重要なのは「オフィスにいる時間」ではなく「パフォーマンス」

リモートワーク,楠山健一郎
(画像=THE21オンライン ロボット(中央)を使って、遠くシリコンバレーにいながら、東京のオフィスにいるかように会話をしている楠山健一郎氏)

「働き方改革」の旗印のもと、各社が多様な働き方の実現を目指している。その一つが、リモートワークだ。自宅など、オフィス以外でも仕事ができるようにすることで、子育て中や介護中の人も働きやすくなる。また、通勤の満員電車で疲れてしまったり、移動に時間を取られてしまったりすることなく、効率的に働けることが期待されている。

しかし、リモートワークの導入に成功している企業は、まだ多いとは言えない。そんな中、米国のシリコンバレーにいながら、東京のオフィスで「リモートワーク」をしている経営者がいる。〔株〕プリンシプル社長の楠山健一郎氏だ。

いったい、どのように仕事をしているのか。一時帰国中の楠山氏に、本社オフィスでお話をうかがった。

太平洋を隔てながら、あたかもその場にいるように朝会に参加

プリンシプルは、データ解析を軸に、様々な企業のWEB戦略をコンサルティングしている企業だ。2011年に楠山氏が創業した。現在の本社は東京・御茶ノ水にあるが、海外展開を本格化させるため、楠山氏は16年から、米国拠点があるシリコンバレーで暮らしている。

「私が子供の頃、父は外資系企業の日本支社長を務めていました。父の職場に遊びに行くと、多様な外国人がいて、英語が飛び交っていた。そんな環境で自分も働くものだと思っていたので、世界各地に拠点を持っている企業や、海外進出を計画している企業に勤めたのですが、海外勤務の機会はなかなか得られませんでした。

米国で就職することや、米国で起業することも考えましたが、調べてみるとビザの取得が難しいことがわかり、38歳のとき、日本で起業してから、世界へと進出することを決めたのです」

シリコンバレーでの仕事のサイクルは、朝から米国チームと仕事をして、夕方からは日本チームと仕事をするというもの。遠く太平洋を隔てた日本チームとの仕事では、チャットツールの『Slack』を活用している。直接話したほうがいいことがあれば、電話をかける。それで問題は生じていないという。

「Slackを使うと、社員間のコミュニケーションが即時に見えるので、管理がしやすいというメリットがあります。ただ、深夜でもどんどん連絡が来るので、一時は睡眠不足になり、パフォーマンスが落ちたこともありました。意思決定者である社長がそれではいけないと思い、今は、睡眠時間を確保するよう気をつけています」

今年5月からは、さらに新たなコミュニケーションツールが導入された。Double Robotics社製のロボットだ。パソコンでの遠隔操作で狭い場所でも動き回ることができ、上部に取りつけたiPadでテレビ会議ができるというもの。相手の目線に合わせて高さを調節することもできる。

「当社の朝会では社員一人ひとりが1分間のスピーチをするのですが、15分で終わるように、少人数のグループに分かれて行なっています。

以前は、その様子を、一般的なテレビ会議システムのように、固定カメラで映して見ていました。しかし、それだと、カメラから遠い社員の話していることがわからなかった。そこで、このロボットを導入したのです。

これを使えば、あたかも実際にその場にいるかのように、コミュニケーションを取りたい社員の近くに行って話をすることができます」

リモートワーク,楠山健一郎
(画像=THE21オンライン ロボットを操作しているパソコンの画面。実際に目の前に相手がいるかのように、遠く離れた相手と話すことができる)

朝会以外に、ロボットで会議に出席したり、執務スペースをロボットで回って社員に声をかけたりもしている。

「東京に行って参加した会議だったのか、ロボットを使って参加した会議だったのか、記憶が曖昧になることもあります(笑)。

また、従来のテレビ会議システムだと、時間を決めて社員とコミュニケーションを取ることはできても、気軽に声をかけることはできませんでした。このロボットを導入したことで、それができるようになりました。

組織のEQ(こころの知能指数)を高めることも、業績を高めるために必要です。そして、EQを高めるためには、日々のちょっとした声がけが欠かせないと考えています」