飲食店が他店と差別化を図っていくためには、店の個性が詰まったアイデアメニューが欠かせない。とはいえ、どうアイデアをひねり出せばいいのか、どのように工夫すればよいのか、悩ましい問題もあるだろう。そこで今回は、特に肉料理のスペシャリストとして注目を集める飲食店に取材し、アイデアメニューを紹介してもらった。

『ビストロTERIYAKI 秋葉原店』前沢牛の塩レアカツ 980円(税抜)

画像1
(画像=前沢牛の美しい赤身がインパクトのある逸品)

上質な黒毛和牛を中心とした肉料理をリーズナブルに食べられる『ビストロTERIYAKI 秋葉原店』。肉の旨味をシンプルに生かす炭焼きや、焼しゃぶ、煮込みなどさまざまな調理法で魅せる肉料理の名店だ。

なかでも「前沢牛の塩レアカツ」は、前沢牛のモモ部分を使い、カツでありながらも中の焼き加減をレアに仕上げた逸品。器には小さな石板がついており、こちらで焼いて好みの焼き加減に変えることもできる。単品でも十分に楽しめるし、お酒との相性も抜群だ。

レアカツこそが前沢牛を最大限に活かせる調理法

上質な前沢牛をあえてカツに。その理由をオーナーの五来淳さんに尋ねると「前沢牛を美味しく食べていただくにはどうしたらよいかを検討したところ、レアカツが一番パフォーマンスを活かせるのではと考えたからです」とのこと。外はサクッと、中はジューシーなレア肉という、普段あまり感じることのできない食感と旨みは、くせになる味わいだ。揚げることで前沢牛の旨味をしっかりと閉じ込められている点も、魅力の一つとなっている。

鮮やかな赤身は丁寧な下ごしらえが必須

「前沢牛の塩レアカツ」の特徴は、何といっても色鮮やかな赤身。美しいレアに仕上がるのは、脂身や筋を取り除く「肉の掃除」と「衣の付け方」に気をつけているからこそだ。細かな方法を聞くと「丁寧にやるだけです」とひと言。一つ一つの心を込めた下ごしらえが、「塩レアカツ」の美味しさを作っているのだろう。

来客した半数の客が注文するほどの人気。でも「実質利益はゼロ」!?

前沢牛のもも肉を使った贅沢な逸品にも関わらず、価格はなんと980円(税抜)と驚きの手頃さ。そのコストパフォーマンスの高さが好評で、2組に1組が注文するという。

しかし、こんな困った実情も。「手間を考えたら、利益はゼロといっていいかもしれません」と五来さん。販売価格を決定するまでには、ずいぶん悩んだそうだ。それでもこの価格で提供するのはお客様に美味しく食べてもらい、満足してもらいたいからこそ。同店の料理へのこだわりが見える一品ともいえるだろう。

『ビストロTERIYAKI 秋葉原店』
住所/東京都千代田区神田練塀町66
電話番号/03-6206-8861
営業時間/月曜~金曜17:00~23:30、土曜・祝日17:00~23:00
定休日/日曜