今の若者には「腫れ物に触るように」接するべき!
新卒採用が大学生の超売り手市場になったと叫ばれて久しいが、ミスマッチによって、入社3年以内に退職する若者もいまだに少なくない。人材の奪い合いと高い離職率――。ますます採用が難しくなっていく中、四半世紀にわたって大学生向け商品のプロモーションや大学生のマーケティングリサーチをしてきた渡部陽氏は、「今の若者とは、腫れ物に触るように接するべきだ」と主張する。自身が経営する〔株〕ユーキャンパスにも、今の若者の特性を活かした制度を取り入れている同氏に、40代以上のビジネスパーソンが知っておくべき「ミレニアル世代の働き方」について寄稿してもらった。
「ミレニアル世代」が会社に求める3要素
「ミレニアル世代」とは、1980年代から2000年代初頭までに生まれた、デジタルネイティブとも呼ばれる世代のことです。私の経験上、彼らはきわめて繊細で、敏感で傷つきやすい。けれども、真面目で、道徳的に正しいことを重視するのが特徴です。
ミレニアル世代の中でも、新卒採用が売り手市場になったことが顕著なこの4年間に入社した若者が会社に求めるポイントは、三つあると考えています。
まず一つ目は、今も昔も同じですが、企業の「ブランド力」。高いブランド力を持つ会社が、就活生の人気ランキングで上位を占めるのは、バブル時代から変わりません。
しかし、それは大学生のときに「入社したい」と考える会社であって、実際に入社して働き始めると、会社に求めるポイントが変わってきます。
今でも3年で3割が辞めてしまう理由は、二つ目のポイントである「ワークライフバランス」にあります。「ブラックバイト」「ブラック企業」という単語を身近に聞いていた大学生が、就職すると、ちょっとした不満があっても「自分の会社もブラックなのでは……」と考えてしまうというのは、想像に難くありません。
ちなみに、今年10月に弊社に転職してくる24歳の若者の前職の退職理由は、「接待が多いから、自分の時間が取れない」というものです。
ミレニアル世代が会社に求めるのは、ワークライフバランスだけではありません。
以前の私は、大手のようなブランド力がなくても、ワークライフバランスが飛びぬけて良い会社を作れば、縁あって入社した若者は辞めないと信じ切っていました。有給休暇を全部消化させ、残業時間を少なくし、時給換算すれば大手にも負けないほど給料を良くして、それを採用のセールスポイントにしていました。さらに、社員からの要望で、申請なしで出勤時間を前後30分ずらせる「疑似フレックス制度」や、大雪や猛暑の日など、通勤することによって仕事の効率が悪くなるときに使える「在宅勤務制度」など、“成績さえ出せれば”、とても条件の良い会社を作り上げました。しかし、それだけでは、新卒社員が会社に残り続けることにつながらなかったのです。
こうした経験を通じて、ミレニアル世代が会社に求める三つ目のポイントは「良好な人間関係」であることがわかりました。なぜ社員たちが辞めていくのかを突き止めるために、それぞれの社員からじっくり話を聞いたのです。その結果、ミレニアル世代の社員は、つくづく、ストレスに弱い、争いが嫌い、優しい、と実感しました。