リフォームの注意点・戸建て編

戸建ての場合、確認すべきは耐震性能と省エネ性能。特に、耐震基準が変わった時期より前に建った建物には注意が必要だ。

1 「ホームインスペクション」でコンディション確認

ホームインスペクションとは、売買契約前に住宅の不具合や劣化といったコンディションの把握や寿命を、住宅の専門家が診断すること。2018年4月から、売主や買主から依頼を受けた仲介業者は、インスペクションの中身を説明し、実施した際には結果を開示することなどが義務付けられている。

「以前には、中古一戸建てを購入したところ、通し柱までシロアリに食われていて住宅倒壊の危険性があった例もありました」(Yuu氏)。

料金の目安は5万円程度~。有料だが、今後どのように管理維持をしていけばいいかも診断してもらえるため、資産価値維持にもつながる。

2 耐震&省エネ性能に注意

手軽に性能を見極める方法として、まずは基本の耐震性能をチェックしよう。1981年以前に建築された建物は古い基準のためそのままでは地震に弱い建物であることを知っておきたい。

省エネ性能に関しては、性能が低い家は結露が起きやすいため、窓まわりや北側の壁面に黒い汚れがないかを見ておくと良い。正体は黒カビで結露によって発生している可能性が高い。黒カビはアレルギーの原因になるだけでなく、ダニのエサになると言われている。健康を守るためにも性能の確認を。

耐震と省エネの2分野は整備されていないと、住み心地の悪い住宅になる可能性が高いので、注意が必要だ。

☆木造一戸建ての耐震基準
木造一戸建ての場合、1981年と2000年に建築基準法および「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が改正され、耐震基準が大きく変わった。「地盤に応じた基礎」「耐力壁のバランス強化」が加えられたが、注目すべきは「接合部」。木造住宅の柱の柱頭・柱脚(頭や根元部分)、筋交いの端部をしっかりと固定できる、金物が指定された。つまり1981年以前の木造家屋は耐震工事が必須で、2000年以前は新耐震基準に合致しているか要確認。東京都耐震ポータルサイトによれば、古い基準の木造住宅を新耐震基準に合致させるための費用は150万円から200万円前後が目安。耐力壁をバランスよく配置する、床を補強するなどの、さらに地震に強い住宅にする場合は費用が追加されるため、自分が目指す地震の強さと費用のバランスをとって計画を。

☆省エネの基準とは?
「1999年3月に建設省(現・国土交通省)により改正された、次世代省エネ基準に沿っていればおおよそ快適に暮らせると、お客様にはアドバイスしています」(Yuu氏)。
都道府県により基準は異なるが、関東地方では改正時にガラスが1枚から2枚へと変更になった。1枚ガラスであれば断熱ガラスに交換しないと、夏は暑く冬は寒いうえに光熱費がかさむ。義務ではなく指針のため、築浅の住宅でも基準に沿っていない場合がある。

Yuu(ゆう)一級建築士事務所OfficeYuu代表
一級建築士。住宅リフォームコンサルタント。長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、事業者向けには「住宅リフォームコンサルタント」としてビジネスサポートを行ない、消費者向けには「住宅リフォームガイド」としてリフォームの実践的なノウハウをテレビやラジオ、執筆、講演会などを通して発信している。毎日新聞「Yuuの住アドバイス」連載中。All Aboutリフォームガイド。本名は尾間紫。Yuuの名で執筆活動多数。(『THE21オンライン』2018年12月号より)

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