「プロレスが世界一強いことを証明し、世界一強い女になりたい」

SEAdLINNNG,高橋奈七永
(画像=THE21オンライン)

近年、プロレスの人気が高まっており、「プ女子」と呼ばれる女性ファンを数多く持つ男子選手もいることは、ニュースなどで知っている読者も多いだろう。一方、かつて国民的人気を誇った女子プロレスは、どうなっているのか。一世を風靡した全日本女子プロレスに最後まで所属し、今は自身が旗揚げした団体SEAdLINNNG(シードリング)を率いる高橋奈七永氏に、現状とこれからの展望を聞いた。

強烈で、強くて華やかだった「全女」

――11月1日に後楽園ホール(東京都文京区)で開催された「SEAdLINNNG BEYOND THE SEA初代シングルチャンピオン決定戦」で勝利し、初代チャンピオンに就任されました。おめでとうございます。試合中の不敵な笑みが印象的でした。

高橋 あれはなかなか出ないですよ。なんか楽しくなってきちゃって出ました。

戦っている最中に「楽しい」というのは似つかわしくないかもしれませんけど、レスラーはよく「楽しい」って言いますね。充実感がハンパないとか、普段では味わえない境地に行ったりすることが、「楽しい」という言葉になるのかなと思います。

――初代チャンピオンになる自信はありましたか?

高橋 リングに上がっちゃうとそんなことはないんですけど、前日までは「どうしよう、どうしよう」と弱気でした。当日が来て、試合が始まって、結果が出てしまうのが恐いんですよ。勝つか負けるかしかありませんから。試合前はすごくナーバスになりますね。

そんな自分を鼓舞するために「絶対勝つぞ」と言いますけど、内心はビクビクしている部分があります。人間なんで(笑)。

それでも、テーマ曲が鳴って、お客さんの前に出ると、スイッチが入るんです。スイッチになってくれているのが、私を見てくれたり、応援してくれたりするお客さんですね。お客さんを見て、「やんなきゃいけないぞ」という自覚が生まれます。

SEAdLINNNG,高橋奈七永
(画像=THE21オンライン SEAdLINNNG BEYOND THE SEA初代シングルチャンピオン決定戦の様子。高橋奈七永選手が中島安里紗選手(SEAdLINNNG所属)に勝利した)
SEAdLINNNG,高橋奈七永
(画像=THE21オンライン 初代チャンピオンとなった高橋奈七永選手)

――高橋さんは、自身が立ち上げたSEAdLINNNGの所属です。女子プロレス界において、SEAdLINNNGの特徴はなんでしょうか?

高橋 今、女子プロレスには14団体があって、所属選手だけで試合をしている団体もあれば、フリーや他団体の選手と交流試合をしている団体もあります。うちは所属選手が3人(高橋奈七永・中島安里紗・世志琥)しかいないので、いろんな団体の選手に出ていただいて試合をしています。

3人とも女子プロレス界でトップクラスの実力があって、強烈な個性というか、自我を持っていますから、毎回、刺激的な対戦カードでスリリングな戦いをしているのが特徴だと思います。

――SEAdLINNNGのような戦い方をする団体は、今の女子プロレス界ではメジャーなのでしょうか?

高橋 今の女子プロレスは、全日本女子プロレス(全女)という団体から始まり、ジャパン女子など、その後、どんどん枝分かれしていきました。その全女が、強烈で、強くて華やかなプロレスをしていたんです。スター選手はほとんどが全女の所属でした。

民放の地上波でテレビ放送もされて、選手たちの強さに憧れて入門する女性が後を絶たない状態でした。私もその一人で、「強くなりたい」と思ってこの世界に入りました。

けれども、全女は2005年に解散してしまって、今の女子プロレス界では「強さ」という面はちょっと影を潜めてしまっています。SEAdLINNNGは、それを元に戻したいという信念のもと、2015年に立ち上げました。私は全女でデビューしてから今年で22周年を迎えましたが、全女の良かった時代に戻したいという想いはずっと変わっていません。

ただし、過去にすがるのではなく、今の時代に合った「本道の戦い」を追求していきたい。そうすれば、少しずつでも、お客さんも増えるのではないかと信じてやっています。

自分の限界を超えると、必然的に必死になる。すると、お客様に届くものがあるんじゃないでしょうか。

――「強さ」を前面に出すとは、具体的に言うと?

高橋 言葉で表現するのは、なかなか難しいですね……。

私は、2016年12月に、世界で一番危険な格闘技と言われているラウェイというミャンマーの国技に挑戦したのですが、それも、格闘技の中で一番強いのはプロレスだということを証明したいということと、私自身が世界一強い女になりたいというのが理由でした。そういうところからも、理解していただけるでしょうか。

危険も顧みることなく、とにかく「強さ」を世の中の皆さんにお届けしたいと思っています。