結果の概要:住宅着工、許可件数ともに予想を上回る結果
12月18日、米国センサス局は11月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は125.6万件(前月改定値:121.7万件)と、122.8万件から下方修正された前月値を上回ったほか、市場予想の122.6万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は132.8万件(前月改定値:126.5万件)と、こちらは126.3万件から上方修正された前月値、市場予想の126.0万件を上回った(図表2、図表5)。
結果の評価:引き続き戸建ての回復が鈍い
住宅着工件数の伸びは、前月比+3.2%(前月:▲1.6%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表3)。集合住宅が+22.4%(前月:▲1.4%)と前月から2桁の増加に転じたことが大きい。もっとも、戸建は▲4.6%(前月:▲1.7%)とこちらは3ヵ月連続のマイナスとなった(図表4)。
一方、前年同月比は▲3.6%(前月:▲3.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなった。こちらも集合住宅が+21.7%(前月:▲6.4%)と大幅な増加に転じたものの、戸建てが▲13.1%(前月:▲2.7%)と2ヵ月連続でマイナスとなったことが大きい。
地域別寄与度(前月比)は、中西部が▲3.0%ポイント(前月+1.8%ポイント)と前月からマイナスに転じた。また、西部は▲3.9%ポイント(前月比:▲1.6%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなった。西部では一戸建てを中心に11月の山火事の影響が出たようだ。一方、北東部が+2.8%ポイント(前月:▲4.1%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、南部が+7.4%ポイント(前月:+2.3%ポイント)と2ヵ月連続でプラスとなった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+5.0%(前月:▲0.4%)と前月からプラスに転じた(図表5)。集合住宅が+14.8%(前月:+0.5%)と前月から大幅に伸びが加速した一方、戸建ては+0.1%(前月:+0.8%)とほぼ横這いとなった(図表6)。
前年同月比も+0.4%(前月:▲5.8%)と前月から小幅ながらプラスに転じた。集合住宅が+4.6%(前月:▲14.5%)と6ヵ月ぶりにプラスに転じことが大きい、もっとも、戸建ては▲1.9%(前月:▲0.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなっており、着工件数と共に戸建ての回復が遅れている。
一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、12月が56(前月:60)と前月から▲4ポイントの低下となった(図表7)。これで11月と併せた低下幅は▲12ポイントと急激な落ち込みとなっており、同指数は依然として50を超えているものの、この2ヵ月で建設業者のセンチメントが急激に悪化したことが分かる。
なお、11月の内訳をみると、販売現況が61(前月:67)、販売見込みが61(65)、客足状況が43(前月:45)といずれも前月から低下した。これで3指数揃って2ヵ月連続の低下となった。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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