間のテスト期間を経て、従来のハードディスクよりも記録密度が高いシングル磁気記録方式(SMR)のハードディスクの導入を始めている。エクサバイト規模のSMR技術を導入するのは、主要テクノロジー企業として初めてのことだ。
SMRは頻繁に書き換えるデータの保管には向いていないので、そうしたものはSSDなど、他のストレージに保管しているという。
もちろん、セキュリティ対策にも注力している。ユーザーがアップロードしたデータを4メガバイトのブロックに分けて、それらをバラバラに保管しているのも、セキュリティ対策の一つだ。
ISOについても、情報セキュリティに関する27001、クラウドサービスセキュリティに関する27017だけでなく、クラウドにおける個人データ保護に関する27018、さらに、企業が破綻するなどしてサービスが停止することがないよう、事業継続に関する22301まで取得している。
ユーザーが快適にサービスを利用するためには、ストレージだけでなく、ネットワークも重要だ。インターネットは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)各社が持っているネットワークをピアリング(相互接続)したものだが、Dropboxは、高速での接続を実現するため、自前のネットワークを運用している。北米、欧州、アジアの3つのネットワークを持っており、コネクションポイントは今年末に世界12カ国29施設となる予定。3つのネットワークの間は、それぞれ別の企業が運用する4本以上の物理ケーブルでつないでいる。Dropboxのネットワークとのピアリングは無償でできる。
THE21編集部(『THE21オンライン』2018年09月03日 公開)
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