小さな会社でも「エアビーアンドビー」並みのビジネスは可能

インパクトカンパニー,神田昌典
(画像=THE21オンライン)

『非常識な成功法則』『2022-これから10年、活躍できる人の条件』など数々のベストセラーを輩出し、「日本のトップマーケター」にも選出されたカリスマ経営コンサルタント・神田昌典氏。

その神田氏が、コンサルタント活動20年目の集大成として満を持して送り出すのが、最新刊『インパクトカンパニー』だ。成熟業界、衰退業種の中小企業であっても、「インパクトカンパニー」となることで復活し、世界を目指すことも可能になる。

では、そもそも「インパクトカンパニー」とはどういう企業なのか。その実例を、新著から抜粋してお届けする。

なぜ「プラットフォーム型ビジネス」は儲かるのか

「インパクトカンパニー」の特徴とは、社会性を持ったビジネスを手がけるとともに、つねに「世界」を意識し、「事業のプラットフォーム化」を目指したビジネス展開をしていることだ。

プラットフォームビジネスとは、人々が集う「場所」をウェブ上などに作り、そこで「何らかの価値を必要とする人」と「その価値を提供できる人」をマッチングする仕組みを運営することで、対価を得るビジネスモデルである。

その代表的な例が、自分の持ち家を「貸したい人」と「借りたい人」をつなぐ民泊事業であるエアビーアンドビー(Airbnb)。「運転したい人」と「移動したい人」をつなぐウーバー、「販売したい人」と「買いたい人」をつなぐメルカリも同様である。

このビジネスモデルの最大の特徴は、利用するユーザーたちがある意味「勝手に」価値を作っていってくれることだ。そして、ユーザーが増えれば増えるほど、利便性も高まっていく。そうしてさらに人が集うようになるという好循環も生まれる。

「小顔になるカット法」を世界に

だが、グローバル展開や「事業のプラットフォーム化」は、大企業や勢いのあるベンチャー企業にしか不可能だ、と思っている人は多いと思う。だが、それは大きな勘違いだ。工夫次第で、どんな業種・業態、そして企業規模であろうと、グローバル展開や事業のプラットフォーム化を成し遂げ、「インパクトカンパニー」となることは十分可能だ。

そこで、わずか国内6店舗の美容室でありながら、世界800社に広がるプラットフォームを作り出した例をご紹介しよう。神戸・姫路に店舗を構える「TICK─TOCK」である。

どのようなプラットフォームを作っているのか。それは「ステップボーンカット」と呼ばれる特許技術を中心にした、世界中から人が集まるプラットフォームだ。

その技術をひと言で説明すれば「小顔になるカット法」だ。「髪を切るだけで、顔が小さくなるなんて……」と首をかしげる人もいるかもしれない。だが、東洋人の平たんな頭の骨格を補正するようにカットすると、髪の量感が立体的になり、その結果、小顔に見えるのだ。

この「ステップボーンカット」を開発したのが「TICK─TOCK」オーナーのSAYURIさん。

彼女の眼は最初から世界に向いていた。2010年、初めての著書である『FOR JAPANESE HAIR DRESSERS 日本の美容師たちへ』を発刊。ステップボーンカットを写真で紹介しながら、「日本の美容技術は世界最高水準だと自負しなさい」と日本の美容師を励ます内容だが、日本語に加え、最初から英語版とフランス語版を用意したのだ。本書は世界6カ国13都市で販売された。