ビジネス環境は急速に「VUCA」が進んでいる

上司・部下関係,河野英太郎
(画像=THE21オンライン)

現代の企業やビジネスパーソンは、「VUCA」と呼ばれる環境に置かれています。そして、VUCAの時代の到来によって、現代の企業やビジネスパーソンは、これまでの仕事のやり方を大きく変える必要性に迫られています。

VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性・曖昧性)」の頭文字を取った言葉です。「変化が激しい」「先が見えない」とはいつの時代も言われることですが、10~20年前に比べて、現在は明らかにVUCAの度合いが加速しています。

その理由の一つは、テクノロジーが進化するスピードが猛烈に上がっていることでしょう。その結果、世の中の仕組みやビジネスが目まぐるしく変わるようになり、ますます先行きが見通せなくなってきたのです。

そんな状況の中、どの企業でも、生き残り、さらに勝ち残るために、イノベーションを起こすことが求められています。

イノベーションを起こすには、従来の経験に縛られない自由な発想が必要ですが、日本企業はいまだに、新卒で採用されたプロパーの日本人男性を中心とした同質性の高い集団であることが多いので、なかなか新しいアイデアが生まれません。せっかく良いアイデアが出てきても、「前例がないから」「よくわからないから」などと、従来の経験が邪魔をして潰してしまうケースもよく聞かれます。これでは、VUCAの時代には生き残っていけません。

上司も「答え」を持っていない時代に

では、VUCAの時代に企業が生き残っていくためには、何が必要なのか。

それは、よく言われることですが、「年齢、性別、国籍など関係なく、様々な人たちが活躍できる組織を作ること」です。目まぐるしい変化に立ち向かうためには、多様な人たちのアイデアと能力を活かしていくしかありません。

特に、2000年以降に成人した20~30代の「ミレニアル世代」は、非常に重要な存在です。

最新のテクノロジーをいち早く利用しているのは、ミレニアル世代です。また、最新の情報をどんどん得ているのも、情報感度の良いミレニアル世代。今や、最新の知識や時代を読み取るセンスについては、ミレニアル世代である部下のほうが、旧世代の上司を上回っているケースが多いのです。

かつては、「上司は部下より優秀でなくてはならない」「上司は部下を引っ張らなければいけない」というのが常識だったかもしれません。しかし今は、ミレニアル世代が思い切り能力を発揮できる環境を整えたほうが、間違いなく良い結果が出ます。

かつての上司は、長年かけて培ってきた経験やスキルに基づいて、部下に指示を出すことができました。しかし今は、テクノロジーの発達によって、経験もスキルも、すぐに陳腐化してしまいます。かつて上司自身が見てきた「昔の上司」たちと比べても大幅に、経験やスキルの陳腐化が速くなり、上司が「答え」を持てなくなっている時代です。

このように、VUCAの時代の到来は、上司と部下の関係にも、大きな変化をもたらしているのです。

これからの上司は「ブライト艦長」を目指せ

もちろん、会社自体が変わるに越したことはありません。しかし、現実には、会社はなかなか変われないでしょう。

読者の中には、若い部下を持つ立場の方も多いと思います。もしあなたがそうなら、自分のチームだけでも変えていくべき。変なプライドを持たずに、部下にどんどん活躍してもらうのです。

私が理想としているのは、『機動戦士ガンダム』に登場するブライト艦長です。彼は、自身の能力は平凡なのですが、アムロやカミーユ、ジュドーら、特殊能力を持った若い「ニュータイプ」を見出して、彼らを潰すことなく、活躍させました。そして、部隊としての成果を最大化させました。

アニメならぬ現実では、「若いヤツが、ナニ訳のわからないことを言ってるんだ」と、部下を潰してしまっている上司が多いようですが、そんな上司にならないよう、日々の取り組みを変えましょう。

では、どのように部下に接すればいいのか。ここからは、具体的な「コツ」をご紹介します。