間借り業態のリアル事情
ところで、間借りするにあたって家賃や光熱費などはオーナーとどう折り合いをつけているのだろうか。
「そのあたりは最初の段階でオーナーと話し合いました。他のお店は分からないんですが、オーナーのご厚意でかなり安い金額でやらせていただいています。家賃、光熱費、水道代など込みで固定の額です。明確な金額はお伝えできませんが、このあたりの平均的な家賃の1/10以下だと思います。破格ですね。本当に感謝しています」
売上について伺ったところ、「まだまだ安定しないんですが」と前置きしたうえでこう答えてくれた。
「ギリギリ暮らせるくらいです。黒字というよりかは“トントン”という表現のほうが近いかもしれません。まだバラつきはありますが、1日平均にすると15~20人くらいのお客様がいらっしゃいます。今の目標としてはまず30人ですね」
間借りカレーのメリットについては「開業のハードルが低いこと」と松本さん。また、夜営業の客が昼間にくることもあるかもしれないし、カレー屋の人気が定着すれば夜営業のプラスになるかもしれない。そういった独特の関係性も「間借りならではの面白さ」だとしみじみ語る。逆にデメリットを感じることはあるのだろうか。
「僕はないです。ただ一般的に言うと、自分のやりたい店の雰囲気は作りにくいと思います。夜の営業ありきだから店内の雰囲気を大きくは変えられない。人によってはそれがデメリットになると思いますが、僕の場合はこのお店をもともと知っていたのでデメリットにはならなかったですね」
飲食業界の新たな出店方法としても注目されている“間借り”業態。初期費用を最小限に抑えられることや、リスクが少ないこともあって、これからさらに増えていきそうだ。また昨今は間借りから実店舗を持つカレー屋も増えてきた。松本さんも将来的に実店舗を持ちたいと考えている。
「間借りカレーという文化は非常に面白いなと思います。自分はここを営業している限りなかなか他店に食べにいくことはできないんですが、機会があったら他の間借りカレーも食べてみたいですね。本場寄りのスパイスの強いカレー屋が多い中で、独特なもの、奇抜なもの、落ち着いたもの……、そういう個性豊かなカレーが間借りカレーで食べられるようになったのは、すごく良いことだと思います」
十人十色の味が楽しめる間借りカレー。将来的に実店舗を持つことを考えている人や、カレーが好きでその腕っぷしを試してみたいという愛好家は、まずは“間借り”からスタートするのも新たな手だろう。
『まっちゃんカレー』
住所/東京都新宿区高田馬場2-1-1 山村ビル 1F
電話番号/03-5155-7280
営業日/11:30~15:00
定休日/日曜
席数/昼9席、夜13席
https://www.facebook.com/matchancurry
(提供:Foodist Media)
執筆者:逆井マリ