住宅ローンには意外と知られていないけれど、けっこう恐ろしいルールがある。金利優遇制度や固定、変動金利型にはそれぞれ落とし穴があり、これから解説する5つのルールを事前に頭に入れておかないと、将来大変なことになりかねない。住宅ローンを組む前にもう一度チェックしてほしい。
⑴一度でも延滞すると適用金利が2%近くも上がる
住宅ローンには金利優遇制度というものがあり、大半の人はその恩恵を受けているだろう。メガバンクの変動金利型の店頭表示金利は2.475%だが、最優遇金利は0.625%となっている。つまり店頭表示金利から1.85%も金利が引下げられている。ところが金利タイプに関わらず金融機関によっては一度でも返済が遅れると、この金利優遇制度の適用がなくなり、店頭表示金利に戻るというルールがあるのだ。
例えば借入額が3,000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしで住宅ローンを組んだとしよう。最優遇金利の0.625%の場合、毎月の返済額は7万9,544円。返済が遅れると2.475%の店頭表示金利に戻るため、毎月の返済額は10万6,846円になる。そうならないためにも返済口座の残高を定期的に確認しておく必要があるだろう。
実は延滞すると金利優遇制度が適用されないというのは意外と知られていない。住宅金融支援機構の調査によると、「十分に理解」「ほぼ理解」している人は合計48.5%にとどまり、半数以上の人が「よく理解しているか不安」「よく理解していない」「まったく理解していない」と回答しているのだ。これでは金利優遇制度が適用されないという場面に遭遇したときにどうすればいいのかわからず、十分に対応できないままローン破綻してしまうといった最悪の事態に陥りかねない。
⑵変動金利型ローンでは5年後に返済額が最大25%増える可能性がある
変動金利型というのは、市中の金利動向によって住宅ローンの適用金利が変わり、返済額が見直される仕組みのこと。ただし当初5年間は返済額を変えずに、5年ごとに見直される。当初5年間の間に金利が上がっても返済額は変わらないため、そのままの返済額が続くと思い込んでしまいがちだ。だが5年が経過した時点で金利が変わっていれば、当然だが返済額も変わる。金利が上がった場合には、最大で25%返済額が増える可能性もあり、その備えをしておく必要があるのだ。
⑶金利引下げ幅が一定期間後に0.4%も少なくなるローンもある
住宅ローンには先に触れたように金利優遇制度があるが、完済までの全期間同一幅の引下げタイプと、当初期間だけ引下げ幅が大きいタイプがある。当初期間だけ引下げ幅が大きいタイプの場合、途中で引下げ幅が縮小されたときに市中の金利が上がっていると金利上昇のダブルパンチになりかねない。
たとえば、店頭表示が金利3.0%で、3年間は1.8%の引下げ、4年目から下げ幅が1.4%に縮小されるローンをみてみよう。3年間は1.2%の金利で利用できるが、3年経過後は店頭表示が3.0%のままであっても、3.0%-1.4%=1.6%に上がることになる。もし3年後の店頭表示金利が3.5%に上がっていれば、3.5%-1.4%=2.1%まで金利が上がってしまうのだ。
⑷ローン返済中に賃貸に出すと一括返済や金利の引上げを求められることもある
住宅ローンはあくまでも居住用の住宅を取得するためのローンであり、賃貸住宅には利用できない決まりになっている。そのため住宅ローンの返済中に取得した住宅を賃貸に出すと、一括返済や金利の引上げを求められることもある。転勤などで住まなくなった場合には、金融機関で所定の手続きすることが必要だ。
⑸固定期間選択型ローンは返済額が3、4割増加の可能性がある
固定期間選択型のローンでは、金利上昇による返済額の増額には上限がない。変動金利型は増額時の上限を25%までとするルールがあるが、固定期間選択型にはそれがない。最悪の場合には当初の返済額より3、4割も多くなる可能性があるので、それを念頭において準備しておかないと痛い目を見る。
住宅ローンは種類や特徴を理解して慎重に検討
住宅は人生のうちで一番高額な買い物だという人が多いだろう。それだけにローンを組むときは5つのルールを頭に入れて慎重に選んでほしい。
文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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