遺産分割協議などが無事に済み、相続や遺贈で不動産を承継するとホッと一息つきたくなるかもしれません。しかし、実は不動産の承継にはさまざまな出費が伴います。特に気にすべきは税金です。不動産を相続した場合、どのような税金を払わなくてはならないのでしょうか。

不動産を承継すると相続税以外にも税金がかかる!

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(写真=Sensay/Shutterstock.com)

不動産を相続や遺贈で取得した場合、まず気になるのが相続税です。居住用不動産や事業用不動産を相続で取得した場合、「小規模宅地等の特例」による評価減で支払うべき相続税額はかなり圧縮されていることもあるでしょう。しかし、不動産そのものは現金ではないため、財産を承継した人が納税資金を準備しなくてはなりません。

どうにもならない場合、延納や物納という方法もありますが、これらの方法を使うには一定の要件をクリアすることが必要です。このほか、不動産を取得するために必要な税金、取得した不動産を維持するために必要な税金がかかります。

不動産の取得のための税金とは

では、不動産を承継した場合、つまり不動産を取得した場合にはどのような税金がかかるのでしょうか。

●登録免許税
まず、相続登記には登録免許税がかかります。登録免許税は、相続登記をする不動産の価値により変動しますが、固定資産税評価額の0.4%です。だいたいいくらになるのかの見通しをつけるならば、毎年市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細書(納税通知書)に評価額の記載があるので、そちらを見るとよいでしょう。

ただし、2018年4月1日から2021年3月31日までに相続登記を行ったものに関しては、免税措置が受けられます。余談ですが、相続登記の際、戸籍謄本や住民票などの証明書類も必要になります。人によって異なりますが、だいたい数千円程度です。

●相続人以外が取得したら不動産取得税
配偶者や子どもといった相続人が相続で不動産を承継した場合には免除されるものの、それ以外の人が遺贈などで不動産を承継した場合にかかる税金として不動産取得税があります。不動産取得税は不動産を取得した場合にかかる税金で、固定資産税評価額の3%です。(2021年3月31日まで)

不動産を取得した後も税金がかかる

承継した不動産について税金を払わなくてはならないのは承継した直後だけではありません。維持していく場合にも税金がかかります。

●保有していたら固定資産税
まず、保有し続けていた場合には、固定資産税を納税しなくてはなりません。毎年、1月1日時点の所有者に対してその年1年分の固定資産税が課税されます。相続や遺贈で不動産を取得した場合、その取得した年の翌年から固定資産税を支払わなくてはなりません。

●賃貸・売却をしたら所得税
「持っているだけではもったいない」「運用しなくては」と考えて賃貸に回した場合には、賃貸収益について所得税がかかります。不動産収益の種類は、その不動産の状況や規模などによって異なりますが、一般的に不動産所得あるいは雑所得に該当することとなります。不動産所得ならば、正規の簿記の原則(複式簿記)に則って会計記帳を行うことなど一定の要件を満たすことができるならば、青色申告の承認申請を行い、青色申告の事業主として確定申告を行うとよいでしょう。

青色申告には最大65万円が差し引かれる「青色申告特別控除」のほか、30万円未満の事業用固定資産を全額必要経費に算入できる「少額減価償却資産の特例」といった節税につながりやすい特典が複数あります。また、不動産所得とするならば、ほかの所得と損益通算することも可能です。

また、売却した場合には譲渡所得として所得税が課税されることとなります。譲渡所得はその保有期間が5年を超えるか否かで計算方法が異なります。また、居住用不動産である場合などには一定の特別控除制度があるため、きちんと制度を知ることで節税することが可能です。相続や遺贈で不動産を承継した場合はさまざまな税金がかかります。相続対策を事前に行う場合には、こういった支出も考慮しながら検討してみてはいかがでしょうか。(提供:相続MEMO

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