『もつ吉 渋谷店』「低温調理 黒毛和牛レバ刺し」980円(税抜)
「認定生食用食肉取扱者等設置施設」の許可を持ち、とろけるような生食用和牛料理で客を魅了する『もつ吉 渋谷店』。「黒毛和牛のとける肉寿司」や「牛たんのうす造り」など、生食用肉ならではの珍しいアイデア料理を数多く揃えている。
なかでも、9割のお客が注文する人気メニューが「低温調理 黒毛和牛レバ刺し」。新鮮な黒毛和牛のレバーを低温調理でじっくりと時間をかけて加熱し、まるで生のような味わいに仕上げた名物メニューだ。こだわりの手絞りごま油と九条葱、琴引海岸の塩と共にいただく。生食肉の取扱に長けている同店だからこそできる一皿といえるだろう。
3回の徹底した温度管理が生の食感を引き出す
厚生労働省の食肉加熱基準をきっちりクリアしているのにもかかわらず、まるで生のような食感。この絶妙な低温調理はどのように行われているのか、店長の濱崎康夫さんに伺うと、「3回に渡る温度管理がポイントです」と教えてくれた。レバーを真空パックに入れ、芯温が63度になるようにスチームコンベクションで調理をするが、この温度に達するまでには3度の温度管理を行っているという。じっくりと加熱し、最終的に63℃にすることで、生の食感を引き出すことができている。
臭みのない旨さは企業秘密の酸性水にあり
「まるで生のよう」と聞くと、レバーのデメリットである臭みを想定する人も多いだろう。しかし、このレバ刺しには臭みがほとんど感じられない。実はここにも、同店のこだわりが隠れている。独自の酸性水に24時間漬け込むことで、レバー独特の臭みや苦みを取り除いているのだという。残念ながら酸性水は企業秘密だが、下処理にもじっくりと時間をかけていることは明らかだ。
食感を何より大事にするため、使用するのは全体の50%のみ
生の食感を演出するのにかなりの苦労をしたという同メニュー。先に述べた温度管理や酸素水の漬け込みなども重要だが、さらにもう一つ大切な処理について聞かせてくれた。それが素材のトリミングだ。レバ刺しとして使用するのはなんと、素材の50%ほどのみ。食感を大事にしている為、選りすぐりの部分だけを使うという。ここまでのこだわりにこの価格。非常に手頃に感じたが、「適性価格だと思っています。お客様が喜んでいただいているのであればありがたいですね。」と濱崎さん。9割が頼むメニューはコストパフォーマンスも抜かりない。
各店のこだわりが詰まった料理には、意外なきっかけや工夫が沢山あり、どれも個性豊かだ。苦労や試行錯誤を乗り越えて、アイデアメニューに辿り着いたことも窺えた。特に肉類は扱いが難しいこともあるが、調理法を工夫すれば、さまざまな色を見せてくれる。今後新しいメニューを検討する場合には、考え方を参考にしてみてはいかがだろうか。
『もつ吉 渋谷店』
住所/東京都渋谷区宇田川町31-1 HULIC&NewSHIBUYA8F
電話番号/03-6416-5236
営業時間/ランチ 11:45~L.O.15:00
ディナー 17:00~L.O.23:00
定休日/なし
(提供:Foodist Media)
執筆者:竹野愛理