住宅ローンは当初の約定通りに返済するだけではなく、毎月の返済額を増額することで、完済までの期間を短縮し、総返済額を少なくできることは知っている人は多いだろう。そこで住宅ローンの返済額増額をシミュレーションしてみた。返済額に余裕がある人はぜひ参考にしてほしい。

住宅ローンは平均すると15年で完済している

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(画像=Sichon/Shutterstock.com)

住宅金融支援機構の調査によると、民間住宅ローンを利用した人の、当初の返済額の設定は平均すると約26.4年。実際にローン完済までにかかった平均経過期間は約15.2年という結果だった。

もちろん借換えや買換えなどによってそれまでのローンを一括返済し、新たなローンを組んだという人も含まれているが、なかには繰上返済や返済額の増額によって、予定よりかなり早く返済したという人もいるはずだ。

住宅ローンを借り入れたころに比べると収入も増えてきたので、返済額を増やすことができそうという人は、金融機関に相談してすぐにでも返済額の増額を実行しよう。それによって残りの返済期間を短縮でき、完済までの総返済額を大幅にカットできるからだ。

借入額3,000万円、金利2%、35年元利均等・ボーナス返済なしでシミュレーションすると……

たとえば借入額が3,000万円、金利2%で35年元利均等・ボーナス返済なしの場合では、毎月の返済額は9万9,378円になる。この条件で返済額を増額した場合をみてみよう。

約5,000円の増額で返済期間は2年の短縮、総額は64万円の減額

5年間、60回目の返済を終えた後に返済額を約5,000円増額すると、毎月の返済額が9万9,378円から10万4,571円になる。すると残りの返済期間が2年間も短縮できるのだ。増額しない場合は残りの返済期間は30年なので、それを28年にできるわけだ。

2年でも返済期間が短くなれば精神的な安心感がある。何よりこの2年間の短縮によって本来支払わなければならない利息も大幅にカットできる。

増額しない場合、残りの30年間は毎月9万9,378万円の返済が続くため、金利を加えた30年間の総返済額は約3,578万円になる。それが約5,000円増額すると毎月10万4,571円に増えるが、返済期間は28年になるため総返済額は約3,514万円。総返済額を64万円減らせるのだ。

約1万円の増額で返済期間は4年も短縮、総返済額は127万円も減額

約1万円増額した場合には毎月の返済額が11万584円になり、残りの返済期間を4年間短縮できる。金利を加えた総返済額は127万円も減らせる。

さらに約2万5,000円増額できるのであれば、毎月の返済額が12万5,970円になり、残り返済期間を8年間短縮できる。金利を加えた総返済額は252万円も減らせるのだ。

返済額を2倍弱まで増額すると返済期間は半分まで短縮、464万円も返済額を減らせる

住宅ローンの返済が始まった当初は子どもが小さかったので、妻はパート勤務しかできなかったが、子どもの手が離れたのでフルタイムで働けるようになったため、毎月の返済額を当初の9万9,378円から約2倍の17万3,018円まで増やすことができたとする。この場合、残りの返済期間が15年にまで短縮できる。この15年というのは、実際にローン完済の平均経過期間である約15.2年という結果に近い。

残り15年間の金利を加えた総返済額は約3,114万円になり、増額しないときの残りの総返済額は約3,578万円なので、総返済額では464万円も減らせることになる。

しかも返済開始から5年後の年齢が40歳だとしたら、増額しないままだと70歳まで返済が続くが、15年短くなるということは55歳で完済するため、リタイア後の生活は悠々自適だ。

もう一度住宅ローンの内容を確認し増学は無理のない範囲で

これだけ返済期間を短縮でき総返済額も減らせるのであれば、もっと頑張って毎月の返済額を増額したいと誰しもが思うだろう。ただし返済額増額はあくまでも無理のない範囲で増額したいもの。今回の試算はあくまでも一例なので、自分の住宅ローンの内容をもう一度確認して検討してほしい。

文・山下和之(住宅ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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