ティール組織とは、新しいマネジメント手法を採用して圧倒的な成果をあげている組織で、20年ぐらい前から世界中で同時多発的に現れ始めています。ティール組織を分析して『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』を著したフレデリック・ラルー氏は、ティール組織の運営方法には、3つの特徴があると述べています。

ティール組織の運営方法は企業によってかたちが違う

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(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

ティール組織の運営方法は、頭の中で考えられた理想論ではなく、ラルー氏が実際に世界で新しい組織モデルを実践して成果を出している組織を訪問し、インタビューをもとに分析を行い整理したものです。

ティール組織の運営方法は、国や地域、業種や業界、企業規模、ビジネスモデルなどによって各社がそれぞれ違うかたちをとっていました。しかし分析を続けていくうちに、ティール組織として成功を収めている企業に、共通する特徴を見いだすことができました。

ティール組織の運営方法3つの特徴

ティール組織では、指揮命令系統がなく、一人ひとりが意思決定を行い、雇用契約を超えた信頼で結び付く生命体のような組織形態です。『ティール組織』で紹介されている企業の社員数は、数百人から数万人で、業種もさまざまです。

ティール組織のすべてが同じような組織運営をしているわけではありませんが、整理すると、そこには「自主経営(セルフマネジメント)」「全体性(ホールネス)」「存在目的」という3つの特徴が見えてきました。

自主経営(セルフマネジメント)

ティール組織に見られる運営方法の特徴の1つ目は、「自主経営(セルフマネジメント)」です。ティール組織は階層やコンセンサスに頼ることなく、一人ひとりが自由に意思決定できる裁量を持っています。たとえば、自分が必要と思うものを購入したり、予算をとったり、人を採用したりするとき、一人ひとりが自由に意思決定できるのです。

ティール組織では承認プロセスや会議による意思決定を行うことはあまりなく、専門性の高い人や影響がでそうな人にアドバイスを求めることが定められています。アドバイスを考慮した上で、最終的には一人ひとりが自ら意思決定する、同僚との関係性の中で動くシステムを持っています。

ティール組織は、官僚型組織やピラミッド型組織ではなく、権限が分散していて集合知があふれています。力強く、流動的なシステムに進化しているといえるでしょう。

全体性(ホールネス)

特徴の2つ目は、「全体性(ホールネス)」です。誰もが職場で本来の自分でいられることができ、同僚・組織・社会との一体感をもてるような風土や習慣があります。

職業人としての合理性だけに焦点を当てるのではなく、感情、直感、精神的なものやプライベートな部分にも焦点を当てることで、「個人の内面の全体性」を全員が取り戻すことを大切にしています。

存在目的

特徴の3つ目は、「存在目的」です。ティール組織では、組織全体の存在目的、日々の業務を定義する役割の存在目的、そしてそこで働く一人ひとりの存在目的を探求しながら運営が行われます。

ティール組織は、運営の中で「この組織は、この世界で何を実現したいのか?」「世界はこの組織に何を望んでいるのか?」「この組織がなかったら、世界は何を失うのか?」という問いを真摯に探究し、組織が世界にどんな贈り物をもたらせるかを見つけ、更新し続けています。

組織自体が生命体として方向感をもっているため、未来を計画しコントロールすることではなく、全てのメンバーが組織がどうなりたくてどこに向かいたいかに耳を傾け、理解しようとしています。

ティール組織の考え方は企業運営のヒントとなる

ビジネス環境の多様性や複雑化などを受け、組織は変革が求められています。硬直的な組織運営に居心地の悪さを感じている人も多く、会社での仕事や生活に強いストレスを感じるようになっています。ティール組織の考え方は、企業をどう運営すれば仕事の生産性が高まり、働く人々にとって充実した意義深い活動を実現できるか、という企業運営のヒントになります。(提供:あしたの人事online


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