マンションを手に入れるのなら、快適な住まいであると同時に、資産価値が高まる物件を手に入れたいもの。今回は東京カンテイの調査から、渋谷駅を起点に乗車時間30分以内の駅の中から、どの駅の資産価値が高いのかについて取り上げる。
分譲時と現在の価格からみたリセールバリュー
東京カンテイでは、10年前に分譲された新築マンションのある駅で、現在も中古マンションの取引が活発な駅について、分譲時の3.3平方メートル当たりの坪単価と、現在の取引価格の坪単価を比較してリセールバリューを算出している。
分譲時の坪単価が200万円で、現在の取引価格が250万円であれば、250万円÷200万円でリセールバリューは125%。これが150万円に下がっていればリセールバリューは75%になる。数字が大きいほど資産価値を維持しやすい駅ということになる。
武蔵小杉駅のリセールバリューがトップに
渋谷駅から郊外に延びる路線としては、東急東横線、東急田園都市線、東急目黒線、京王井の頭線などがある。このうち乗車時間30分の範囲でリセールバリューの高さを比較してみよう。
ただし、東急東横線の特急で27分の横浜駅は、東京駅から通勤30分以内の記事で取り上げたので、ここではひとつ手前の反町までとする。東急田園都市線は急行で30分の長津田駅まで、東急目黒線は執着の目黒駅の手前の不動前駅まで、また、京王井の頭線も吉祥寺駅を除いたすべてを対象とする。
この中で最もリセールバリューが高いのは、東急東横線の武蔵小杉駅の122.5%で、次いで東急東横線の代官山駅の122.1%、以下東急目黒線の武蔵小山駅122.2%、東急東横線の下丸子駅117.3%、東急東横線の中目黒駅が113.5%という結果になった。
再開発で武蔵小杉駅に迫る武蔵小山駅
トップの武蔵小杉駅は、駅前再開発によって超高層マンションが次々と建設され、大型商業施設も進出、比較的若い年代の子育てファミリーが急増して活性化、最近では「各種の住みたい街ランキング」の上位に顔を出すようになってきた。まだ建設中の超高層マンションもあり、ますます注目度が高まりそうだ。
3位の武蔵小山駅でも、駅前に大手不動産による超高層マンションの建設が進んでおり、日本一といわれる800mも続くアーケード街との相乗効果で一段の活性化が期待されている。最近は、“むさこ”といえば武蔵小杉を意味することが多くなっているが、地元の人たちの間では、「もともと“むさこ”といえば武蔵小山のことだった」という思いが強く、ライバル心が両者の発展を後押ししそうだ。
渋谷駅に近い駅では坪400万円以上の駅も
リセールバリューで2位に入った東急東横線の代官山駅は、10年前の分譲時の坪単価が400万円台で、現在の価格は500万円台。隣接する中目黒駅もリセールバリューは113.3%と高いが、現在の取引価格は400万円台に上がっている。資産価値を維持しやすいという魅力はあるものの、高くなり過ぎているため、手を出しにくくなっている。
それよりは、武蔵小杉駅のひとつ手前の新丸子駅のほうが魅力的。リセールバリューも高く、現在の取引価格は坪200万円台なので、比較的手に入れやすいのではないだろうか。
以前からの人気住宅地のリセールバリューは低い
東急東横線では、自由が丘駅が常に各種の「住みたい街ランキング」の上位に上がってくるが、リセールバリューは82.4%と沿線のなかでも最低クラスの数字になっている。人気に支えられて相場が高くなりすぎているため、資産価値の上昇余地は小さいということではないだろうか。
そのほか、東急田園都市線の人気住宅地である二子玉川駅のリセールバリューは97.1%で、たまプラーザ駅も100.7%という結果だった。将来性を買って資産価値の上昇を期待するなら、すでに相場が高くなりすぎている駅よりも、これからの上昇が期待できる駅を選択するほうがよさそうだ。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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