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(画像=『まっちゃんカレー』の店主・松本翔太さん)

近年メディアでも話題を呼んでいる「間借りカレー」。間借りカレーとは、店舗を構えずにバーなどの空き時間を間借りして営業するカレー屋のこと。2016年、スパイスカレーがブームとなった大阪で間借りカレー業態(大阪での通称は「ヤドカリカレー」)が増え、ほどなくして東京でもブームに。間借り業態で人気となったカレー屋が実店舗を持つといった動きも増えてきた。

高田馬場駅・西早稲田駅の徒歩圏内で営業している『まっちゃんカレー』も、間借りカレーのひとつ。バー『the Harley』を間借りして、2017年4月にオープンした。『まっちゃんカレー』を営む “まっちゃん”こと松本翔太さんに、間借りカレーをオープンするに至った経緯や、間借りのリアル事情をうかがった。

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(画像=夜は『the Harley』というロックバー)

小学生の頃からカレー屋になるのが夢だった

重々しい扉を開くと、ボトルがびっしりと並ぶカウンターと青のハーレーダビッドソンが視界に飛び込んでくる。今年7月に17周年を迎えた『the Harley』はアメリカンなロックバーだ。

「良い雰囲気のバーですよね。僕自身、もともとこのバーによく飲みに来ていたんです。通勤で毎日ここの前を通っていて気になっていたんですが、ある日飲みに来て、オーナーの人柄に惹かれてよく来るようになって。2年くらいは常連客として通っていたと思います」

以前は映像系の会社に勤めていたという松本さん。小学生の頃から「カレー屋になりたい」と思っていて、夢を諦められずにいたという。『the Harley』で飲みながらそんな思いをこぼしたところ、オーナー・武井氏に「昼は使ってないから、ここを使ったら?」と声をかけられた。それが2016年だった。大阪で「ヤドカリカレー」として間借り文化が始まった頃だ。

「オーナーが当時“間借りカレー”という言葉を知っていたかはわかりません。オーナーの先見の明があったのかもしれないし、偶然かもしれません(笑)。何にしても資金的にお店を借りてイチから始めるのは難しいなと思っていたので、凄くありがたいお話でした」

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(画像=一皿600円と破格のキーマカレー)

心機一転、会社を退職。それから半年間はカレーの試作や準備に追われていたと当時をふり返る。

「キーマカレーを作りたいなと思ったんです。というのも、この周辺はカレーの激戦区で、インド系・ネパール系のカレー屋がすごく多いんです。日本らしいカレーを食べられる店がこの辺りにあまりないなと思っていたので、気軽にキーマカレーを食べられるお店を作りたいなと」

カレー好きならではのこだわりを発揮し、牛・豚・鶏をミックスして無水調理。ドライオニオン、ドライトマト、ピクルスなどは自家製のものを使うことにした。

「キーマカレーってひき肉だから食感が乏しいなと思っていて。それで軟骨を入れてみました。昼の営業ということもあってにんにくを使わないことにもこだわりました。また、油はなるべく使わないようにしてるんです。油の多いカレーも美味しいんですが、週に3、4回食べても美味しいと感じられるようなカレーにしたいなと思っていて。値段を600円に抑えていることも、油を使わないのも、にんにくを使わないことも、全部『どういう状態でも食べられる』ようにしたいから。ライスの代わりに、野菜と麺を選べることもそうですね。バーということもあって二日酔いの方もいらっしゃるんですけど、そういう方も野菜なら食べられると喜んでくれます」

オープン当初はオーナーからの温情で、昼営業のあと18~21時までカレーを提供していたが、1年経ったことを機に、今年4月からはランチ営業のみのスタイルに落ち着いた。

「じつは今、夜は別の飲食店で働いているんです。というのも、まったく飲食業を経験してない状態でいきなりカレー屋を始めたので、カレーを作って出すことはできるけど、接客については完全に素人で、最初は特に難しさを感じていたんです。なので、勉強・修行のつもりで夜も働いています」