「悪い種」に備えがない2019年

2019年はどうでしょうか。2019年最大のリスクは、「悪い種」という珍しく抽象的な表現を使い、欧米政治の混乱やポピュリズムの台頭、主要国の同盟の弱体化などに言及し、さまざまな兆候があるのに次に来る危機へのリスクに備えができていないことを指摘しています。

イアン・ブレマー氏はインタビューでも、「トランプ政権の統治機能低下や同盟関係の弱体化などが世界に重大な結果をもたらしかねない。これだけ『悪い種』を植え付けたら、いくつかの種は芽を出し成長するだろう」と指摘。「次の危機が何かはわからないが、我々の危機対処能力が大幅に低下したので危機は深刻なものになりかねない。2019年はそれが重大な問題となる」と警鐘を鳴らしています。どうやら2019年は、「過去20年で最も危険な年」と指摘した2018年よりも悲観的な状況とみているようです。「今後数年で世界の地政学的な危険が顕在化するだろう」と警告しています。

米国の内政問題

イアン・ブレマー氏は5番目のリスクについて「米国の内政」を挙げました。それについて同氏は「私の人生で初めて『米国の内政』が世界のリスクだと認めざるを得ない」と発言。

「これまで、米国の国内問題が国際政治のリスクだと考えたことはなかった。しかし、ロシア疑惑などを巡るトランプ米大統領の反撃などによって、米国という超大国の国内で混乱が起きることによる世界的影響は無視できないからだ」と、リスクの上位に加えた理由を説明しています。与野党が互いに譲らず、政府機関の閉鎖が長引き、じわじわと米経済に影響を与えてきていることがそのことを物語っています。